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男子vs女子
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初夏のある日。
昼休みの校庭には、いろんな声が響いている。
「うおりゃーっ! スーパーウルトラハイパー……スーパー……ええと、エクスプロォォォジョン!!」
「いやドッジでボールが爆発するかよ……」
「ねえねえ。一輪車、まだ倉庫にある?」
「あるけど、車輪がガタついてたりとか、ビミョーなのばっかだよ?」
「まじかー。ウチの学校、一輪車人気すぎ」
日射しはまだ強くなく、おだやかな季節だ。気持ちのいい青空の下、元気にドッジボールする子たちもいれば、一輪車に乗って楽しんでいる子たちもいる。
「……はぁ、はぁ……んっ♡」
ときには……登り棒の途中で止まって、お股で棒を挟み、深く食い込ませてモジモジし、蝉の生態の研究にいそしんでいる子もいる……。
ともあれ、授業という退屈から解放された子どもたちは、思い思いに自由な時間を過ごしている。
あるいは教室の中。
一つの机に集まって、難しい顔を突き合わせて、まるで世紀の難問にでもぶち当たったかのように、モンモンとしている男子たちもいる。
みなの視線の中心にあるのは、古いノートだ。
色あせて、よれよれで、ところどころにシミがあったり、濡れた跡が残っていたりして、年月を感じさせる。
開かれているページには、手書きで文字がびっしりと書かれている。
メンバーの一人がその一部分を読み上げた。
「――ええと、『この学校の不思議をすべてセイハ? したものには、大いなるショーサン? と幸福が与えられるであろう』?」
「え。どゆこと? つまりどういうこと? なにかもらえるってこと?」
するといかにも頭の切れそうな一人の男子が私見を述べ始めた。
「ふむ。僕が思うに、おそらくこの箇所の記述の意味を解釈するには、前ページの記述内容を正確に把握しておく必要があるね。それを踏まえて考察すると次のように推察できると思われ――」
「な~にこむずかしいこと言ってんだよ、朝立光輝聖剣くぅん?」
「な!? 今は僕の名前は関係ないだろ!?」
本名をネタにからかわれ、やや動揺するシャイニングエクスカリバーくん。
この学校では、男女にかかわらず「名字+さん」呼びが推奨されている。けれどそれがおおよそ守られているのは授業中だけ。休み時間ともなると、その効力はいちじるしく低下する。クラスメートのことは、自分たちが呼びたい名で呼びたいお年ごろだ。
「いやー。けどさ、マジでわかんね。その書いてあるやつも意味不明だけどさ、結局俺らの学校にあるのって七不思議? 八不思議? どっち?」
コロコロと話の矛先を変えながら、いろんな話題が男子チームの間で転がっていく。彼らは今、この学校に存在する〈七不思議〉について、真剣に討議し、検討し、議論しているところだ。まちがってもふざけてはいない。……おもしろがってはいるけれど。
「そういえばさ。この学校って、屋上にあるらしいぜ……」
ユタカこと猛走友多加が、さらに新しい要素を追加する。
「あるってなにが?」
「お稲荷さん」
「「「おいなりさん???」」」
「神社……の小さいバージョン? ええと、ほこらっていうの? 屋上のすみにあるって話」
「屋上出るの禁止じゃん」
「おい、誰か見たやついる?」
「いや、話。ただのうわさ」
とユタカ本人も確証があるわけではないようだ。
「なんだよー」
不確実な内容に抗議の声が上がる。
「けどさ、それが七不思議のひとつって説があるぜ」
「どこに?」
そう聞かれてユタカは指差した。
「ほら、ノートのここ」
「あ……っ」
「いやいやいや、ちょっと待てよ。そしたら七不思議じゃなくて八不思議でもなくて、九不思議になっちゃわね!?」
「ふむ……それはあながち的外れでもない。古来より狐には九尾狐というのが存在していて、その九という数字に紐づける形でこの学校の七不思議が変質し、九不思議になった可能性も考慮に入れないといけないね」
