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カズヤ
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「さーて…どうすっかなぁ~」
いきなり起きたことだし、何をしようか咄嗟には思いつかない。
壁にもたれ、手を組む。喧騒はまだ続いている。
「先に色々買ってしまったから金もあんまり残ってねえなぁ…。
…あ、そうだ。カズヤ取り乱してないかな。様子見に行ってみるか。」
思い立ったら行動。俺は歩き出した。
カランカラン
「カズヤぁ大丈夫かぁ?」
「…ああお前か。」
「なんだ。大丈夫そうだな。」
そこでふと違和感を感じ、ざっと店内を見渡す。
…やけに品物が少ない気がした。
「…?売りもんどうしたよ。」
「たった今しまってるところだ。俺は適当に安い宿見つけて引きこもる。」
「は?引きこもる?」
「ああ。」
「本気で言ってんのか?」
カズヤがぎゅっと拳を握った。
「………っ…だって…、
だって、こんな現実受け入れられるかよ!?いきなり現実に帰れねぇってそんなの…そんなのありかよ!?!?俺には蕾が…たった一人の妹が…っ!これは夢なんだよ夢なんだッだから宿に入って1人になって目を閉じれば!!!」
「……」
取り乱すカズヤの元へスタスタと歩み寄り、俯いてボロボロに鼻水やら涙にまみれた整った顔をぐいっと上げ、両ほっぺをグイィィッと引っ張った。顔がさらに歪む。
バシンッ!
手を振り払われた。
「いってぇな!!何すんだよぉ!!」
「痛いんなら夢じゃねーよ。」
「っ!」カズヤの目が絶望に染まった。ここで去るほど俺は鬼畜ではない。
グッと襟を摑み揺さぶる。
「現実(今)を見ろ!!そのやけに綺麗な目は何を映している!?
引きこもるぐらいなら店先に立ってお前の雑貨屋活かして俺や攻略組の糧となれ!それか完全に店を引き払って攻略組に行け!俺が尻を蹴ってやる!!リアルでカズヤを待っている妹が居るんだろッ待たれてんのに引きこもってどうする!!!」
「っ…うぅ…っ」
ポロポロとカズヤの目から大粒の涙が流れ落ちた。
「泣くなイケメン!!さあ言え。引きこもるなんて本気で言ってんのか?」
フルフルと首を振る。
「違う…ッ本気じゃ、ねぇ…ッ!」
カズヤの目に光が戻った。
襟から手を離す。カズヤはドサッと着地時点の椅子に座った。
「そうだ。本気じゃない。
カズヤ、お前はこれからどうする?」
「…ッう…、み、店を続ける…ッ」
「…ふふん。よく出来ました。」
「グスッ…リレアぁありがとうぁ…ッ」子供みたいに目元を腕でゴシゴシしながらカズヤは俺に礼を言った。
俺は顔をしかめた。
「やめろやめろ。普段人を罵ってばっかのお前がありがとうなんて寒気がするぜ。
とりあえずこれで顔を拭け。顔、きったねぇぞ。」
メニューから出したハンカチを押し付ける。
「はは…相変わらずひでーなぁおい…」やっと笑った。
「…さっきまでのは全て忘れてやる。つーか俺もう行くぞ?カズヤの様子見に来ただけだし。そのハンカチあげるわ。」
出口に向かう。
「ああ…。」
「代わりにこれから贔屓しろよなっ!」
ドアの前で振り返り、ニッと笑ってやった。
「ああ考えとく!」
カランカラン…。
「あー…なんか疲れたーッ!」思いっきり伸びをし、ふんっと息を吐いた。空を仰ぎ見ると、もう青がかったオレンジ色である。
…さて、これからどうしよう。あっという間に本末転倒だ。
「…狩りに行く用意は一揃いしている、か…。
…金ねーし、クエしに行くか!まずはパーティー探しだなっ!」
