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【第六話】
君と見るイルミネイトは
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リビングルームへ移動し、咲も俺も数度絶頂を迎え、体液とローションにまみれながら、ベッドで寝ころびハグをする。
俺の腕に頭を預け上目遣いで話しかける咲の姿に、俺はこれ以上ないときめきを感じた。
シャワーも浴びず、触れ合いながら余韻に浸る。
そんな些細なことが、こんなにも嬉しいなんて。
エッチもそりゃ気持ち良いけれど、俺はそれ以上にこういう時間を大切にしたかった。
「そうだ、咲! この後イルミネーションを見に行かないか? もうすぐクリスマスだろ? だから街の方でツリーに飾り付けが行われてるんだって」
「良いね。じゃあ早速支度する?」
「んー。いや、もうちょっとこのままで。まだ終電まで時間あるし。俺、咲とこうやってくっついてるの好きなんだ」
「あはは。僕も嫌いじゃないよ。こういう時間」
「咲……!」
俺はその言葉に感動して、思いっきり咲を抱きしめなおす。
初めのうちはすぐにシャワーに追い立てられてたのに、こうして行為が終わった後もベッドでのんびりと笑い合う。
ダメだ。感慨深くて泣きそうになる。
もうこれ以上俺は感情を抑えられる気がしなかった。
今日、告白してしまおうか。
キラキラと輝く街路樹の中、手を取って思いを伝える。
上手くいったら、クリスマスには俺たち恋人同士ってことだよな。
ヤバい、今まで迎えてきたどんなクリスマスよりドキドキする。
子供時代、サンタを信じてた頃よりクリスマスが楽しみって、相当浮かれてるだろ、俺。
「そういえば、咲ってサンタ信じてた? 俺、小五くらいまで実際にサンタがいると思ってさ。この話するとすっげー馬鹿にされるんだよな」
そんな軽口を叩くけれど、咲はそっと目を伏せ、俺から視線を逸らす。
俺の事を笑う感じじゃなくて、諦めたような笑みを浮かべて。
「サンタ、か。僕の家では一度も来たことがなかったな。クリスマスも、家族みんなで過ごしたことは無かったし」
「あ、ゴメン! そんなつもりは無かったんだ」
「謝る必要は無いよ。ただ、少しだけ羨ましいなって思って。クリスマスも、ただの祝日とそう変わりなかったから」
咲は俺から身体を背けようとするから、ぎゅうっと抱き締めて、そうはさせないよう抵抗する。
そしてどこか不安げな顔をする咲のおでこに、コツンと自らの額を合わせた。
「じゃあさ! これから俺といっぱい楽しい思い出作っていけばいーじゃん! 俺が咲のサンタになるし。折角だし来週はチキンとケーキも買い込もうぜ! 二人だけのクリスマスパーティー開催! みたいな?」
「あはは。最初から正体が分かっているサンタって、なんだか面白いね。でもきっと、剛と過ごすクリスマスは楽しいだろうな」
「モチ! 咲が今まで過ごしてきたどんなクリスマスより最高なものにするから、楽しみにしてろよ~」
そんな他愛ない会話をしていると、咲がクシュン、とくしゃみをした。
「ワリ、やっぱり寒いよな。風呂入って来いよ」
「そうだね。もうそろそろ準備しないと」
「俺も荷物とか片付けておくし。いってらっしゃい」
咲がバスルームへ行くのを見送って、俺もティッシュで自分の手を拭う。
思い出のないクリスマス、か。
時折、咲は一人ぼっちの子供のような迷いを瞳に浮かべている。
その孤独を、俺が埋められたら良いのに。もうそんな顔をしなくて済むよう、たくさん、咲を愛したい。
けれど、俺の祈りにも似た想いは、まだ咲には届かないのであった。
俺の腕に頭を預け上目遣いで話しかける咲の姿に、俺はこれ以上ないときめきを感じた。
シャワーも浴びず、触れ合いながら余韻に浸る。
そんな些細なことが、こんなにも嬉しいなんて。
エッチもそりゃ気持ち良いけれど、俺はそれ以上にこういう時間を大切にしたかった。
「そうだ、咲! この後イルミネーションを見に行かないか? もうすぐクリスマスだろ? だから街の方でツリーに飾り付けが行われてるんだって」
「良いね。じゃあ早速支度する?」
「んー。いや、もうちょっとこのままで。まだ終電まで時間あるし。俺、咲とこうやってくっついてるの好きなんだ」
「あはは。僕も嫌いじゃないよ。こういう時間」
「咲……!」
俺はその言葉に感動して、思いっきり咲を抱きしめなおす。
初めのうちはすぐにシャワーに追い立てられてたのに、こうして行為が終わった後もベッドでのんびりと笑い合う。
ダメだ。感慨深くて泣きそうになる。
もうこれ以上俺は感情を抑えられる気がしなかった。
今日、告白してしまおうか。
キラキラと輝く街路樹の中、手を取って思いを伝える。
上手くいったら、クリスマスには俺たち恋人同士ってことだよな。
ヤバい、今まで迎えてきたどんなクリスマスよりドキドキする。
子供時代、サンタを信じてた頃よりクリスマスが楽しみって、相当浮かれてるだろ、俺。
「そういえば、咲ってサンタ信じてた? 俺、小五くらいまで実際にサンタがいると思ってさ。この話するとすっげー馬鹿にされるんだよな」
そんな軽口を叩くけれど、咲はそっと目を伏せ、俺から視線を逸らす。
俺の事を笑う感じじゃなくて、諦めたような笑みを浮かべて。
「サンタ、か。僕の家では一度も来たことがなかったな。クリスマスも、家族みんなで過ごしたことは無かったし」
「あ、ゴメン! そんなつもりは無かったんだ」
「謝る必要は無いよ。ただ、少しだけ羨ましいなって思って。クリスマスも、ただの祝日とそう変わりなかったから」
咲は俺から身体を背けようとするから、ぎゅうっと抱き締めて、そうはさせないよう抵抗する。
そしてどこか不安げな顔をする咲のおでこに、コツンと自らの額を合わせた。
「じゃあさ! これから俺といっぱい楽しい思い出作っていけばいーじゃん! 俺が咲のサンタになるし。折角だし来週はチキンとケーキも買い込もうぜ! 二人だけのクリスマスパーティー開催! みたいな?」
「あはは。最初から正体が分かっているサンタって、なんだか面白いね。でもきっと、剛と過ごすクリスマスは楽しいだろうな」
「モチ! 咲が今まで過ごしてきたどんなクリスマスより最高なものにするから、楽しみにしてろよ~」
そんな他愛ない会話をしていると、咲がクシュン、とくしゃみをした。
「ワリ、やっぱり寒いよな。風呂入って来いよ」
「そうだね。もうそろそろ準備しないと」
「俺も荷物とか片付けておくし。いってらっしゃい」
咲がバスルームへ行くのを見送って、俺もティッシュで自分の手を拭う。
思い出のないクリスマス、か。
時折、咲は一人ぼっちの子供のような迷いを瞳に浮かべている。
その孤独を、俺が埋められたら良いのに。もうそんな顔をしなくて済むよう、たくさん、咲を愛したい。
けれど、俺の祈りにも似た想いは、まだ咲には届かないのであった。
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