星貼りたちの飛行船

hana4

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「最後にもう一つ。秘密のお話をしましょうか?」


ドレスの裾をふんわりと広げて座ったダイアさんは、僕をお膝に座らせてくれる。
僕は大きくなったと思っていたけど、まだダイアさんにすっぽりと包んでもらえた。
「私たちは祈る事があまり上手じゃなかったから、祈りを沢山集める事になったの」
「知ってるよ?」
「うふふ、いい子ね。ボクちゃん?ここで私が貰えた一番のご褒美は、ボクちゃん。あなたよ?」

とっても嬉しい事を言って貰えたはずなのに、何故だか僕は寂しかった。

「実は私たちが祈りを集めに行くあの場所はね、私たちが一度諦めてしまった場所なの。―――そう。私はここに来る前、あの場所で大事な大事な人のためだけに生きていた。それにいつか、宝物も増えると信じながら毎日を暮らしていたわ。夜空に浮かんだお星さまにも何度も何度もお願いをして……でもね、私の願いは叶わなかった。」
ダイアさんは優しくて静かな声でお話してくれている。僕はお膝の上で、ダイアさんのキラキラを浴びながらそれを聞いていた。
「あの時。私の願いがもう絶対叶わないと知った時、私は諦めてしまったの。お星さまにも、ずっと側に居てくれた大事な大事な人にもわかって貰えないと思い込んで、祈る事さえしなかった。―――それでね、この飛行船に来ることになったの」
「ダイアさんはここに来た時、その事を覚えてた?」
「いいえ。いつ来たのかさえ覚えていなかったわ。でもね?ボクちゃんと「初めまして」をした時から、少しずつ思い出していったの。それに、ボクちゃんがお名前の事も教えてくれたから、私たちがそれぞれ「自分」として生きている事を、みんなも思い出すことが出来たのよ?」
ダイアさんが僕を宝物みたいに抱きしめてくれるから、僕もいつもよりキラキラと光っている。
ダイアさんの遠い目の先には、いつかの願いの場所があるようだった。
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