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第充弐話
鳥は鳥でも、風邪を引く鳥は居る
しおりを挟む桜姫が見つけた後、夜鷹は部屋のベッドで寝かされ、適切な治療を施された。
氷袋をのせたおかげで熱は半日で下がり、不思議な光が夜鷹を包んだ。
だが、桜姫はそれを見てしまった。
明らかに普通では無いと思いながら、誰かには言えず、舞苺妃に頼まれた仕事をしていた。
(なんで、あんな光が普通の人間から出てくるの……? やっぱり夜鷹は謎が多いな......)
桜姫は怖くなり、夜鷹の埋め合わせを必死にやった。
一方その頃、夜鷹は熱にうなされて、とある夢を見ていた。
二人の男女が、自分を村の近くにある森に捨てる夢だった。
『ここに置けば......良いの?』
『ああ。残念だが、ここにおいていく他は無い。すまない”鳳鸞”。このかごの中にいる麟鴦(りんよう)にも、申し訳ない。だが、しょうがないことなんだ......』
『そんなこと言ったって......! ああ、私が皇妃じゃ無かったら......!』
(”りんよう”ってどういうこと? 夜鷹って名前じゃ......?)
籠の中にいる自分を見て涙を流す、自分の両親と父親らしき人物と同じ髪をした、雷庵と同じような見た目の二人の幼い少年を連れて、両親は悲しそうに去っていく。
(お願い、行かないで!!!)
そう願った瞬間、悪夢とも言える夢は終わった。
夜鷹は息苦しかったので、小さな机の上にある水の入ったグラスを口につけ、中の水を飲み干した。
「あぁ~......水美味しい......」
まるで羚苑のような野太い声を出した夜鷹は、部屋の近くにいた侍女に気味悪がられた。
* * *
数日後。
回復した夜鷹は、ずっとあの夢について考えていた。
夜鷹は赤子の時から記憶力が良く、あの村にいた人々の中では賢い方だ。
(どういうこと……? 確かに私は籠に入れられていて、羚苑師匠に拾われて、夜に飛ぶ鷹のようなたくましい子になるようにと、『夜鷹』っていう名前を貰って育てられてきたけど、お母さんやお父さんの事は殆ど覚えてない……もしかしてあの夢は、私の過去から反映されて……? じゃあ名前が違うのは……本来の私の名前?)
夜鷹は仕事をしながら、大好きだった料理や点心の練習もせず、そればかりを考えていた。
そんな中、成都と呼ばれる桜雅国の後宮から随分離れた街から来た、1人の男が後宮にやってきた。
続く。
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