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マイホーム&前線
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「では、合計15万8950スピナーでよろしいデスネ?」
「ほいほい~うぇへへ」
CPUがやっている雑貨屋に行き、毛皮を換金してもらった。やはり中々良い値になったぜ。
雑貨屋を出て周りを見渡してみる。
やはりまだ昨日のことがあってか呆然とした顔で壁にもたれて座っている者がちらほら見える。そして人通りが圧倒的に少なくなっていた。
大体のみんなは宿に引きこもってるんだろう。
「…ふんっ。」
通り過ぎざまに、ぺちっと呆けた顔をしている若者の頭を叩く。
「色々な後悔したって意味ねーぞー。そんなこと考えてるくらいなら今できることを考えろ~。」
それだけ言い残して、俺は次の目的地に向かった。
そういえば昨日顔を出さなかったが、「あいつ」は大丈夫だろうか。
チリんっ
「へーい、りりぃ繁盛してるかぁ?」
やってきたのはフレンドが経営しているこの世界では珍しい、不動産屋だ。
「…んん?リレア!やっと顔だしたかボク心配してたんだぞ。」
カウンターに座ってお茶を飲んでいたりりぃは俺を認識するとぱっと笑顔を浮かべた。
「ありがとさん俺は平気平気。りりぃこそ大丈夫か?」
「大丈夫大丈夫。一晩で割り切った。ボクのメンタルは鋼級だぞ。」
えっへんと薄い胸を張る。
「あははよかった。ところで場所はどこでも良いから、一番安くて少し広めの部屋、あるか?」
「んーそんな好条件の部屋あったかな。ちょっと待って…。」
不動産業専用のメニューを引き出したりりぃは、素早く俺が言った条件を打ち、何回か出てきたものをスクロールした。
「ん、んんー、場所はどこでも良いっていったよね。」
「?うん」
「買取価格200万、木造、転移付き、3階建ての1階がなんでも営業可能の家、あるぞ。」
「おお!?それで200万!?!?ば、場所は…!?!?」
「…〈鈴蘭の都市〉近くの〈星降る平原〉。」
「おうふ…。」
りりぃが言ったその場所はまだ誰も踏み入れてない今の前線のもう一つ先の街だった。
…きついな…。
「ううううああ…けどなぁっけどなぁ…っ。欲しいなぁ…っ。」
俺が俺自身の家を欲しがる訳。それはお金を節約するためだ。CPUやプレイヤーが経営している宿は泊まれる人数が限れている上にお金が取られる。だからいっその事、マイホームを買って自分勝手に暮らそうと思ったのだが…。…前線より先かぁ…。うーん。
「リレアどうするよ。買う?」
「……予約、できる?」
「三カ月ならできる。」
「…、………っ…」
えーいっもう言っちゃえ!
