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しおりを挟む理不尽に聞こえるその提案も、俺に迫られている選択も、全部投げ出して、ここから逃げたい。最期に振り絞った俺の叫びは目の前の巨体に飲み込まれ、何のカタチも成さなかった。
「ああ、うるさいな。だから人間は嫌なんだ。自分の都合ばっかりだ。違うか。キミだからか?そうだな。そうさ、勝手に今まで思い出さなかっただけだろう?それなのに煩いんだ。騙してなんかいない。ちゃんと言った。止めても良いと言ったはずさ?それを最後は自分で選んだっていうのに……まあいいさ。そんなキミが、人間になったキミは、どちらを選ぶんだろうな?」
ギョロギョロとした目に抉られそうになる。いや、もうとっくに俺の戦意は抉られた後で、その場に立っているのがやっとだった。
「特別にもう一つ教えてやろう。厄災は三日後だ。三日後に海の中だ。もう知ったな?キミはもう知ってしまった。知っているのに選ぶんだ。楽しいな?人間になって良かったなあ?なあそうだろう?」
ソレはまた気持ちの悪い笑い声を辺りに響かせたかと思うと、次の瞬間、跡形もなく消えていた。
重苦しい蓋が外れた冬の空で、透き通るような青空が息を吹き返している。
それなのに何かが胃の中に沈殿したままだ。
全部俺のせいだった。
このまま全てを投げ出して、俺だけ消えてしまえば楽なのかもしれない。
やっと気付いた「生きていたい」なんて想いはもうどこにも見当たらない。
こうなったら俺はどうなっても良い。
俺の夢なんてどうでも良い。
でも、ソラは……
ソラは、明るい所で笑っているのが似合うんだ──。
俺は、気が付くと走り出していた。
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