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夕立のおはなし
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それは、刹那の部活が終わり、いつものように教室で読書をして待っていた瑠々が一緒に下校している時だった。少し空が暗くなってきたなと刹那が気付き、早く帰らないと雨降っちゃうと瑠々が思い始めた時、やはり雨が降ってきた。夕立だ。刹那と瑠々は走って公園の休憩所へと急いだ。
「あーあ、やっぱり降ってきちゃったね」
「そうだね。すぐ止むだろうし、少しここで待機だね」
「うん。ハンカチでどこまで拭けるかな」
「僕の使ってないタオル、余ってるから使って」
「え、でも」
「僕の分もあるから、大丈夫」
「ありがとう、セツくん。洗って返すね」
そんなこと付き合っているのだから気にならないのに、いつまでも真面目で律儀で健気だ。刹那は、瑠々の愛しさに、ふっと優しく微笑んだ。
「でも、雨なんて久しぶりだよね。ずっと、お天気よかったから」
「天気予報、今日も晴れって言ってったっけ。外れだね。寒くない?大丈夫?」
「うん、大丈夫。ありがとう。セツくんも、大丈夫?」
「瑠々が大丈夫なら、僕はもっと大丈夫だよ」
「む、どうせ普段から鍛えてないですよー」
他愛もない話に、二人はくすくすと笑いあった。そのまま、そのままでよかったのだ。しかし、刹那はふと瑠々に何となしに目をやってしまった。雨で透けたセーラー服が見えた。下にタンクトップを着ているとはいえ、その隠しきれていない瑠々の二の腕に刹那は激しく動揺した。
「どうかした?セツくん」
何も知らない瑠々は、無防備に刹那へ微笑みかける。何かが、弾けた音がした。
「セツくん?」
こてんと首を傾げた瑠々に、着ていた部活のジャージを瑠々に羽織らる。そのままジャージごと引っ張り引き寄せると、噛みつくようにキスをした。目を見開く瑠々が愛しくて、刹那は甘く何度も口付けを繰り返す。
「セツ、く……んっ」
零れる自分を呼ぶ声が、なんと甘美に聞こえることか。瑠々が外であることをまだ気にしているのを感じ取った刹那は、ジャージをぐっと上にあげて瑠々と自分の顔を隠してやる。柔らかな唇、雨の匂いで更に引き立つ瑠々の甘い香り、その香りに上塗りするように被せた自分のジャージ。刹那の気持ちを高ぶらせる要素は、全て揃ったと言ってもいいだろう。それほどまでに、刹那は珍しく欲情していた。
するりと瑠々のうなじに手を添えて、自然と上を向かせて自分の唾液を飲ませ、飲み込むようにまたキスで口を塞いで促す。こくん、と瑠々が飲み込んだのを確認すると、刹那は欲が一つ満たされたような気がした。このまま乱せばどうなるか。
一度唇を離し親指ですっとどちらのか分からない唾液を拭えば、瑠々はその強烈な色気に顔を真っ赤にして一歩後ろにさがろうとした。そんなことを刹那が許すはずもなく、瑠々の腰をぐっと抱くと被せていたジャージが下にはらりと落ちた。
「あ、め……あがった、よ」
雨はすっかりあがり、晴れ間が見えた。潤んだ瑠々の瞳にはっとした刹那は、抱き寄せていた腰を離した。
「……帰ろうか」
「う、ん……」
刹那は落ちたジャージを拾い軽く叩いて、スポーツバックに詰める。そのままバックを持ち上げ、瑠々を振り返ると横を向いて無意識に唇を指先で撫でていた。
「……雨さえ降り続いてたら」
「え……?」
「いや、なんでもないよ。行こう」
「うん……あの」
「ん?」
「手、繋いで……」
「くすっ、よろこんで」
瑠々の意外なお願いに内心驚きつつ、刹那はそれを表情に出さないまま手をそっと握った。やはり、雨さえ降り続いてたら……。その続きは、何も詮索しないことにしよう。
「あーあ、やっぱり降ってきちゃったね」
「そうだね。すぐ止むだろうし、少しここで待機だね」
「うん。ハンカチでどこまで拭けるかな」
「僕の使ってないタオル、余ってるから使って」
「え、でも」
「僕の分もあるから、大丈夫」
「ありがとう、セツくん。洗って返すね」
そんなこと付き合っているのだから気にならないのに、いつまでも真面目で律儀で健気だ。刹那は、瑠々の愛しさに、ふっと優しく微笑んだ。
「でも、雨なんて久しぶりだよね。ずっと、お天気よかったから」
「天気予報、今日も晴れって言ってったっけ。外れだね。寒くない?大丈夫?」
「うん、大丈夫。ありがとう。セツくんも、大丈夫?」
「瑠々が大丈夫なら、僕はもっと大丈夫だよ」
「む、どうせ普段から鍛えてないですよー」
他愛もない話に、二人はくすくすと笑いあった。そのまま、そのままでよかったのだ。しかし、刹那はふと瑠々に何となしに目をやってしまった。雨で透けたセーラー服が見えた。下にタンクトップを着ているとはいえ、その隠しきれていない瑠々の二の腕に刹那は激しく動揺した。
「どうかした?セツくん」
何も知らない瑠々は、無防備に刹那へ微笑みかける。何かが、弾けた音がした。
「セツくん?」
こてんと首を傾げた瑠々に、着ていた部活のジャージを瑠々に羽織らる。そのままジャージごと引っ張り引き寄せると、噛みつくようにキスをした。目を見開く瑠々が愛しくて、刹那は甘く何度も口付けを繰り返す。
「セツ、く……んっ」
零れる自分を呼ぶ声が、なんと甘美に聞こえることか。瑠々が外であることをまだ気にしているのを感じ取った刹那は、ジャージをぐっと上にあげて瑠々と自分の顔を隠してやる。柔らかな唇、雨の匂いで更に引き立つ瑠々の甘い香り、その香りに上塗りするように被せた自分のジャージ。刹那の気持ちを高ぶらせる要素は、全て揃ったと言ってもいいだろう。それほどまでに、刹那は珍しく欲情していた。
するりと瑠々のうなじに手を添えて、自然と上を向かせて自分の唾液を飲ませ、飲み込むようにまたキスで口を塞いで促す。こくん、と瑠々が飲み込んだのを確認すると、刹那は欲が一つ満たされたような気がした。このまま乱せばどうなるか。
一度唇を離し親指ですっとどちらのか分からない唾液を拭えば、瑠々はその強烈な色気に顔を真っ赤にして一歩後ろにさがろうとした。そんなことを刹那が許すはずもなく、瑠々の腰をぐっと抱くと被せていたジャージが下にはらりと落ちた。
「あ、め……あがった、よ」
雨はすっかりあがり、晴れ間が見えた。潤んだ瑠々の瞳にはっとした刹那は、抱き寄せていた腰を離した。
「……帰ろうか」
「う、ん……」
刹那は落ちたジャージを拾い軽く叩いて、スポーツバックに詰める。そのままバックを持ち上げ、瑠々を振り返ると横を向いて無意識に唇を指先で撫でていた。
「……雨さえ降り続いてたら」
「え……?」
「いや、なんでもないよ。行こう」
「うん……あの」
「ん?」
「手、繋いで……」
「くすっ、よろこんで」
瑠々の意外なお願いに内心驚きつつ、刹那はそれを表情に出さないまま手をそっと握った。やはり、雨さえ降り続いてたら……。その続きは、何も詮索しないことにしよう。
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