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第1章 入学前
16話 最後の挑戦
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「……あれ?」
自分の体を確認する。
しかし、闇が見えない。
なんとなくそんな気はしていたけど、これまで闇を認識できていたのは夢の中だったかららしい。
現実の俺は、次元を認識することができなければマナも見えない、ただの無能力者なのだ。
「でも、今の俺は深い闇に染まっているんだよな」
この状態で青月館へ行くわけにはいかない。
行けば、雪夜が豹変してしまう。
プルルルル……
『もしもし? あ、糸! 昨日なんで来てくれなかったのさ。もうお腹ペコペコだよ~』
「ああ……何度も聞いたフィアスのセリフだ……」
『感嘆しちゃって何なのさ。なんでもいいけど早くご飯持ってきてね~』
「フィアス、ごめんだけど今日は外で食べようよ」
『ええ、めんどくさいなあ……。買ってきてよ』
「今日だけは事情があるんだよ。明日からはちゃんと作りに行くからさ」
穏やかな明日が来れば。
『はいはい、分かったよ。じゃあ着替えて食事街に向かうね』
プツン
これでいきなり雪夜が闇に飲まれることは無いはずだ。
俺は食事街のベンチでフィアスを待った。
◇◇◇
「お待たせ~」
フィアスは白とピンクの少しおしゃれな服を着て現れた。
「フィ……アス………。ああ、フィアスだ!!」
俺は思わずフィアスを抱きしめた。
「ぎゃああああ!! ちょっといきなり何してんのさ!!」
フィアスは顔を赤らめて慌てて振りほどく。
「ごめん……。体調は大丈夫?」
「なんだったの今の! 体調は前よりはマシになってきたけど、まだずっとベッドで寝ていたいくらいかな。それよりご飯行くんでしょ、行こうよ」
俺達は定食屋さんに入った。
「いただきま~す!」
昨日から何も食べていないというフィアスは美味しそうにエビフライ定食を食べ始めた。
「フィアス、今、俺から黒い闇が見えてる?」
「うん、見えてるよ。敢えて触れなかったけど、かなりやばいね。何があったの?」
「ものすごい悪夢を見たんだ」
俺はフィアスに雪夜が暴走することをはじめ、これまでの立ち回りと失敗談を告げた。
「それはそれは、お疲れ様だったね。昨日の夜から上の階にすごい闇を感じていたけど、あれはやっぱり雪夜だったんだ」
「俺は雪夜を救いたいんだ。よければ……またフィアスの力を貸してほしい」
「いいよ。でも救うっていってもどうするの?闇を取り払えば一時的に雪夜は正気を取り戻すのかもしれないけど、しばらくしたらまた闇に覆われてしまうと思うよ」
「うん。前回は雪夜の闇を撲滅しようとして失敗した。だから、今回は雪夜に闇をコントロールしてもらおうと思う」
「そんなことできるの?」
「杖を使うんだ。雪夜合う杖なら、きっと雪夜が闇をコントロールする手助けになるはず。だから雪夜に合う杖を探して、雪夜に持たせたい」
「分かった。杖ってどこで売ってるの?」
「水仙道街。ご飯を食べ終わったら早速行こう」
◇◇◇
いつもの杖屋にて。
「おやじ! 【闇の次元】に適性のある杖ってないか?」
「あいいらっしゃい。【闇の次元】なあ……珍しくて数が少ないんだよ。その分値が張るぜ」
「一番安いのでいくら?」
「10万ってとこだな」
高い……。俺の三か月分の生活費だ。
「お? お嬢ちゃんのマナ、ダイヤモンドのように白く輝いていて、すっげえ綺麗だな。お嬢ちゃんのマナをちょっと分けてくれるならこの杖をやってもいいぞ」
「マナを渡すだって?」
「ああ、マナはモノに保管することができるからな。こんな純粋で美しいマナからは、とても素晴らしい杖が作れるぞ。どうだお嬢ちゃん、マナと杖、取引しねえか?」
フィアスのマナは、一時的に次元に干渉できるとても貴重なマナだ。
それにフィアスはマナが少ないし、奪うとまた体調が悪くなってしまう。
「ダメだ。フィアスのマナは売らない」
「そりゃ残念だな。どうするんだ、10万円、払うかい?」
「うぐ……」
「糸、私のマナを使ってもいいよ」
「フィアス、さっきも話しただろ、フィアスのマナは貴重なんだって」
「でもマナはすぐに溜まっていくんでしょ?いいよ、今使ってこそ価値があるんじゃない」
「フィアス……」
「おじさん、私のマナを10万円分あげるよ。その杖と交換して」
「毎度あり!!」
おやじは不思議な箱へ、フィアスのマナを吸引した。
「うあ……あああああああああ!!!」
「フィアス!!!」
マナの吸引が終わると、フィアスはフラフラともたれかかってきた。
発汗しており、息が荒い。
「おやじ! 取りすぎてないだろうな!?」
「と、当然だぜ。だがこんなに体力を失うとは、よっぽどマナが少ない体質だったのかもな」
やはり、フィアスのマナは次元に干渉できるほど強力だが、その量は僅かしかないんだ。
「おやじ、この杖もたのむ」
「あいよ、4万円だぜ」
4万円を現金で払う。
これは前回フィアスが買っていた杖。
この杖がフィアスに合っていたことは言うまでもない。
