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第1章 入学前
15話 九尾狐
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…………
雲のようなふわふわに包まれた感覚。
ここは天国なのだろうか。
そっと目を開ける。
すると、なんと俺は大きなキツネの尻尾に包まれていた。
小麦色で、尻尾が九尾生えている。現実世界にはいない生き物だ。
そのキツネが俺をじっと見つめている。
「ここは……」
当たりを見渡すと、一面中の草原。
どうやら赤砂寮と食事街を結ぶ田舎道のはずれのようだ。
「……状況が読み込めない。なにが起こったんだっけ……」
あの後気を失ってしまったのだろうか。
しかし、必死に抱えていた少女の肢体がない。
「フィ……フィアス…………!!」
ぎゅっ
「えっ……?」
九尾のキツネが尻尾で俺を優しく包み込む。
そして、何かを伝えようとするように、俺を見つめている。
「君は一体……」
九尾のキツネを見つめていると、そのもふもふした体からひょっこりと、あの小動物が現れた。
「あ! お前は森の中で助けたやつ!」
九尾のキツネが、尻尾を操って俺のカバンから杖を取り出そうとする。
「杖を握れってことか……?」
心乃さんから貰った緑の杖。
それを握ってもう一度九尾のキツネを見る。
『どうでしょう、私の声、聞こえますか?』
「声が聞こえた……! もしかして、あなたの声!?」
九尾のキツネは優しい瞳で俺を見つめている。
『はい、私の心の声です。心乃のマナがたくさん込められたその杖は、貴方を【生命の次元】へと繋いでくれます。それにより、相手の生命波を感じることができるはずです。特に、私のように生命波が強い生物の心に限れば、このように言語として認識できるでしょう』
「君は心乃さんの知り合いなんですか……?」
『ええ。私は九尾狐、幻獣です。幻獣は高次元世界でも数が少ない上、色んな者から狙われやすいのですが、心乃は私達に寄り添い、護ってくれる。そして、私は先日貴方に助けていただいた子の母です。先日は本当にありがとうございました』
「いえ、そんな……。その九尾狐さんがどうして俺を包んでいるんですか?」
『覚えていませんか? 貴方、そこの田舎道で気を失って倒れていたんですよ。たまたまそこを通りかかったので、恐縮ながら拾わせていただきました』
「田舎道で気を失っていた……? あの、今何時頃か分かりますか!?」
『朝8時といったところでしょうか』
「朝8時……!? もしかして、今までのは夢だった……? それとも、翌日になってしまったのか? フィアスは……生きているのか……?」
俺はすぐに立ち上がって青月館へ向かおうとしたが、九尾狐の尻尾が離してくれなかった。
『落ち着いてください。大丈夫、貴方の考える最悪の事態に陥る前ですよ』
杖を握っているからなのか、九尾狐からとても強い生命エネルギーを感じる。
これがさっき言っていた生命波というものなのだろうか。
それはとても暖かくて、焦りや不安がだんだんと薄まっていく。
「良かった……」
あの絶望が夢で本当に救われた。
『先を急いではいけません。落ち着いて、冷静に状況を把握するのです。最善の道は必ず答えはありますから』
「九尾狐さんはどこまで知っているんですか……?」
『私は何も知りません。ですが、貴方は辿り着かなければいけません。心乃が貴方に杖を託した理由と、この高次元世界の核心に』
「心乃さんが俺に杖を託した理由……?」
『最後に、何か聞いておきたいことはありますか? 私に分かることならばお答えします』
「超能力を使いすぎて死ぬことって……あるんですか?」
『生物はマナが尽きると死にます。超能力、すなわち次元への干渉は選ばれたマナを持つ生物のみが行えますが、やりすぎるとマナが消費され続け、いずれは尽きてしまい、死に至ります』
フィアスは自分のマナを大量に使うことで【闇の次元】に干渉し、マナが尽きてしまったということか。
でもそれなら、雪夜も凄い勢いで超能力を使っていたはずなのに、どうしてフィアスだけが一方的に……あっ!
