第二の人生を仮想世界の中で過ごそうか。

*黒猫このはw*(:草加:)

文字の大きさ
4 / 11

カズヤ

しおりを挟む
「さーて…どうすっかなぁ~」
いきなり起きたことだし、何をしようか咄嗟には思いつかない。
壁にもたれ、手を組む。喧騒はまだ続いている。
「先に色々買ってしまったから金もあんまり残ってねえなぁ…。
…あ、そうだ。カズヤ取り乱してないかな。様子見に行ってみるか。」
思い立ったら行動。俺は歩き出した。

カランカラン
「カズヤぁ大丈夫かぁ?」
「…ああお前か。」
「なんだ。大丈夫そうだな。」
そこでふと違和感を感じ、ざっと店内を見渡す。
…やけに品物が少ない気がした。
「…?売りもんどうしたよ。」

「たった今しまってるところだ。俺は適当に安い宿見つけて引きこもる。」

「は?引きこもる?」
「ああ。」
「本気で言ってんのか?」

カズヤがぎゅっと拳を握った。

「………っ…だって…、
だって、こんな現実受け入れられるかよ!?いきなり現実に帰れねぇってそんなの…そんなのありかよ!?!?俺には蕾が…たった一人の妹が…っ!これは夢なんだよ夢なんだッだから宿に入って1人になって目を閉じれば!!!」

「……」

取り乱すカズヤの元へスタスタと歩み寄り、俯いてボロボロに鼻水やら涙にまみれた整った顔をぐいっと上げ、両ほっぺをグイィィッと引っ張った。顔がさらに歪む。
バシンッ!
手を振り払われた。
「いってぇな!!何すんだよぉ!!」

「痛いんなら夢じゃねーよ。」

「っ!」カズヤの目が絶望に染まった。ここで去るほど俺は鬼畜ではない。

グッと襟を摑み揺さぶる。

「現実(今)を見ろ!!そのやけに綺麗な目は何を映している!?
引きこもるぐらいなら店先に立ってお前の雑貨屋活かして俺や攻略組の糧となれ!それか完全に店を引き払って攻略組に行け!俺が尻を蹴ってやる!!リアルでカズヤを待っている妹が居るんだろッ待たれてんのに引きこもってどうする!!!」
「っ…うぅ…っ」
ポロポロとカズヤの目から大粒の涙が流れ落ちた。
「泣くなイケメン!!さあ言え。引きこもるなんて本気で言ってんのか?」
フルフルと首を振る。
「違う…ッ本気じゃ、ねぇ…ッ!」
カズヤの目に光が戻った。
襟から手を離す。カズヤはドサッと着地時点の椅子に座った。
「そうだ。本気じゃない。
カズヤ、お前はこれからどうする?」
「…ッう…、み、店を続ける…ッ」
「…ふふん。よく出来ました。」
「グスッ…リレアぁありがとうぁ…ッ」子供みたいに目元を腕でゴシゴシしながらカズヤは俺に礼を言った。
俺は顔をしかめた。
「やめろやめろ。普段人を罵ってばっかのお前がありがとうなんて寒気がするぜ。
とりあえずこれで顔を拭け。顔、きったねぇぞ。」
メニューから出したハンカチを押し付ける。
「はは…相変わらずひでーなぁおい…」やっと笑った。
「…さっきまでのは全て忘れてやる。つーか俺もう行くぞ?カズヤの様子見に来ただけだし。そのハンカチあげるわ。」
出口に向かう。
「ああ…。」
「代わりにこれから贔屓しろよなっ!」
ドアの前で振り返り、ニッと笑ってやった。
「ああ考えとく!」
カランカラン…。


「あー…なんか疲れたーッ!」思いっきり伸びをし、ふんっと息を吐いた。空を仰ぎ見ると、もう青がかったオレンジ色である。
…さて、これからどうしよう。あっという間に本末転倒だ。
「…狩りに行く用意は一揃いしている、か…。
…金ねーし、クエしに行くか!まずはパーティー探しだなっ!」
もうひと踏ん張りだ。
俺は街のパーティー募集表を見に、歩き出した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています

きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

処理中です...