「予約、する!」
「え?」
「前線に身を投じるぜ!!マイホームの為に!!」
もう三カ月以内にマイホームを手に入れるためには前線に行くしかない。強いモンスターってのは結構な金も落とす!おまけにレベルも上がって一石二鳥!…ああめんどくs…ゲホンッ。
「お、おーがんばれ。んじゃ、予約、ね。前金で五万ちょーだい。」
「おうっ。」メニューを操作し、りりぃに五万を渡す。
するとなぜか十万が返ってきた。
「?」
怪訝な顔でりりぃを見ると、りりぃははにかんだ。
「ボクからのお小遣い。前線組には入るならそれで装備、整えてきな。」
「りりぃ…っ心の友よっ!」
「間違っても無駄遣いするなよ。」
「しねぇよっ!」
「ほいほい。ならいいんだ。きっちり三カ月待つから行ってきな。毎度ありぃ」
「おうっありがとなっまたなっ!」
時折振り返りながらぶんぶんと手を振って店を出る。
「…なぜかリレアからは目が離せないんだよな。ボクは。…頑張れよ。」
人混みに巻き込まれて見えなくなるまでリレアを見送ってたりりぃは、小さく呟いた。
「ほいほい~うぇへへ」
CPUがやっている雑貨屋に行き、毛皮を換金してもらった。やはり中々良い値になったぜ。
雑貨屋を出て周りを見渡してみる。
やはりまだ昨日のことがあってか呆然とした顔で壁にもたれて座っている者がちらほら見える。そして人通りが圧倒的に少なくなっていた。
大体のみんなは宿に引きこもってるんだろう。
「…ふんっ。」
通り過ぎざまに、ぺちっと呆けた顔をしている若者の頭を叩く。
「色々な後悔したって意味ねーぞー。そんなこと考えてるくらいなら今できることを考えろ~。」
それだけ言い残して、俺は次の目的地に向かった。
そういえば昨日顔を出さなかったが、「あいつ」は大丈夫だろうか。
チリんっ
「へーい、りりぃ繁盛してるかぁ?」
やってきたのはフレンドが経営しているこの世界では珍しい、不動産屋だ。
「…んん?リレア!やっと顔だしたかボク心配してたんだぞ。」
カウンターに座ってお茶を飲んでいたりりぃは俺を認識するとぱっと笑顔を浮かべた。
「ありがとさん俺は平気平気。りりぃこそ大丈夫か?」
「大丈夫大丈夫。一晩で割り切った。ボクのメンタルは鋼級だぞ。」
えっへんと薄い胸を張る。
「あははよかった。ところで場所はどこでも良いから、一番安くて少し広めの部屋、あるか?」
「んーそんな好条件の部屋あったかな。ちょっと待って…。」
不動産業専用のメニューを引き出したりりぃは、素早く俺が言った条件を打ち、何回か出てきたものをスクロールした。
「ん、んんー、場所はどこでも良いっていったよね。」
「?うん」
「買取価格200万、木造、転移付き、3階建ての1階がなんでも営業可能の家、あるぞ。」
「おお!?それで200万!?!?ば、場所は…!?!?」
「…〈鈴蘭の都市〉近くの〈星降る平原〉。」
「おうふ…。」
りりぃが言ったその場所はまだ誰も踏み入れてない今の前線のもう一つ先の街だった。
…きついな…。
「ううううああ…けどなぁっけどなぁ…っ。欲しいなぁ…っ。」
俺が俺自身の家を欲しがる訳。それはお金を節約するためだ。CPUやプレイヤーが経営している宿は泊まれる人数が限れている上にお金が取られる。だからいっその事、マイホームを買って自分勝手に暮らそうと思ったのだが…。…前線より先かぁ…。うーん。
「リレアどうするよ。買う?」
「……予約、できる?」
「三カ月ならできる。」
「…、………っ…」
えーいっもう言っちゃえ!
「予約、する!」
「え?」
「前線に身を投じるぜ!!マイホームの為に!!」
もう三カ月以内にマイホームを手に入れるためには前線に行くしかない。強いモンスターってのは結構な金も落とす!おまけにレベルも上がって一石二鳥!…ああめんどくs…ゲホンッ。
「お、おーがんばれ。んじゃ、予約、ね。前金で五万ちょーだい。」
「おうっ。」メニューを操作し、りりぃに五万を渡す。
するとなぜか十万が返ってきた。
「?」
怪訝な顔でりりぃを見ると、りりぃははにかんだ。
「ボクからのお小遣い。前線組には入るならそれで装備、整えてきな。」
「りりぃ…っ心の友よっ!」
「間違っても無駄遣いするなよ。」
「しねぇよっ!」
「ほいほい。ならいいんだ。きっちり三カ月待つから行ってきな。毎度ありぃ」
「おうっありがとなっまたなっ!」
時折振り返りながらぶんぶんと手を振って店を出る。
「…なぜかリレアからは目が離せないんだよな。ボクは。…頑張れよ。」
人混みに巻き込まれて見えなくなるまでリレアを見送ってたりりぃは、小さく呟いた。
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