「(? よくわかんないけど)だよなー……」
「「「……」」」
男子チームがしばし沈黙した。
沈黙したのは、普通に考え込んでしまったのと、やたら小難しい言葉を使うシャイニングくんの言っている意味を、わからないなりにもなんとか理解しようとしたのもある。なんだかんだでシャイニングくんの頭がいいことは、みなが納得している。
そして再び話が始まった。
「いやだからさ。そもそも数がおかしいんじゃないの? って話だよ」
「それよかさー。ウチの学校、テケテケはいないの?」
「はらへった……」
「さっき給食食っただろ?」
みたいな感じで、みんな大真面目だ。
そんな考察チームの一員であるタクトこと戸田択刀も、真剣な表情で考えつつ話に加わった。
「でさ、とくにこの〈開かずのロッカー〉だよな。いまいちよくわからないんだよ。ノートにも『開いているなら、うめればいい』って書いてあるけどさ。意味わかんね」
「うん。そこは僕も先輩たちの記述の曖昧さに若干首肯せざるをえない――」
すると再び横から混ぜっ返しが入る。
「だーからっ! シュコシュコとか、こむずかしい言葉使うなってシャイニング――」
「シャー!」
「まてまて! キれるなエクスカリバー!」
と、一悶着あった後、少年たちはまた問題に立ち返っていった。
代々の先輩たちが行ってきた調査や体験、その情報を書きつないできたノート、『七不思議の不思議』。二宮金次郎とか人体模型とか音楽室の怪とかのわかりやすい怪異の中に、よくわからないものが混じっている。
しかも、それらの「不思議っぽいの」を合わせていくと、どうしても七におさまらない。
それは、ここ数週間彼らを悩ませている大問題でもあった。
たとえば今タクトが言った、〈開かずのロッカー〉だ。
ロッカーが開かないんだろうということはわかる。けれどそれだけ? その後なにが起こる? そもそもこれはどういう怪異なんだ!?
「開かないんなら、開ければいいんじゃね?」
「開かないから、『開かず』なんだろ?」
「いや鍵とかでさ」
「先輩方の記述とかを参照すれば、『うずめる』? いや『うめる』か。ほかにも『いれる』『さす』『まわす』といった対応策が推奨されているね」
「う~ん……?」
「どゆこと……?」
それからしばらく少年たちは黙ってしまった。
結局話が戻ってきてしまうのだ。
〈開かずのロッカー〉があることは本当らしい。けれど「具体的になにが起こるのか」という点になると、とたんにあやふやになる。ノートのほかの書き込みを探しても、これ以上の情報が見当たらない。
「ふむ。どうやらもっと話を揉む必要がありそうだね……」
「「「???」」」
シャイニングくんの「話を揉む」の言いまわしが理解できないで、みんな「?」となっている。
「けどさ~。あ~あ。せっかくすすめると思ってたんだけどな、今日こそはさ。話をさー。どーどーめぐりじゃんかよぉ」
やってらんね、という様子でユタカが手を頭のうしろにまわして、椅子をゆらゆら揺らしだした。さらに言うことには、
「それになんだよ、最後のメモ。『七不思議の調査は必ずカップルでイクう……行う? こと。そうでないとハツジョ……ハツドウ? しない』って。カップルってなんだよ? デートじゃないんだぜ?」
「うんうん……」
「それな……」
ほんとはカノジョが欲しいけど、今現在ボッチな男子たちは、多少のミエもあって、うんうんうなずきあっている。
けれど、「もし……」と思うのだ。
妄想してしまうのだ。
もし、気になるあの子と七不思議調査に行けたとしたら……。
どんなことが起こるだろう――
それはたとえば、ある日の夜。
待ち合わせして、おそるおそる校内に入り込むカップル。すると入ったとたんにいきなり二宮金次郎に追いかけられて、「きゃあー」と固まるあの子の手を引いて一緒に逃げるさ、どこまでも。
