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幻想界編
第19話 予選開始
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王都闘技場――。
円形に作られた予選会場は、すでに人で溢れていた。観客ではなく、参加者だ。剣を担ぐ者、拳に包帯を巻く者、ローブに魔導石を縫い込んだ術士まで。雑多な強者候補たちが一堂に会し、空気が熱を帯びている。
「人……すげぇいるな……」
志雄はごくりと唾を飲む。
氷河は冷静に辺りを見渡しながら応じた。
「そりゃそうだ。賞金が金貨五百枚。誰だって喰いつく」
中央の台座に、一人の男が立った。
黒いスーツに身を包み、胸には銀の紋章。背筋を伸ばし、低い声で告げる。
「――静粛に。参加者は手元にある番号札を確認してください」
志雄が手を開く。
「俺、四十番!」
氷河は淡々と口にした。
「俺は二番だな」
「確認は済みましたね? それでは、ルールを説明します」
男の声が会場に響いた。
「予選は――先に技を通した方の勝利です。もっとも、必ずしも技でなくても構わない。相手を気絶させる、もしくは場外に落とすことでも勝利となります」
「ただし――殺傷は禁止。致命傷を与える攻撃をした者はその場で失格となる」
「武器の持ち込み、魔法の使用は認められます。ただし禁止指定された呪具の使用は禁止。詳しくは貼り出された掲示板に従ってください」
ざわめく参加者たち。
「試合は三つの予選闘技場で同時に行います。順番は――今から行うくじ引きで決定。最後に八名残った者が本戦へ進出します」
志雄は拳を握った。
「やべぇ……怖いけど、なんかワクワクしてきた」
氷河が目を細め、低く告げる。
「あまり無理はするな。前より強くはなってるが、まだまだ成長途中だ」
「わーってるよ」
⸻
審判が箱を持ち上げ、くじを取り出す。
「四十番――七十八番」
「……いきなり俺かよ!」
志雄が叫んだ瞬間、対戦相手が一歩前に出た。
「よろしくな、坊主!」
筋骨隆々。胸をはだけ、油の光る肌。丸太のような腕、太い首。まるでプロレスラーを彷彿とさせる大男が牙のような笑みを見せる。
「よ、よろしく……」
二人は闘技場へと上がり、中央で一礼した。
「第一試合――開始!」
審判の声が落ちる。
⸻
大男が豪快に踏み込む。足音だけで地面が揺れる。
「早く降参しなきゃ、怪我するぜぇ!」
(遅い……)
志雄は心の中で呟いた。鍛錬で「龍閃」を二度まで撃てるようになったとはいえ、ここで無闇に切り札を晒すわけにはいかない。
「……っ!」
大男の腕が振り下ろされる瞬間、志雄は低く身を沈め、足を引っ掛けた。
「ぬおっ!?」
体格差のせいで重心の移動が遅れ、大男の身体が大きくぐらつく。その隙を逃さず、志雄は全力のストレートを腹に叩き込んだ。
「ぐっ……!」
大男は呻き声を上げ、よろめきながら後退。だが、後ろは柵のない場外だ。
「――うわぁぁっ!」
そのままバランスを崩し、巨体が地面に落ちた。
「勝者、四十番!」
審判の宣言が響く。
志雄は肩で息をしながらも、ぱっと笑顔を浮かべ、観覧席の氷河に向かってピースサインを送った。
氷河は腕を組んだまま、ふっと口角を上げた。
(……悪くない立ち上がりだな)
円形に作られた予選会場は、すでに人で溢れていた。観客ではなく、参加者だ。剣を担ぐ者、拳に包帯を巻く者、ローブに魔導石を縫い込んだ術士まで。雑多な強者候補たちが一堂に会し、空気が熱を帯びている。
「人……すげぇいるな……」
志雄はごくりと唾を飲む。
氷河は冷静に辺りを見渡しながら応じた。
「そりゃそうだ。賞金が金貨五百枚。誰だって喰いつく」
中央の台座に、一人の男が立った。
黒いスーツに身を包み、胸には銀の紋章。背筋を伸ばし、低い声で告げる。
「――静粛に。参加者は手元にある番号札を確認してください」
志雄が手を開く。
「俺、四十番!」
氷河は淡々と口にした。
「俺は二番だな」
「確認は済みましたね? それでは、ルールを説明します」
男の声が会場に響いた。
「予選は――先に技を通した方の勝利です。もっとも、必ずしも技でなくても構わない。相手を気絶させる、もしくは場外に落とすことでも勝利となります」
「ただし――殺傷は禁止。致命傷を与える攻撃をした者はその場で失格となる」
「武器の持ち込み、魔法の使用は認められます。ただし禁止指定された呪具の使用は禁止。詳しくは貼り出された掲示板に従ってください」
ざわめく参加者たち。
「試合は三つの予選闘技場で同時に行います。順番は――今から行うくじ引きで決定。最後に八名残った者が本戦へ進出します」
志雄は拳を握った。
「やべぇ……怖いけど、なんかワクワクしてきた」
氷河が目を細め、低く告げる。
「あまり無理はするな。前より強くはなってるが、まだまだ成長途中だ」
「わーってるよ」
⸻
審判が箱を持ち上げ、くじを取り出す。
「四十番――七十八番」
「……いきなり俺かよ!」
志雄が叫んだ瞬間、対戦相手が一歩前に出た。
「よろしくな、坊主!」
筋骨隆々。胸をはだけ、油の光る肌。丸太のような腕、太い首。まるでプロレスラーを彷彿とさせる大男が牙のような笑みを見せる。
「よ、よろしく……」
二人は闘技場へと上がり、中央で一礼した。
「第一試合――開始!」
審判の声が落ちる。
⸻
大男が豪快に踏み込む。足音だけで地面が揺れる。
「早く降参しなきゃ、怪我するぜぇ!」
(遅い……)
志雄は心の中で呟いた。鍛錬で「龍閃」を二度まで撃てるようになったとはいえ、ここで無闇に切り札を晒すわけにはいかない。
「……っ!」
大男の腕が振り下ろされる瞬間、志雄は低く身を沈め、足を引っ掛けた。
「ぬおっ!?」
体格差のせいで重心の移動が遅れ、大男の身体が大きくぐらつく。その隙を逃さず、志雄は全力のストレートを腹に叩き込んだ。
「ぐっ……!」
大男は呻き声を上げ、よろめきながら後退。だが、後ろは柵のない場外だ。
「――うわぁぁっ!」
そのままバランスを崩し、巨体が地面に落ちた。
「勝者、四十番!」
審判の宣言が響く。
志雄は肩で息をしながらも、ぱっと笑顔を浮かべ、観覧席の氷河に向かってピースサインを送った。
氷河は腕を組んだまま、ふっと口角を上げた。
(……悪くない立ち上がりだな)
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