「もしかして、マナが少ないと体調が悪くなったりしませんか?」
『ええ。マナはその人のパワーですから』
やっぱり。
フィアスがずっと体調不良だったのは、マナが溜まりにくい体質だからなのかもしれない。
日に日に体調が良くなってきていたのは、毎日少しずつマナが溜まっていたからなんだ。
『貴方の顔から焦りや不安が消えましたね。もう大丈夫、使命を果たしにお行きください』
九尾狐の尻尾からほどかれた。
と思ったら、九尾狐の姿が消えた。
「あれ、九尾狐さん……?」
当たりを見渡しても、何もない。
「……ありがとうございます」
タッタッタッ
俺は青月館へ走り出した。
それを木の陰からエメラルド色の瞳で見ていた緑髪の少女は、静かに何かをつぶやいた。
雲のようなふわふわに包まれた感覚。
ここは天国なのだろうか。
そっと目を開ける。
すると、なんと俺は大きなキツネの尻尾に包まれていた。
小麦色で、尻尾が九尾生えている。現実世界にはいない生き物だ。
そのキツネが俺をじっと見つめている。
「ここは……」
当たりを見渡すと、一面中の草原。
どうやら赤砂寮と食事街を結ぶ田舎道のはずれのようだ。
「……状況が読み込めない。なにが起こったんだっけ……」
あの後気を失ってしまったのだろうか。
しかし、必死に抱えていた少女の肢体がない。
「フィ……フィアス…………!!」
ぎゅっ
「えっ……?」
九尾のキツネが尻尾で俺を優しく包み込む。
そして、何かを伝えようとするように、俺を見つめている。
「君は一体……」
九尾のキツネを見つめていると、そのもふもふした体からひょっこりと、あの小動物が現れた。
「あ! お前は森の中で助けたやつ!」
九尾のキツネが、尻尾を操って俺のカバンから杖を取り出そうとする。
「杖を握れってことか……?」
心乃さんから貰った緑の杖。
それを握ってもう一度九尾のキツネを見る。
『どうでしょう、私の声、聞こえますか?』
「声が聞こえた……! もしかして、あなたの声!?」
九尾のキツネは優しい瞳で俺を見つめている。
『はい、私の心の声です。心乃のマナがたくさん込められたその杖は、貴方を【生命の次元】へと繋いでくれます。それにより、相手の生命波を感じることができるはずです。特に、私のように生命波が強い生物の心に限れば、このように言語として認識できるでしょう』
「君は心乃さんの知り合いなんですか……?」
『ええ。私は九尾狐、幻獣です。幻獣は高次元世界でも数が少ない上、色んな者から狙われやすいのですが、心乃は私達に寄り添い、護ってくれる。そして、私は先日貴方に助けていただいた子の母です。先日は本当にありがとうございました』
「いえ、そんな……。その九尾狐さんがどうして俺を包んでいるんですか?」
『覚えていませんか? 貴方、そこの田舎道で気を失って倒れていたんですよ。たまたまそこを通りかかったので、恐縮ながら拾わせていただきました』
「田舎道で気を失っていた……? あの、今何時頃か分かりますか!?」
『朝8時といったところでしょうか』
「朝8時……!? もしかして、今までのは夢だった……? それとも、翌日になってしまったのか? フィアスは……生きているのか……?」
俺はすぐに立ち上がって青月館へ向かおうとしたが、九尾狐の尻尾が離してくれなかった。
『落ち着いてください。大丈夫、貴方の考える最悪の事態に陥る前ですよ』
杖を握っているからなのか、九尾狐からとても強い生命エネルギーを感じる。
これがさっき言っていた生命波というものなのだろうか。
それはとても暖かくて、焦りや不安がだんだんと薄まっていく。
「良かった……」
あの絶望が夢で本当に救われた。
『先を急いではいけません。落ち着いて、冷静に状況を把握するのです。最善の道は必ず答えはありますから』
「九尾狐さんはどこまで知っているんですか……?」
『私は何も知りません。ですが、貴方は辿り着かなければいけません。心乃が貴方に杖を託した理由と、この高次元世界の核心に』
「心乃さんが俺に杖を託した理由……?」
『最後に、何か聞いておきたいことはありますか? 私に分かることならばお答えします』
「超能力を使いすぎて死ぬことって……あるんですか?」
『生物はマナが尽きると死にます。超能力、すなわち次元への干渉は選ばれたマナを持つ生物のみが行えますが、やりすぎるとマナが消費され続け、いずれは尽きてしまい、死に至ります』
フィアスは自分のマナを大量に使うことで【闇の次元】に干渉し、マナが尽きてしまったということか。
でもそれなら、雪夜も凄い勢いで超能力を使っていたはずなのに、どうしてフィアスだけが一方的に……あっ!
「もしかして、マナが少ないと体調が悪くなったりしませんか?」
『ええ。マナはその人のパワーですから』
やっぱり。
フィアスがずっと体調不良だったのは、マナが溜まりにくい体質だからなのかもしれない。
日に日に体調が良くなってきていたのは、毎日少しずつマナが溜まっていたからなんだ。
『貴方の顔から焦りや不安が消えましたね。もう大丈夫、使命を果たしにお行きください』
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と思ったら、九尾狐の姿が消えた。
「あれ、九尾狐さん……?」
当たりを見渡しても、何もない。
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