流れで手をつないで離さないまま、校内を探検。恐怖にふるえる彼女は、ぎゅうぅっとしがみついてきて、片腕に感じるほのかな膨らみの柔らかさ……に気がゆるんでると、今度は人体模型に追いかけられ、逃げ込んだ開かずのロッカーに閉じ込められ、くんずほぐれつ、いろんなところが絡み合って、「あっ♡ そこは♡ いやんっ♡」みたいになりつつ、どうにか脱出できたと思ったら、今度はトイレの花子さんに追いかけられるも、かろうじて逃げおおせ、狭い教卓の下に隠れて、再び絡み合うみたいなエッチなハプニングが多発する、熱い夜だから。
最後は無事に七不思議を制覇して、いい感じに屋上で見つめ合う二人――すると突然、夜空に打ち上がる花火。それを背景に二人はキッスを……。すると仕掛け花火が〈ハッピーエンド〉の文字を華麗に浮かび上がらせる。それは二人を祝福するかのように輝いて――
「ちょっと男子!」
いきなり背後から鋭い声が飛んできた。
女子である。
男子たちはハッと現実に引き戻された。つい今の今まで、夜の学校での気になるあの子とあれやこれやを脳内妄想しまくっていたので、やや体がビクッとなってしまう。
けれどつとめて平静をよそおい、そのきつめの声をかけてきた女子に対して、「あぁん!?」みたいな顔で振り向いた。
するとどうしたことだ。男子グループのすぐ後ろでムスッとした顔をしているのは――一人ではなかった。
数人の女子たちが囲むように立っている。
その中の一人の子が、腕組みの格好で厳しい視線を注いできて、
「あのさ、教室でエッチな話とかしないでくれる? セクハラなんだけど!?」
この年頃では巨乳といってよい凶器を胸部に装備している子だ。それにくわえて今は、前で組んでいる腕のせいで、おっぱいが盛り上がっていて、とんでもない迫力になっている。
彼女の名前は乾地久美。名前に「乾燥」の「乾」の字があるのと、「ちくみ」の音が「ちくび」っぽいので、「やーい、乾燥乳首~」とか、「パイパイでかでか、先っぽカラカラ~」とか、ひどいセクハラを日常的に受けている。
おっぱいが大きい――つまり乳首までの距離が長いと、なぜ先っぽが乾燥するのか。よく考えれば意味不明だが、男子チームとしては「とりあえずからかえればいい」ので、目的は達成できている。男子の発想などそんなものだ。
しかし今現在、この昼休みの議論では誰も彼女を揶揄するような発言をしていない。なのでセクハラは起こっていないはずだ。
なので当然、男子たちは反論する。
「は? エッチ? 俺たちはこの学校の七不思議の話をしていただけなんだが?」
「うそばっかり! さっき話してたじゃん。あっ、あっ、アナに挿入れたり、シュコシュコしたり、顔をうずめる……とか! 揉むとか挿すとか、輪姦すとか……っ! 挿入れるとか挿入れない……とか……せ、せ、せっ……くs! ……とか、イクとかイかない……とか、発情……するとかしないとか……ごにょごにょ……」
クミの声がだんだん小さくなっていく。そして、自分で言いながら恥ずかしくなったらしい。
どうやら断片的に聞こえてきた男子たちの会話を、彼女のフィルターを通して組み立てなおすと、ずいぶんとエッチなことになるようだ。
「「「???」」」
その場の全員――男子も女子も、きょとんとなった。
男子グループは熱心に七不思議の話をしていただけだし、女子グループにしても、ただちょっとうるさいから注意したいね、くらいがほとんどで、まさか話がセクハラ方向に飛んでいくとは思いもよらなかった。
彼ら彼女らのほとんどは、性の知識は断片的にはあるけれど、「全部知っている」というわけではない。生活の中で見聞きする性情報の欠片を拾っているくらいで、それを体系的に結びつけて、系統立てて理解するところまでには、まだいたっていない。
そのぶんクミは、他の子たちよりもいくぶん先んじているようだ。いわゆる耳年増。
そして今、耳年増なクミちゃんは、自分が墓穴を掘ったことにようやく気付いた。
どうする!? これではクミちゃんがムッツリな子であることが、みんなにバレてしまう!
