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第充話
雷の皇帝が怒りに染まる
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夜鷹達は鳳楼館へ行って朝ご飯に貯古齢糖麵麭(チョコレートパン)と伽羅覟(キャラメル)、鵜陰菜(ウインナー)を食べ、明日後宮へ帰る為の身支度をしていた。
「もう明日帰るのかね。寂しくなるねえ」
「大丈夫だぞ夜鷹のおじいちゃん! 俺がしっかり夜鷹を後宮に送り届けるからさ!」
「うん。それにまたいつでも帰ってくるからさ。だから羚苑師匠、いや……お義父さん。またこの家で、私が帰ってくるの待っててね。夏蓮の事……何かあればすぐ言ってね。……それじゃあ、またね」
「うん、行ってらっしゃい。夜鷹、雷鵻殿下」
「!!……っ、うん! 行ってきます!」
夜鷹は暫く羚苑と抱擁をし、相着手をして別れた。
馬車に乗って、見送りに来てくれた花街の人々に手を振ると、馬車は動き出した。
雷鵻は黙って座っていたし、夜鷹は窓を見ていた。
心無しか潤んでいるようにも見えた雷鵻は、どう声をかければいいか分からなかった。
「ねぇ、雷庵殿下はどういう人なの?」
「え? 兄様か……兄様はな、すごく優しいんだよ。昔は違ったけどな」
「……昔、か。そうなんですね」
「わざわざ聞かないあたり、勘が鋭いなお前」
「そりゃあどうも」
(まぁ鳥だからね。鳥と言っても鷹だけど、表情を読み取ることは出来る)
夜鷹は真顔で頷いたあと、少し顔を逸らした。
「……なんで顔逸らした?」
「いや別に。私も昔の事を思い出しまして」
「そうか」
(まだ人間になりきれてないただの小鳥だった頃の話だからなぁ……あの時は狼とか猫とかいて大変だった覚えがあるわ。懐かしいな、川のウナギや蝉をとっ捕まえて食べてた頃だ……何年前の時だっけな? 覚えてないな……鳥獣人は長寿だもんなぁ……師匠は確か、神様の使いとか人間に言われてた鳳凰の獣人だった気がするな~。人間に変化する時の長続きさせるコツとかも、沢山練習したからな……)
過去に思いを馳せていたら、雷鵻に呼びかけられた。
「おい! 着いたぞ」
「んぁ……もう後宮着いたのですね」
「当たり前だ、兄様怒りそうな予感するから早く行かなきゃ」
「え……? 何故怒られるのですか? 外出届けを出しているはずでは?」
実は後宮から出る際、4夫人の許可や皇帝直属の部下などに出す外出届が必要なのだ。それを出していないとかなりこれからの外出を禁止されたり、暇を出されたり、最悪の場合首を掻っ切られる恐れがある。
だから外出届を出さないという事は、ほぼ万死に値する事態なのである。
夜鷹は血の気が一気に引いていくのを感じる。
そして雷鵻の次の一言で夜鷹の僅かな希望は潰れ、絶望に叩き落とされた。
「ごめん、書いたは書いたけどお前が早くに出るって聞いて焦って飛び出して……そのまま出すの忘れたわ」
と。
巫山戯るのも大概にしろと感じたのは夜鷹だけでは無い、はず。
そんな事も知らず、時を同じくして雷庵は自身の弟である雷鵻と、夜鷹の捜索をしている途中、雷鵻の部屋に入って空の部屋と置いてあった外出届を見てブチ切れていた。
続く!
「もう明日帰るのかね。寂しくなるねえ」
「大丈夫だぞ夜鷹のおじいちゃん! 俺がしっかり夜鷹を後宮に送り届けるからさ!」
「うん。それにまたいつでも帰ってくるからさ。だから羚苑師匠、いや……お義父さん。またこの家で、私が帰ってくるの待っててね。夏蓮の事……何かあればすぐ言ってね。……それじゃあ、またね」
「うん、行ってらっしゃい。夜鷹、雷鵻殿下」
「!!……っ、うん! 行ってきます!」
夜鷹は暫く羚苑と抱擁をし、相着手をして別れた。
馬車に乗って、見送りに来てくれた花街の人々に手を振ると、馬車は動き出した。
雷鵻は黙って座っていたし、夜鷹は窓を見ていた。
心無しか潤んでいるようにも見えた雷鵻は、どう声をかければいいか分からなかった。
「ねぇ、雷庵殿下はどういう人なの?」
「え? 兄様か……兄様はな、すごく優しいんだよ。昔は違ったけどな」
「……昔、か。そうなんですね」
「わざわざ聞かないあたり、勘が鋭いなお前」
「そりゃあどうも」
(まぁ鳥だからね。鳥と言っても鷹だけど、表情を読み取ることは出来る)
夜鷹は真顔で頷いたあと、少し顔を逸らした。
「……なんで顔逸らした?」
「いや別に。私も昔の事を思い出しまして」
「そうか」
(まだ人間になりきれてないただの小鳥だった頃の話だからなぁ……あの時は狼とか猫とかいて大変だった覚えがあるわ。懐かしいな、川のウナギや蝉をとっ捕まえて食べてた頃だ……何年前の時だっけな? 覚えてないな……鳥獣人は長寿だもんなぁ……師匠は確か、神様の使いとか人間に言われてた鳳凰の獣人だった気がするな~。人間に変化する時の長続きさせるコツとかも、沢山練習したからな……)
過去に思いを馳せていたら、雷鵻に呼びかけられた。
「おい! 着いたぞ」
「んぁ……もう後宮着いたのですね」
「当たり前だ、兄様怒りそうな予感するから早く行かなきゃ」
「え……? 何故怒られるのですか? 外出届けを出しているはずでは?」
実は後宮から出る際、4夫人の許可や皇帝直属の部下などに出す外出届が必要なのだ。それを出していないとかなりこれからの外出を禁止されたり、暇を出されたり、最悪の場合首を掻っ切られる恐れがある。
だから外出届を出さないという事は、ほぼ万死に値する事態なのである。
夜鷹は血の気が一気に引いていくのを感じる。
そして雷鵻の次の一言で夜鷹の僅かな希望は潰れ、絶望に叩き落とされた。
「ごめん、書いたは書いたけどお前が早くに出るって聞いて焦って飛び出して……そのまま出すの忘れたわ」
と。
巫山戯るのも大概にしろと感じたのは夜鷹だけでは無い、はず。
そんな事も知らず、時を同じくして雷庵は自身の弟である雷鵻と、夜鷹の捜索をしている途中、雷鵻の部屋に入って空の部屋と置いてあった外出届を見てブチ切れていた。
続く!
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