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うつつ6
二
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亮が上がってきたようだ。先に入るように言われた。
湯船につかりながら、あれは、夢だったのだろうかと考えた。頭を優しく撫ででくれた。それから、背中や足を……。
和明でないのなら、亮しかいない。しかし、亮がそんなことをするようには思えなかった。和明にからかわれている気がする。
最近、和明の考えていることがわからない。以前は、研究にしか興味がない、それだけだった。
少し前のように寂しくはない。
そのかわりに、落ち着かなかった。
あまり長く入っていると、眠ってしまいそうだ。
出ると、和明と亮がリビングで話していた。
「おやすみなさい」
声をかけて寝室に入った。和明が続けて入ってきた。
「後で少し訊きたいことがあるんだ。すぐに戻るから待っていてほしい」
「わかりました」
さっき少し寝たので起きてはいられる。
ひかりは、ベッドに入り『教授の実験室』を読みながら待つことにした。毎日結構なページが追加される。ここのところ忙しく少したまっている。
好きでもない相手と、徐々に性的な段階を進めていく過程で、少しずつ心も惹かれている気はする。女が快楽に興味を持つのは、おかしなことではない。しかし、やはり、気持ちが先にあってのことだと、ひかりは思う。早く、主人公が奥村を好きになってしまえばいい。
最新のページに追いつく前に和明が寝室に戻ってきた。しおりを挟んでスマホの画面を消した。
「待たせたね」
和明はひかりのベッドの端に腰かけた。ひかりが起き出そうとしていると「いいよ、このままで」と言った。
「さっき、教授を諦めさせるために、子供のことを出したけどね。君は実際はどう思ってるのか気になって」
子供が欲しいかどうか、ひかりがどう考えているのか、和明にはわからないことに驚く。
わざわざいらないと言わないのであれば、普通は欲しいはずだ。
「子供は授かるのであれば、嬉しいです……」
「そうなんだね。よかった」
和明は布団の中に手を入れて、ひかりの膝に触れた。
「今日は、見られてしまうんではないかと不安だっただろう」
聞くまででもないと思えるのに、わざわざ確認される。和明は面白がっているのか。
和明の手は徐々に這い上がってくる。
「濡れてる?」
さっき読んだ小説のせいかもしれない。ひかりの経験したことのない行為が書かれていた。
「最近、うちの研究室にも女性の院生や助教授が増えてきてね。時々、僕がいることに気づかずに、話をしてるのが聞こえてくるんだ」
和明の職場に女性職員が増えている。和明は女に興味は持たない。それは、ひかりが思い込んでいるだけだ。急に不安にかられる。
「今日は、彼女達が男からされてみたいって言っていたことを、試してみようか?」
和明は、ひかりの足下から布団をめくり上げ、ベッドに上がってきた。寝間着にしているスウェットパンツを下着ごと下げられた。驚いて間抜けな声を出してしまった。
研究室内で一体どんな話をしていたんだろう。
和明が、彼女たちの性的な話題に聞き耳をたてていたのかと思うと、腹立たしさを覚えた。
「寒くないかい?」
湯船につかりながら、あれは、夢だったのだろうかと考えた。頭を優しく撫ででくれた。それから、背中や足を……。
和明でないのなら、亮しかいない。しかし、亮がそんなことをするようには思えなかった。和明にからかわれている気がする。
最近、和明の考えていることがわからない。以前は、研究にしか興味がない、それだけだった。
少し前のように寂しくはない。
そのかわりに、落ち着かなかった。
あまり長く入っていると、眠ってしまいそうだ。
出ると、和明と亮がリビングで話していた。
「おやすみなさい」
声をかけて寝室に入った。和明が続けて入ってきた。
「後で少し訊きたいことがあるんだ。すぐに戻るから待っていてほしい」
「わかりました」
さっき少し寝たので起きてはいられる。
ひかりは、ベッドに入り『教授の実験室』を読みながら待つことにした。毎日結構なページが追加される。ここのところ忙しく少したまっている。
好きでもない相手と、徐々に性的な段階を進めていく過程で、少しずつ心も惹かれている気はする。女が快楽に興味を持つのは、おかしなことではない。しかし、やはり、気持ちが先にあってのことだと、ひかりは思う。早く、主人公が奥村を好きになってしまえばいい。
最新のページに追いつく前に和明が寝室に戻ってきた。しおりを挟んでスマホの画面を消した。
「待たせたね」
和明はひかりのベッドの端に腰かけた。ひかりが起き出そうとしていると「いいよ、このままで」と言った。
「さっき、教授を諦めさせるために、子供のことを出したけどね。君は実際はどう思ってるのか気になって」
子供が欲しいかどうか、ひかりがどう考えているのか、和明にはわからないことに驚く。
わざわざいらないと言わないのであれば、普通は欲しいはずだ。
「子供は授かるのであれば、嬉しいです……」
「そうなんだね。よかった」
和明は布団の中に手を入れて、ひかりの膝に触れた。
「今日は、見られてしまうんではないかと不安だっただろう」
聞くまででもないと思えるのに、わざわざ確認される。和明は面白がっているのか。
和明の手は徐々に這い上がってくる。
「濡れてる?」
さっき読んだ小説のせいかもしれない。ひかりの経験したことのない行為が書かれていた。
「最近、うちの研究室にも女性の院生や助教授が増えてきてね。時々、僕がいることに気づかずに、話をしてるのが聞こえてくるんだ」
和明の職場に女性職員が増えている。和明は女に興味は持たない。それは、ひかりが思い込んでいるだけだ。急に不安にかられる。
「今日は、彼女達が男からされてみたいって言っていたことを、試してみようか?」
和明は、ひかりの足下から布団をめくり上げ、ベッドに上がってきた。寝間着にしているスウェットパンツを下着ごと下げられた。驚いて間抜けな声を出してしまった。
研究室内で一体どんな話をしていたんだろう。
和明が、彼女たちの性的な話題に聞き耳をたてていたのかと思うと、腹立たしさを覚えた。
「寒くないかい?」
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