「とっ、とりあえず! 教室のすみでコソコソいかがわしい話するのダメなんだからね! 先生に言いつけるから!」
と、みんなが勘付く前に話を終わらせようとするクミちゃん。
「だからさ……オレたちは七不思議の話をしてたんだって。おまえらもコックリさんとか銭ババァの話とかよくしてるじゃん。それかなんなの? 俺らは怪談話もするなってこと? それじゃ俺たち休み時間になんの話をすればいいわけ?」
ユタカが、あきれたぜ、みたいなニュアンスで声を上げた。
場に、ちょっとシラけた雰囲気がただよってきた。
すると――
「ふんっ。怪談とか、お子さま」
女子グループの中からもうひとつ、冷たい声があがった。
セリナこと芦沢芹奈という子だ。さらさらの長い髪を毎日ちょこちょこアレンジしてくるおしゃれさんで、「おうおう、今日はツインテールですかい、ぐへへへへ」と男子からからかわれると、「これツーサイドアップっていうんだけど?」と切り返すなど、鋭いナイフのような言葉を持っているクールな子だ。
その涼し気な切れ長の目に見下すように見下ろされて、男子チームは縮こまった。しかし――
「ふん。俺たちはみんなお子さまだしな。お子さまが怪談話してなにがわるいっ。おまえらだって転生した悪役令嬢? に言い寄る吸血鬼男爵? とかがベッドに夜な夜な? とかでキャーキャー言ってるだろ?」
と言い返したのは、タクトである。
『転生したらゲームの悪役令嬢になってたんだけど、妙にグイグイ迫ってくるイケメン男爵さまが実は吸血鬼で、夜な夜な窓から這い寄る混沌、私の奥までコンコンしてきて、アンアン困るんですけど!?』という、最近女子グループの間で人気爆発している溺愛系小説を引き合いに出し、反撃を試みたのだった。
「な!? わたしたちのことは今関係ないでしょ!?」
急に反撃されて、セリナはちょっぴりひるんだ様子をみせた。
よし、ここはたたみかけるところだ、とタクトは判断した。そして決然と次の一矢を放つ。
「それにセリナ――おまえ怖いんだろ?」
「……は!?」
セリナの目が大きく見開かれた。
それを図星ととらえたタクトが調子づいて、
「あー、そっかそっか。怖いんだな。セリナは怪談が苦手で、怪談が怖くて、怪談話を聞いたりすると、怖くて怖くて、ちびっちゃいそうになって、けど夜のトイレも一人でいけないお子ちゃまだから、怪談なんて怖くて聞けない、お耳ふさいでナイナイしたいから、そんなことを言うんでちゅよねー?」
「お。いいぞタクト!」
「もっと言ったれ!」
ここぞとばかりに加勢する男子チーム。
「……は? そんなんじゃないし?」
サクッと否定されてしまった。
温度をさらに下げた氷刃のような視線が、男子たちにグサグサと突き刺さる。もちろんタクトも「ぐ……」とダメージを受けるも――ここは引けない!
「へえ、じゃあセリナは七不思議が怖くないってのか?」
「べつに? 怖くなんかないし。そもそも見間違いとか普通によくある話が、勝手に大きくなったってだけでしょ?」
「へっ。『怪談話はうそさ』ってわけ? じゃあ、これはどうよ? うちの学校にこういう話があるんですけど? ――日も落ちて、校庭に影が長くながーくのびるころ……。どんどん薄暗くなっていく校舎……。だーれもいない、なんの音もしない、さびしい音楽室……。たまたま忘れ物をとりに戻った女の子がさ……音楽室のドアが見える廊下に来たんだな。運悪く。そして……。ほら、すると聞こえてくる……。ほら、聞こえるだろ? ……もの悲しいピアノの……ポロローン、ポロローン……そして突然うらめしそうに響く、ダンチヅマのような女の悲鳴!!」
「「「きゃーっ!!」」」
急におどろおどろしくなったタクトの声音に、女子グループの何人かが悲鳴をあげた。「断末魔」を「団地妻」を言いまちがえたことには、幸い誰も気付いていない。
「で?」
しかし、もっとも怖がって欲しいセリナは全く動じず、超然とたたずみ、ゆるがない。
「ぐぐっ……。とにかく、俺たちはこの学校の七不思議のゲンショウ? をカイメイ? すべく、日々ギロンを重ねているわけで――」
なるべく難しい語句を使って言葉に説得力をもたせようとするも、
