感じさせて……。

紫倉 紫

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うつつ4

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 亮が泊まった日の夜、和明が初めて強くひかりを求めてきた。
 お酒のせいだったのかもしれないが、二人きりになればもっと気をつかわずに求めあえるとひかりは思った。
 しかし、亮が一旦実家に戻ってしまうと、また帰りが遅くなりまともに話す時間もない状態になった。
 おかげで、だれに気兼ねすることなくWEB小説を読める。主人公が、奥村の前で大きく足を開かされるシーンを読んで、あの夜のことを思い出した。
 和明の口調は優しかったが、なぜか逆らえないものを感じた。
 ひかりの場合は相手が配偶者なのだから問題ない。主人公は好きでもない相手にあんな辱めを受けて、すんなり受け入れる。
 経験がなかっただけで、あの主人公は……そう、淫乱の素質を持っているのだろう。
 キスだけで感じるのはわかった。
 見られても、言葉でせめられても、感じてしまう。
 だけどそれはあくまで、愛する人が相手だからだ。男なら誰でも良い訳じゃないとひかりは思う。 
 土曜日の朝、和明から外出に誘われた。大学へは顔を出さないと言う。
 亮のベッドを買うらしい。
「喜多川君がこっちに来てからそろえると言っていたからね」
 和明は、かなり亮を気に入っているようだ。

 和明と二人で大型家具店へ出かけた。
「枠や脚は、金属の方がいい。枕元の棚などは邪魔だ」と、遼のためのベッドにこだわりを見せる。
 和明は、パイプベッドにしては高価な黒く重厚感のあるものを気に入り購入した。シングルではなくセミダブルほどの広さはある。
 配達時に組み立てもしてくれるサービスに申し込んだ。
 そして、そこでカバーや掛け布団なども揃えた。明後日には届く。
 亮の部屋は、玄関の近くではなく、和明の書斎と接している方の空き室だった。夫婦の寝室とは少し離れているが、それなりに近い。
 配達のあった日、確認のために和明が早く帰ってきた。
「試しに寝てみて」
「私がですか?」
 微笑んで頷かれたので断れなかった。
 亮のために用意したベッドで横になる。
「寝心地は?」
「良いと思います」
「僕も寝てみよう」
 とつぜん、横に入ってきた。
「二人でも全然平気だね。だけど、激しい動きをしたらどうだろう」
 ひかりに、和明が覆い被さってきた。さすがに亮がこれから使うベッドでは抵抗がある。つい身構える。
 クスリと笑った後「冗談」と言った。
 ひかりは、和明がそんな冗談を言うとは思いもしなかった。ひかりを起こしたあとで、満足げに笑った。
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