モメント 〜夢の真実を求めて五界を巡る〜

キマリ

文字の大きさ
13 / 27
幻想界編

第10話 王都への道

しおりを挟む
翌朝。
志雄は背伸びをしながら宿の前で深呼吸した。小さな村の空気は澄んでいて、昨夜の静けさを思い出す。

志雄「さて、行きますか」
「ありがとな、村長、ご飯美味かった」

氷河「世話になった」
ツムギ「私も……ありがとうございました」

村長は笑って手を振る。
村長「いいってことですよ。旅の無事を祈ってます」

三人は見送られながら、土の道を歩き始めた。



志雄「で、王都まであとどれくらいなんだ?」
氷河「正確な距離は分からない。ただ――もうすぐ関所がある。そこを超えれば中央地方、アルディア領内だ」

志雄「えーと、アルディア領って?」

ツムギが歩きながら説明を始める。
ツムギ「私達が目指す王都アルディア王国の領内です。アルディア王国は“騎士の国”と呼ばれるほどの大国で、その王聖騎士団は白帝騎士団に次ぐ規模を誇ります。中央地方全体を治めているのもアルディア王国ですから……まさに大国と言っていいでしょうね」

志雄「へぇー、すげーな、アルディア王国」
「騎士の国か……。騎士ってそんなにすごいのか?」

氷河「凄いも何も、騎士は民の憧れ。この世界を支える柱だ」

志雄「ふーん。俺もなれるかなー……」と呟き、すぐに首をかしげた。
「……ていうかさ、ずっと徒歩移動?馬車とか無いの?」

氷河「無いものは無い。馬車は貴族や大商人が使うものだ。冒険者は大体徒歩だ。馬車に甘えるな」

志雄「ちぇっ……」





数日後。

志雄「はぁ~、最先長ぇ……」
腰をさすりながら空を仰ぐ。

ツムギは笑顔で励ます。
ツムギ「話していれば、着きますよ!」

志雄「いや、ほんとにさぁ……毎回地面に寝てるから腰が痛くて。村の宿のベッドが恋しい……」

氷河は前方を見据えて歩みを止めた。
氷河「……ん? あれは?」

志雄「どうした?」

氷河の指先の先――遠くの街道で、荷馬車が止められている。
青髪の若い行商人が荷物を守ろうとしていたが、周囲を五人の盗賊が取り囲んでいた。

志雄「やべ……襲われてる?」

氷河の瞳が鋭く光る。
氷河「襲われているな。助けるぞ」

そう言うなり、氷河は地を蹴って一気に駆け出した。
志雄「ちょっ……おい、速っ!!」

ツムギ「志雄くん、行きましょう!」

志雄「う、うおぉ……」と慌てて後を追う。


盗賊たちは馬車の中身を荒らしていた。

盗賊(頭)「おぉ、結構いいもんがあるじゃねぇか……金目のもんがざっくざくよ」
行商人「や、やめてくれ! そ、それは……!」

盗賊(A)「頭、こいつどうします?」
盗賊(頭)「ふん、口封じだ。始末しておけ」

盗賊(A)が短刀を振り上げる――その瞬間。

低い声が響いた。
氷河「――やめろ」

刹那、白い閃光が走った。
氷河の剣から生まれた氷の欠片が、盗賊(A)の腕を一瞬で覆い凍らせる。

盗賊(A)「なっ……!? う、うわぁあああ!」
氷河「氷塊閃」

叫び声と共に短刀が落ちる。次の瞬間、氷河の剣の峰が振るわれ――盗賊(A)は地面に叩き伏せられていた。

残りの盗賊たちは一斉に息を呑む。

盗賊(頭)「チッ……騎士団員か!? クソ、厄介なのに出くわしやがった……」

氷河は剣を構えたまま、一歩前へ。
氷河「逃げないのか?」

盗賊(頭)「ハッ、逃げるほどの相手じゃねぇ! 野郎ども、囲め! こいつは強ぇが、一人だ!」

氷河の口元に、微かに笑みが浮かんだ。
氷河「強敵、か……その言葉、後悔するぞ」

志雄(……! あの雰囲気、やっぱただ者じゃねぇ……!)

月明かりの下、氷河と盗賊たちが睨み合う――。

――つづく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

スキル素潜り ~はずれスキルで成りあがる

葉月ゆな
ファンタジー
伯爵家の次男坊ダニエル・エインズワース。この世界では女神様より他人より優れたスキルが1人につき1つ与えられるが、ダニエルが与えられたスキルは「素潜り」。貴族としては、はずれスキルである。家族もバラバラ、仲の悪い長男は伯爵家の恥だと騒ぎたてることに嫌気をさし、伯爵家が保有する無人島へ行くことにした。はずれスキルで活躍していくダニエルの話を聞きつけた、はずれもしくは意味不明なスキルを持つ面々が集まり無人島の開拓生活がはじまる。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

巻き込まれた薬師の日常

白髭
ファンタジー
神に選ばれ、魔素の循環する界へと送り込まれたのは――現代の薬師。 剣も魔法も扱えない彼が憑依したのは、戦闘力ゼロの商人見習いの少年だった。 彼の武器は、知識と経験。商品を生み出し、人脈を築き、産業を広げていく。 「居場所を見つけたい」その願いが、やがて世界を変える力となる。 これは、一人の薬師が紡ぐ研究と開発、そして成長の物語。 【カクヨムでも掲載しています】 表紙は紹介文をもとに、ai【adobe firefly】で作成したものです。(参考程度に……)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...