「だからそんなの、誰かの作り話に決まってるでしょ」
サクッと切り捨てられた。
「そっ、そんなわけないだろ!? 確かめてみないとわからないじゃないか!」
「確かめるまでもないでしょ」
「いや、怖いんだな? セリナ、おまえ怖いから、七不思議に関わりたくないんだな?」
「べつに? ふーん? なら今度――」
――キーンコーン。
セリナのセリフが終わらないうちに予鈴が鳴った。
そしてその予鈴が鳴り終わらないうちに、あわてた様子の先生がやってきて、
「あー。すまんすまん。みんな、午後の授業が急に変更になったんだよ。体育はナシ。とりやめ。教室で自習」
「「「えーっ!?」」」
こうして男子グループと女子グループのバトルは、中途半端に打ち切られたのだった。
昼休みの校庭には、いろんな声が響いている。
「うおりゃーっ! スーパーウルトラハイパー……スーパー……ええと、エクスプロォォォジョン!!」
「いやドッジでボールが爆発するかよ……」
「ねえねえ。一輪車、まだ倉庫にある?」
「あるけど、車輪がガタついてたりとか、ビミョーなのばっかだよ?」
「まじかー。ウチの学校、一輪車人気すぎ」
日射しはまだ強くなく、おだやかな季節だ。気持ちのいい青空の下、元気にドッジボールする子たちもいれば、一輪車に乗って楽しんでいる子たちもいる。
「……はぁ、はぁ……んっ♡」
ときには……登り棒の途中で止まって、お股で棒を挟み、深く食い込ませてモジモジし、蝉の生態の研究にいそしんでいる子もいる……。
ともあれ、授業という退屈から解放された子どもたちは、思い思いに自由な時間を過ごしている。
あるいは教室の中。
一つの机に集まって、難しい顔を突き合わせて、まるで世紀の難問にでもぶち当たったかのように、モンモンとしている男子たちもいる。
みなの視線の中心にあるのは、古いノートだ。
色あせて、よれよれで、ところどころにシミがあったり、濡れた跡が残っていたりして、年月を感じさせる。
開かれているページには、手書きで文字がびっしりと書かれている。
メンバーの一人がその一部分を読み上げた。
「――ええと、『この学校の不思議をすべてセイハ? したものには、大いなるショーサン? と幸福が与えられるであろう』?」
「え。どゆこと? つまりどういうこと? なにかもらえるってこと?」
するといかにも頭の切れそうな一人の男子が私見を述べ始めた。
「ふむ。僕が思うに、おそらくこの箇所の記述の意味を解釈するには、前ページの記述内容を正確に把握しておく必要があるね。それを踏まえて考察すると次のように推察できると思われ――」
「な~にこむずかしいこと言ってんだよ、朝立光輝聖剣くぅん?」
「な!? 今は僕の名前は関係ないだろ!?」
本名をネタにからかわれ、やや動揺するシャイニングエクスカリバーくん。
この学校では、男女にかかわらず「名字+さん」呼びが推奨されている。けれどそれがおおよそ守られているのは授業中だけ。休み時間ともなると、その効力はいちじるしく低下する。クラスメートのことは、自分たちが呼びたい名で呼びたいお年ごろだ。
「いやー。けどさ、マジでわかんね。その書いてあるやつも意味不明だけどさ、結局俺らの学校にあるのって七不思議? 八不思議? どっち?」
コロコロと話の矛先を変えながら、いろんな話題が男子チームの間で転がっていく。彼らは今、この学校に存在する〈七不思議〉について、真剣に討議し、検討し、議論しているところだ。まちがってもふざけてはいない。……おもしろがってはいるけれど。
「そういえばさ。この学校って、屋上にあるらしいぜ……」
ユタカこと猛走友多加が、さらに新しい要素を追加する。
「あるってなにが?」
「お稲荷さん」
「「「おいなりさん???」」」
「神社……の小さいバージョン? ええと、ほこらっていうの? 屋上のすみにあるって話」
「屋上出るの禁止じゃん」
「おい、誰か見たやついる?」
「いや、話。ただのうわさ」
とユタカ本人も確証があるわけではないようだ。
「なんだよー」
不確実な内容に抗議の声が上がる。
「けどさ、それが七不思議のひとつって説があるぜ」
「どこに?」
