第二の人生を仮想世界の中で過ごそうか。

*黒猫このはw*(:草加:)

文字の大きさ
9 / 11

マイホーム&前線

しおりを挟む
「では、合計15万8950スピナーでよろしいデスネ?」
「ほいほい~うぇへへ」
CPUがやっている雑貨屋に行き、毛皮を換金してもらった。やはり中々良い値になったぜ。
雑貨屋を出て周りを見渡してみる。
やはりまだ昨日のことがあってか呆然とした顔で壁にもたれて座っている者がちらほら見える。そして人通りが圧倒的に少なくなっていた。
大体のみんなは宿に引きこもってるんだろう。
「…ふんっ。」
通り過ぎざまに、ぺちっと呆けた顔をしている若者の頭を叩く。
「色々な後悔したって意味ねーぞー。そんなこと考えてるくらいなら今できることを考えろ~。」
それだけ言い残して、俺は次の目的地に向かった。

そういえば昨日顔を出さなかったが、「あいつ」は大丈夫だろうか。



チリんっ
「へーい、りりぃ繁盛してるかぁ?」
やってきたのはフレンドが経営しているこの世界では珍しい、不動産屋だ。
「…んん?リレア!やっと顔だしたかボク心配してたんだぞ。」
カウンターに座ってお茶を飲んでいたりりぃは俺を認識するとぱっと笑顔を浮かべた。
「ありがとさん俺は平気平気。りりぃこそ大丈夫か?」
「大丈夫大丈夫。一晩で割り切った。ボクのメンタルは鋼級だぞ。」
えっへんと薄い胸を張る。
「あははよかった。ところで場所はどこでも良いから、一番安くて少し広めの部屋、あるか?」
「んーそんな好条件の部屋あったかな。ちょっと待って…。」
不動産業専用のメニューを引き出したりりぃは、素早く俺が言った条件を打ち、何回か出てきたものをスクロールした。
「ん、んんー、場所はどこでも良いっていったよね。」
「?うん」
「買取価格200万、木造、転移付き、3階建ての1階がなんでも営業可能の家、あるぞ。」
「おお!?それで200万!?!?ば、場所は…!?!?」
「…〈鈴蘭の都市〉近くの〈星降る平原〉。」
「おうふ…。」
りりぃが言ったその場所はまだ誰も踏み入れてない今の前線のもう一つ先の街だった。
…きついな…。
「ううううああ…けどなぁっけどなぁ…っ。欲しいなぁ…っ。」

俺が俺自身の家を欲しがる訳。それはお金を節約するためだ。CPUやプレイヤーが経営している宿は泊まれる人数が限れている上にお金が取られる。だからいっその事、マイホームを買って自分勝手に暮らそうと思ったのだが…。…前線より先かぁ…。うーん。

「リレアどうするよ。買う?」

「……予約、できる?」
「三カ月ならできる。」
「…、………っ…」
えーいっもう言っちゃえ!
「予約、する!」
「え?」
「前線に身を投じるぜ!!マイホームの為に!!」

もう三カ月以内にマイホームを手に入れるためには前線に行くしかない。強いモンスターってのは結構な金も落とす!おまけにレベルも上がって一石二鳥!…ああめんどくs…ゲホンッ。
「お、おーがんばれ。んじゃ、予約、ね。前金で五万ちょーだい。」
「おうっ。」メニューを操作し、りりぃに五万を渡す。 

するとなぜか十万が返ってきた。
「?」
怪訝な顔でりりぃを見ると、りりぃははにかんだ。
「ボクからのお小遣い。前線組には入るならそれで装備、整えてきな。」
「りりぃ…っ心の友よっ!」
「間違っても無駄遣いするなよ。」
「しねぇよっ!」
「ほいほい。ならいいんだ。きっちり三カ月待つから行ってきな。毎度ありぃ」
「おうっありがとなっまたなっ!」
時折振り返りながらぶんぶんと手を振って店を出る。


「…なぜかリレアからは目が離せないんだよな。ボクは。…頑張れよ。」

人混みに巻き込まれて見えなくなるまでリレアを見送ってたりりぃは、小さく呟いた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています

きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

処理中です...