ヨレヨレのフィアスを支えながら、再びチューベローズに向かった。
自分の体を確認する。
しかし、闇が見えない。
なんとなくそんな気はしていたけど、これまで闇を認識できていたのは夢の中だったかららしい。
現実の俺は、次元を認識することができなければマナも見えない、ただの無能力者なのだ。
「でも、今の俺は深い闇に染まっているんだよな」
この状態で青月館へ行くわけにはいかない。
行けば、雪夜が豹変してしまう。
プルルルル……
『もしもし? あ、糸! 昨日なんで来てくれなかったのさ。もうお腹ペコペコだよ~』
「ああ……何度も聞いたフィアスのセリフだ……」
『感嘆しちゃって何なのさ。なんでもいいけど早くご飯持ってきてね~』
「フィアス、ごめんだけど今日は外で食べようよ」
『ええ、めんどくさいなあ……。買ってきてよ』
「今日だけは事情があるんだよ。明日からはちゃんと作りに行くからさ」
穏やかな明日が来れば。
『はいはい、分かったよ。じゃあ着替えて食事街に向かうね』
プツン
これでいきなり雪夜が闇に飲まれることは無いはずだ。
俺は食事街のベンチでフィアスを待った。
◇◇◇
「お待たせ~」
フィアスは白とピンクの少しおしゃれな服を着て現れた。
「フィ……アス………。ああ、フィアスだ!!」
俺は思わずフィアスを抱きしめた。
「ぎゃああああ!! ちょっといきなり何してんのさ!!」
フィアスは顔を赤らめて慌てて振りほどく。
「ごめん……。体調は大丈夫?」
「なんだったの今の! 体調は前よりはマシになってきたけど、まだずっとベッドで寝ていたいくらいかな。それよりご飯行くんでしょ、行こうよ」
俺達は定食屋さんに入った。
「いただきま~す!」
昨日から何も食べていないというフィアスは美味しそうにエビフライ定食を食べ始めた。
「フィアス、今、俺から黒い闇が見えてる?」
「うん、見えてるよ。敢えて触れなかったけど、かなりやばいね。何があったの?」
「ものすごい悪夢を見たんだ」
俺はフィアスに雪夜が暴走することをはじめ、これまでの立ち回りと失敗談を告げた。
「それはそれは、お疲れ様だったね。昨日の夜から上の階にすごい闇を感じていたけど、あれはやっぱり雪夜だったんだ」
「俺は雪夜を救いたいんだ。よければ……またフィアスの力を貸してほしい」
「いいよ。でも救うっていってもどうするの?闇を取り払えば一時的に雪夜は正気を取り戻すのかもしれないけど、しばらくしたらまた闇に覆われてしまうと思うよ」
「うん。前回は雪夜の闇を撲滅しようとして失敗した。だから、今回は雪夜に闇をコントロールしてもらおうと思う」
「そんなことできるの?」
「杖を使うんだ。雪夜合う杖なら、きっと雪夜が闇をコントロールする手助けになるはず。だから雪夜に合う杖を探して、雪夜に持たせたい」
「分かった。杖ってどこで売ってるの?」
「水仙道街。ご飯を食べ終わったら早速行こう」
◇◇◇
いつもの杖屋にて。
「おやじ! 【闇の次元】に適性のある杖ってないか?」
「あいいらっしゃい。【闇の次元】なあ……珍しくて数が少ないんだよ。その分値が張るぜ」
「一番安いのでいくら?」
「10万ってとこだな」
高い……。俺の三か月分の生活費だ。
「お? お嬢ちゃんのマナ、ダイヤモンドのように白く輝いていて、すっげえ綺麗だな。お嬢ちゃんのマナをちょっと分けてくれるならこの杖をやってもいいぞ」
「マナを渡すだって?」
「ああ、マナはモノに保管することができるからな。こんな純粋で美しいマナからは、とても素晴らしい杖が作れるぞ。どうだお嬢ちゃん、マナと杖、取引しねえか?」
フィアスのマナは、一時的に次元に干渉できるとても貴重なマナだ。
それにフィアスはマナが少ないし、奪うとまた体調が悪くなってしまう。
「ダメだ。フィアスのマナは売らない」
「そりゃ残念だな。どうするんだ、10万円、払うかい?」
「うぐ……」
「糸、私のマナを使ってもいいよ」
「フィアス、さっきも話しただろ、フィアスのマナは貴重なんだって」
「でもマナはすぐに溜まっていくんでしょ?いいよ、今使ってこそ価値があるんじゃない」
「フィアス……」
「おじさん、私のマナを10万円分あげるよ。その杖と交換して」
「毎度あり!!」
おやじは不思議な箱へ、フィアスのマナを吸引した。
「うあ……あああああああああ!!!」
「フィアス!!!」
マナの吸引が終わると、フィアスはフラフラともたれかかってきた。
発汗しており、息が荒い。
「おやじ! 取りすぎてないだろうな!?」
「と、当然だぜ。だがこんなに体力を失うとは、よっぽどマナが少ない体質だったのかもな」
やはり、フィアスのマナは次元に干渉できるほど強力だが、その量は僅かしかないんだ。
「おやじ、この杖もたのむ」
「あいよ、4万円だぜ」
4万円を現金で払う。
これは前回フィアスが買っていた杖。
この杖がフィアスに合っていたことは言うまでもない。
ヨレヨレのフィアスを支えながら、再びチューベローズに向かった。
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