そう聞かれてユタカは指差した。
「ほら、ノートのここ」
「あ……っ」
「いやいやいや、ちょっと待てよ。そしたら七不思議じゃなくて八不思議でもなくて、九不思議になっちゃわね!?」
「ふむ……それはあながち的外れでもない。古来より狐には九尾狐というのが存在していて、その九という数字に紐づける形でこの学校の七不思議が変質し、九不思議になった可能性も考慮に入れないといけないね」
「(? よくわかんないけど)だよなー……」
「「「……」」」
男子チームがしばし沈黙した。
沈黙したのは、普通に考え込んでしまったのと、やたら小難しい言葉を使うシャイニングくんの言っている意味を、わからないなりにもなんとか理解しようとしたのもある。なんだかんだでシャイニングくんの頭がいいことは、みなが納得している。
そして再び話が始まった。
「いやだからさ。そもそも数がおかしいんじゃないの? って話だよ」
「それよかさー。ウチの学校、テケテケはいないの?」
「はらへった……」
「さっき給食食っただろ?」
みたいな感じで、みんな大真面目だ。
そんな考察チームの一員であるタクトこと戸田択刀も、真剣な表情で考えつつ話に加わった。
「でさ、とくにこの〈開かずのロッカー〉だよな。いまいちよくわからないんだよ。ノートにも『開いているなら、うめればいい』って書いてあるけどさ。意味わかんね」
「うん。そこは僕も先輩たちの記述の曖昧さに若干首肯せざるをえない――」
すると再び横から混ぜっ返しが入る。
「だーからっ! シュコシュコとか、こむずかしい言葉使うなってシャイニング――」
「シャー!」
「まてまて! キれるなエクスカリバー!」
と、一悶着あった後、少年たちはまた問題に立ち返っていった。
代々の先輩たちが行ってきた調査や体験、その情報を書きつないできたノート、『七不思議の不思議』。二宮金次郎とか人体模型とか音楽室の怪とかのわかりやすい怪異の中に、よくわからないものが混じっている。
しかも、それらの「不思議っぽいの」を合わせていくと、どうしても七におさまらない。
それは、ここ数週間彼らを悩ませている大問題でもあった。
たとえば今タクトが言った、〈開かずのロッカー〉だ。
ロッカーが開かないんだろうということはわかる。けれどそれだけ? その後なにが起こる? そもそもこれはどういう怪異なんだ!?
「開かないんなら、開ければいいんじゃね?」
「開かないから、『開かず』なんだろ?」
「いや鍵とかでさ」
「先輩方の記述とかを参照すれば、『うずめる』? いや『うめる』か。ほかにも『いれる』『さす』『まわす』といった対応策が推奨されているね」
「う~ん……?」
「どゆこと……?」
それからしばらく少年たちは黙ってしまった。
結局話が戻ってきてしまうのだ。
〈開かずのロッカー〉があることは本当らしい。けれど「具体的になにが起こるのか」という点になると、とたんにあやふやになる。ノートのほかの書き込みを探しても、これ以上の情報が見当たらない。
「ふむ。どうやらもっと話を揉む必要がありそうだね……」
「「「???」」」
シャイニングくんの「話を揉む」の言いまわしが理解できないで、みんな「?」となっている。
「けどさ~。あ~あ。せっかくすすめると思ってたんだけどな、今日こそはさ。話をさー。どーどーめぐりじゃんかよぉ」
やってらんね、という様子でユタカが手を頭のうしろにまわして、椅子をゆらゆら揺らしだした。さらに言うことには、
「それになんだよ、最後のメモ。『七不思議の調査は必ずカップルでイクう……行う? こと。そうでないとハツジョ……ハツドウ? しない』って。カップルってなんだよ? デートじゃないんだぜ?」
「うんうん……」
「それな……」
ほんとはカノジョが欲しいけど、今現在ボッチな男子たちは、多少のミエもあって、うんうんうなずきあっている。
けれど、「もし……」と思うのだ。
妄想してしまうのだ。
もし、気になるあの子と七不思議調査に行けたとしたら……。
どんなことが起こるだろう――
それはたとえば、ある日の夜。
待ち合わせして、おそるおそる校内に入り込むカップル。すると入ったとたんにいきなり二宮金次郎に追いかけられて、「きゃあー」と固まるあの子の手を引いて一緒に逃げるさ、どこまでも。