もうひと踏ん張りだ。
俺は街のパーティー募集表を見に、歩き出した。
いきなり起きたことだし、何をしようか咄嗟には思いつかない。
壁にもたれ、手を組む。喧騒はまだ続いている。
「先に色々買ってしまったから金もあんまり残ってねえなぁ…。
…あ、そうだ。カズヤ取り乱してないかな。様子見に行ってみるか。」
思い立ったら行動。俺は歩き出した。
カランカラン
「カズヤぁ大丈夫かぁ?」
「…ああお前か。」
「なんだ。大丈夫そうだな。」
そこでふと違和感を感じ、ざっと店内を見渡す。
…やけに品物が少ない気がした。
「…?売りもんどうしたよ。」
「たった今しまってるところだ。俺は適当に安い宿見つけて引きこもる。」
「は?引きこもる?」
「ああ。」
「本気で言ってんのか?」
カズヤがぎゅっと拳を握った。
「………っ…だって…、
だって、こんな現実受け入れられるかよ!?いきなり現実に帰れねぇってそんなの…そんなのありかよ!?!?俺には蕾が…たった一人の妹が…っ!これは夢なんだよ夢なんだッだから宿に入って1人になって目を閉じれば!!!」
「……」
取り乱すカズヤの元へスタスタと歩み寄り、俯いてボロボロに鼻水やら涙にまみれた整った顔をぐいっと上げ、両ほっぺをグイィィッと引っ張った。顔がさらに歪む。
バシンッ!
手を振り払われた。
「いってぇな!!何すんだよぉ!!」
「痛いんなら夢じゃねーよ。」
「っ!」カズヤの目が絶望に染まった。ここで去るほど俺は鬼畜ではない。
グッと襟を摑み揺さぶる。
「現実(今)を見ろ!!そのやけに綺麗な目は何を映している!?
引きこもるぐらいなら店先に立ってお前の雑貨屋活かして俺や攻略組の糧となれ!それか完全に店を引き払って攻略組に行け!俺が尻を蹴ってやる!!リアルでカズヤを待っている妹が居るんだろッ待たれてんのに引きこもってどうする!!!」
「っ…うぅ…っ」
ポロポロとカズヤの目から大粒の涙が流れ落ちた。
「泣くなイケメン!!さあ言え。引きこもるなんて本気で言ってんのか?」
フルフルと首を振る。
「違う…ッ本気じゃ、ねぇ…ッ!」
カズヤの目に光が戻った。
襟から手を離す。カズヤはドサッと着地時点の椅子に座った。
「そうだ。本気じゃない。
カズヤ、お前はこれからどうする?」
「…ッう…、み、店を続ける…ッ」
「…ふふん。よく出来ました。」
「グスッ…リレアぁありがとうぁ…ッ」子供みたいに目元を腕でゴシゴシしながらカズヤは俺に礼を言った。
俺は顔をしかめた。
「やめろやめろ。普段人を罵ってばっかのお前がありがとうなんて寒気がするぜ。
とりあえずこれで顔を拭け。顔、きったねぇぞ。」
メニューから出したハンカチを押し付ける。
「はは…相変わらずひでーなぁおい…」やっと笑った。
「…さっきまでのは全て忘れてやる。つーか俺もう行くぞ?カズヤの様子見に来ただけだし。そのハンカチあげるわ。」
出口に向かう。
「ああ…。」
「代わりにこれから贔屓しろよなっ!」
ドアの前で振り返り、ニッと笑ってやった。
「ああ考えとく!」
カランカラン…。
「あー…なんか疲れたーッ!」思いっきり伸びをし、ふんっと息を吐いた。空を仰ぎ見ると、もう青がかったオレンジ色である。
…さて、これからどうしよう。あっという間に本末転倒だ。
「…狩りに行く用意は一揃いしている、か…。
…金ねーし、クエしに行くか!まずはパーティー探しだなっ!」
もうひと踏ん張りだ。
俺は街のパーティー募集表を見に、歩き出した。
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