intercalary

hana4

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「……」

若菜は寧々のその発言に答えることは出来なかった。岳が同じ高校に進学したということをが知っていたかどうかわからない。例えその答えを間違ってしまったとしても、寧々と海音に誤魔化すことは出来ると思う。しかし、いつも冷静で大人な岳は誤魔化せる気がしなかった。


「別に、ここが一番家から近かったから、来ただけ」


若菜は自分の表情が硬くなっていることに気付いていたが、上手く言葉が出てこない。そんな時、岳が少し面倒くさそうな声で呟くと。寧々はそれですら満足と言わんばかりの表情で「そうなんだぁ」と子猫のような声を出す。海音は寧々の変貌に呆れながらも「ここが岳の近所で良かった」という点で、寧々と意気投合しているようだった。


「……ってか、若菜?大丈夫?」


若菜にいち早く気が付いた様子の岳は、心の底から心配している様子でその顔を覗き込む。


「あっ……うん。ごめん。大丈夫。私も……寧々?と離れちゃったのは寂しいけど」

「っえ、若菜?今日何か変じゃない?」

「そう?……あっ昨日、ちょっと熱あったせいかな?」

「大丈夫?あっ!もしかして、まだ具合悪い?」


寧々のことを探りながらの会話で若菜は疲労困憊だった。「わからない」という状態に置かれると、人はものすごくストレスを感じるらしい。いつもの年よりは遥かに安心感のあるでもこれだ、“いつもの年”の若菜はこれ以上のストレスを始業式で感じることになる。「それに比べれば」と自分に言い聞かせ、若菜はなんとか心を保っていた。


「ねねーっ?教室行かないの?」


その時、教室の入り口から寧々を呼ぶ声がした。


「いま行くね!若菜ごめん、お大事にね?それから海音、ほら、わたしにも友達いることわかったでしょ?んじゃ、終わったらまた来るからっ!」

「うるせえな。中学から全然成長してないじゃんね?」

「ホント、進藤は変わらないな……」

(進藤……寧々ちゃんっていうのか。ちゃんと覚えなきゃ)


寧々のことを名字で呼んでいた岳のおかげで、若菜はやっと寧々のフルネームを知ることができた。ずいぶんととは仲が良いらしい寧々とはきっと沢山の時間を一緒に過ごすことになるのだろう。距離の近い寧々に少しだけ苦手意識を抱いてしまった若菜は、今後のことを頭の中でシミュレーションしておく必要性を感じていた。


「若菜大丈夫?まだ熱あるんじゃない?」


岳の声にハッと我に返ると、若菜は「大丈夫だよ!」と大きめの声で答える。


「めっちゃ元気じゃん。でも今日は何か、いつもの若菜ってよりかは、あの、バカナだった頃を思い出すかも」

「はあ?ってか、未だにバカナって呼んでたの?」

「……?」

「何を今さら。ってか、なんなん?中学入ってからは大人ぶって、バカナって呼んでもツッコミもしなかったクセに!」

「……えっ?あー、それは、まぁ」

「若菜っ……」

「あっそういえば!美緒ちゃんも一緒のクラスじゃん!もう来たかなあ?」


岳の呼びかけを遮るようにして話を逸らした若菜は、教室の入り口の近くにあるはずの美緒の席をキョロキョロと探す。


「美緒ちゃんって……え?」
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