流れで手をつないで離さないまま、校内を探検。恐怖にふるえる彼女は、ぎゅうぅっとしがみついてきて、片腕に感じるほのかな膨らみの柔らかさ……に気がゆるんでると、今度は人体模型に追いかけられ、逃げ込んだ開かずのロッカーに閉じ込められ、くんずほぐれつ、いろんなところが絡み合って、「あっ♡ そこは♡ いやんっ♡」みたいになりつつ、どうにか脱出できたと思ったら、今度はトイレの花子さんに追いかけられるも、かろうじて逃げおおせ、狭い教卓の下に隠れて、再び絡み合うみたいなエッチなハプニングが多発する、熱い夜だから。
最後は無事に七不思議を制覇して、いい感じに屋上で見つめ合う二人――すると突然、夜空に打ち上がる花火。それを背景に二人はキッスを……。すると仕掛け花火が〈ハッピーエンド〉の文字を華麗に浮かび上がらせる。それは二人を祝福するかのように輝いて――
「ちょっと男子!」
いきなり背後から鋭い声が飛んできた。
女子である。
男子たちはハッと現実に引き戻された。つい今の今まで、夜の学校での気になるあの子とあれやこれやを脳内妄想しまくっていたので、やや体がビクッとなってしまう。
けれどつとめて平静をよそおい、そのきつめの声をかけてきた女子に対して、「あぁん!?」みたいな顔で振り向いた。
するとどうしたことだ。男子グループのすぐ後ろでムスッとした顔をしているのは――一人ではなかった。
数人の女子たちが囲むように立っている。
その中の一人の子が、腕組みの格好で厳しい視線を注いできて、
「あのさ、教室でエッチな話とかしないでくれる? セクハラなんだけど!?」
この年頃では巨乳といってよい凶器を胸部に装備している子だ。それにくわえて今は、前で組んでいる腕のせいで、おっぱいが盛り上がっていて、とんでもない迫力になっている。
彼女の名前は乾地久美。名前に「乾燥」の「乾」の字があるのと、「ちくみ」の音が「ちくび」っぽいので、「やーい、乾燥乳首~」とか、「パイパイでかでか、先っぽカラカラ~」とか、ひどいセクハラを日常的に受けている。
おっぱいが大きい――つまり乳首までの距離が長いと、なぜ先っぽが乾燥するのか。よく考えれば意味不明だが、男子チームとしては「とりあえずからかえればいい」ので、目的は達成できている。男子の発想などそんなものだ。
しかし今現在、この昼休みの議論では誰も彼女を揶揄するような発言をしていない。なのでセクハラは起こっていないはずだ。
なので当然、男子たちは反論する。
「は? エッチ? 俺たちはこの学校の七不思議の話をしていただけなんだが?」
「うそばっかり! さっき話してたじゃん。あっ、あっ、アナに挿入れたり、シュコシュコしたり、顔をうずめる……とか! 揉むとか挿すとか、輪姦すとか……っ! 挿入れるとか挿入れない……とか……せ、せ、せっ……くs! ……とか、イクとかイかない……とか、発情……するとかしないとか……ごにょごにょ……」
クミの声がだんだん小さくなっていく。そして、自分で言いながら恥ずかしくなったらしい。
どうやら断片的に聞こえてきた男子たちの会話を、彼女のフィルターを通して組み立てなおすと、ずいぶんとエッチなことになるようだ。
「「「???」」」
その場の全員――男子も女子も、きょとんとなった。
男子グループは熱心に七不思議の話をしていただけだし、女子グループにしても、ただちょっとうるさいから注意したいね、くらいがほとんどで、まさか話がセクハラ方向に飛んでいくとは思いもよらなかった。
彼ら彼女らのほとんどは、性の知識は断片的にはあるけれど、「全部知っている」というわけではない。生活の中で見聞きする性情報の欠片を拾っているくらいで、それを体系的に結びつけて、系統立てて理解するところまでには、まだいたっていない。
そのぶんクミは、他の子たちよりもいくぶん先んじているようだ。いわゆる耳年増。
そして今、耳年増なクミちゃんは、自分が墓穴を掘ったことにようやく気付いた。
どうする!? これではクミちゃんがムッツリな子であることが、みんなにバレてしまう!
