神世界と素因封印

茶坊ピエロ

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28.気功のような技

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「起きろぉ朝じゃぞぉ」


 俺は寝ていた中アンデルさんに布団を剥がされた。目覚まし時計を見る。まだ朝の4時だ。
 俺とルナトは昨日、温泉から出たあと女性陣はリビングにいなかったので夜11時も過ぎてたのでそのまま貸してもらった寝室で寝た。
 

「あの・・・まだ4時なんですが・・」


「バカモン。朝は早く起きてトレーニングをせんでどーする!」


 ルナトの布団の方を見るが綺麗に畳んである。まさかあいつも朝からトレーニングとか言うんじゃないだろうな?あれでも殿下だぞ。そう思っていたらジャージ姿のルナトが部屋に入ってきた。


「何をしている和澄!もう4時だぞ。早く朝のトレーニングを始めるぞ。私はもう準備できた」


 まさかでした。ルナトは殿下とは思えない姿だ。トレーニングやる気っぽいな。俺だってトレーニングをしたくないわけじゃない。しかしこの時間は、早すぎる!

 俺は諦めてジャージに着替えて外に出てきた。ふたりは俺が着替えてる間にストレッチを終えていた。俺もストレッチをし始めた。そしてアンデルさんは手を2回叩いてこっちを向けと合図する。


「和澄はストレッチしたまま聞いてくれ。マーフィーが斬撃を飛ばして闘っているところは見たことあるじゃろか?」


「私は一度見たな」


「俺は叔父さんが斬撃を飛ばしてる姿は見たことがないです。けどヨシュア兄さんが斬撃を飛ばしてるところは見たことあります」


「ふむ。ヨシュアはマーフィーのせがれだしの。学んでいてもおかしくはないな。その斬撃の飛ばし方は2人ともわかるか?」


 俺とルナトは首を横に振る。実際、斬撃ってどうやって飛ばしてるのか気になっていたんだ。


「2人とも見たことはあるがわからないと。まずその説明からじゃな。あの斬撃は内に秘められたエネルギーを剣に乗せそれを弾き出したものじゃ」


「「・・・?」」


 俺とルナトは首を傾げる。要するにブレードの属性攻撃に必要なエネルギーを外に出して飛ばしてるということか? 


「先に言うとくが、ブレードで使うエネルギーとは別のエネルギーを纏わせておる」


では一体なんだと言うのか?俺とルナトは首を捻って考える。
 

「さすがにわからんか。わかりやすくいうと闘気オーラじゃな。やる気とかそういったものに物理的ダメージが生まれて飛んでいってるのが斬撃じゃ」


 うん全くわからない!旧中華人民共和国にあったとされる気功法の技術か何かか?


「儂はマーフィーと違い、その技術を体術に応用し剣や銃弾を素手で受け止めたり、生身で弾いたりする技術をみにつけた。2人とも昨日の組手から感じたのはひたすら一撃が軽いことじゃ。だからこの技術を1週間で完璧になるよう叩き込んでやるからの!」


 剣や銃弾を!?近代兵器で多く用いられている弾丸を弾くとはかなりの高等な技術なのでは?俺は期待を寄せるが、ふと気がついた。アンデルさんは警備隊総司令官なのだ。


「それはありがたいですけどアンデルさんお仕事は?」


「出勤は午後からじゃから午前だけになるのお。それまでみっちり鍛えてやるからのぉ」


「よろしく頼むな師匠」


 ルナトがアンデルさんを師匠と呼ぶ。たしかにアンデルさんは師匠になるのか。俺も呼び方を師匠に変えよう。


「ご指導お願いします師匠」


「うむ。和澄もストレッチが終わったところで、まずは内なるエネルギーがどういったものかを確かめなきゃいかんのぉ。みておれ」


 アンデルさんはそういうと木の前で素手で居合の構えをした。次の瞬間、手刀が目の前の木を切り裂いて倒した。


「す、すごい・・・」


 俺は思わず口にした。本当にすごい。エネルギーを纏っていたかは確認できなかった。


「 今のはできずともよい。闘気は集まることで物理干渉できる。威圧とか殺気は霧散した闘気が飛び散って生まれたものじゃ。主らには常に闘気を纏った状態になってもらうからの。まずは手に闘気を纏うとこからかの」


 なるほど。殺気とかが痛いのと同じ原理か。
 アンデルさんはやり方を説明してくれる。今感じてるやる気でいうと、そのエネルギーを手に集め、それを薄くして手につける感じだそうな。負の感情なんかを纏わせることもできるらしいが、痛みがくるからやめとけと言われた。


◇◆◇◆◇


「カズくん、ルナトくん、朝ごはんできたよ?」


「わっ!脅かすなミナ。てかもうそんな時間か」


 横からミナに話しかけられて俺は驚いた。ルナトはその声すら届いてないのか闘気を手に纏わせようとがんばっている。


「んー?おぉもう朝飯の時間か!どれ、2人とも休憩じゃ。飯はきちんと食べなきゃのぉ」
 

 朝ごはんは1日のエネルギーの素。内なるエネルギーっていうのが食事でできてるかはわからないけどな。
 とりあえず集中して話を聞いてないルナトにチョップ。


「何をする和澄。驚くだろう!」


「ルナト、朝ごはんできたらしいからいくぞ。休憩だ」


「私の抗議はスルーか・・・。わかった今行く」


 家の中に入るとイヴさんが午前中は行くところがあるそうで出て行った。
 朝ごはんはベーコンエッグに昨日のサラダの残りとジャムパンにオレンジジュースだった。バランスのとれた食事を出してきてたミナは主婦か!できれば俺の主婦になってほしい。
 俺たちは食事をとった後に、また闘気を纏う練習を再開した。
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