「とっ、とりあえず! 教室のすみでコソコソいかがわしい話するのダメなんだからね! 先生に言いつけるから!」
と、みんなが勘付く前に話を終わらせようとするクミちゃん。
「だからさ……オレたちは七不思議の話をしてたんだって。おまえらもコックリさんとか銭ババァの話とかよくしてるじゃん。それかなんなの? 俺らは怪談話もするなってこと? それじゃ俺たち休み時間になんの話をすればいいわけ?」
ユタカが、あきれたぜ、みたいなニュアンスで声を上げた。
場に、ちょっとシラけた雰囲気がただよってきた。
すると――
「ふんっ。怪談とか、お子さま」
女子グループの中からもうひとつ、冷たい声があがった。
セリナこと芦沢芹奈という子だ。さらさらの長い髪を毎日ちょこちょこアレンジしてくるおしゃれさんで、「おうおう、今日はツインテールですかい、ぐへへへへ」と男子からからかわれると、「これツーサイドアップっていうんだけど?」と切り返すなど、鋭いナイフのような言葉を持っているクールな子だ。
その涼し気な切れ長の目に見下すように見下ろされて、男子チームは縮こまった。しかし――
「ふん。俺たちはみんなお子さまだしな。お子さまが怪談話してなにがわるいっ。おまえらだって転生した悪役令嬢? に言い寄る吸血鬼男爵? とかがベッドに夜な夜な? とかでキャーキャー言ってるだろ?」
と言い返したのは、タクトである。
『転生したらゲームの悪役令嬢になってたんだけど、妙にグイグイ迫ってくるイケメン男爵さまが実は吸血鬼で、夜な夜な窓から這い寄る混沌、私の奥までコンコンしてきて、アンアン困るんですけど!?』という、最近女子グループの間で人気爆発している溺愛系小説を引き合いに出し、反撃を試みたのだった。
「な!? わたしたちのことは今関係ないでしょ!?」
急に反撃されて、セリナはちょっぴりひるんだ様子をみせた。
よし、ここはたたみかけるところだ、とタクトは判断した。そして決然と次の一矢を放つ。
「それにセリナ――おまえ怖いんだろ?」
「……は!?」
セリナの目が大きく見開かれた。
それを図星ととらえたタクトが調子づいて、
「あー、そっかそっか。怖いんだな。セリナは怪談が苦手で、怪談が怖くて、怪談話を聞いたりすると、怖くて怖くて、ちびっちゃいそうになって、けど夜のトイレも一人でいけないお子ちゃまだから、怪談なんて怖くて聞けない、お耳ふさいでナイナイしたいから、そんなことを言うんでちゅよねー?」
「お。いいぞタクト!」
「もっと言ったれ!」
ここぞとばかりに加勢する男子チーム。
「……は? そんなんじゃないし?」
サクッと否定されてしまった。
温度をさらに下げた氷刃のような視線が、男子たちにグサグサと突き刺さる。もちろんタクトも「ぐ……」とダメージを受けるも――ここは引けない!
「へえ、じゃあセリナは七不思議が怖くないってのか?」
「べつに? 怖くなんかないし。そもそも見間違いとか普通によくある話が、勝手に大きくなったってだけでしょ?」
「へっ。『怪談話はうそさ』ってわけ? じゃあ、これはどうよ? うちの学校にこういう話があるんですけど? ――日も落ちて、校庭に影が長くながーくのびるころ……。どんどん薄暗くなっていく校舎……。だーれもいない、なんの音もしない、さびしい音楽室……。たまたま忘れ物をとりに戻った女の子がさ……音楽室のドアが見える廊下に来たんだな。運悪く。そして……。ほら、すると聞こえてくる……。ほら、聞こえるだろ? ……もの悲しいピアノの……ポロローン、ポロローン……そして突然うらめしそうに響く、ダンチヅマのような女の悲鳴!!」
「「「きゃーっ!!」」」
急におどろおどろしくなったタクトの声音に、女子グループの何人かが悲鳴をあげた。「断末魔」を「団地妻」を言いまちがえたことには、幸い誰も気付いていない。
「で?」
しかし、もっとも怖がって欲しいセリナは全く動じず、超然とたたずみ、ゆるがない。
「ぐぐっ……。とにかく、俺たちはこの学校の七不思議のゲンショウ? をカイメイ? すべく、日々ギロンを重ねているわけで――」
なるべく難しい語句を使って言葉に説得力をもたせようとするも、
「だからそんなの、誰かの作り話に決まってるでしょ」
サクッと切り捨てられた。
「そっ、そんなわけないだろ!? 確かめてみないとわからないじゃないか!」
「確かめるまでもないでしょ」
「いや、怖いんだな? セリナ、おまえ怖いから、七不思議に関わりたくないんだな?」
「べつに? ふーん? なら今度――」
――キーンコーン。
セリナのセリフが終わらないうちに予鈴が鳴った。
そしてその予鈴が鳴り終わらないうちに、あわてた様子の先生がやってきて、
「あー。すまんすまん。みんな、午後の授業が急に変更になったんだよ。体育はナシ。とりやめ。教室で自習」
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