神世界と素因封印

茶坊ピエロ

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37.いっときの平和の終わり

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 学校が始まってから一週間が経った。俺たちはなんだかんだクラスに馴染んだ。
 絡んできたムラサキ・フォン・グレース、ムラサキとも今は呼び捨てで呼び合う仲になった。取り巻き二人はクラスの隅で縮こまっているが・・・。
 初日は酔っ払っていたアンデル師匠も二日目からは夜にちゃんと修行をつけてくれた。忌纏を一通りマスターしている俺たちだが、それはあくまで基盤だ。応用とかはまだまだひよっこレベル。例えば俺たちと師匠では忌纏の維持時間がまるで違う。師匠は半日は忌纏を維持できるが、俺たちは長くても30分が限度だ。原因は無駄にエネルギーを放出してるからみたいだ。今日は師匠は非番で帰宅後すぐに修行をつけてくれた。俺たちはあぐらを掻いて座禅だ。


「これ。集中力を乱す出ないわ。主等は一度エネルギーを放出するとダムのように流れ出ておったからの。常に押さえ込むのじゃ」


 押さえ込むのはとても難しい。師匠は平然とやっているが披露が半端じゃない。


「コツとかないんですか?」


「コツかのぉ。トイレを我慢するイメージじゃの!」


「わかりにくいです・・・」


 ルナトは少し抑えられてきているがそれでも持続時間が2、3分くらい伸びた程度だ。そしてこの作業は気力がいりすぐに疲れる。


「ぶはぁ。もうダメだぁ」


「はぁ~。技術の修得は早かったのにのぉ。順番がめちゃくちゃじゃ。まぁよい、続きは今夜にしよう。晩飯の時間じゃ」


 もうそんなに時間が経ってたのか。今日はソルティアは自宅に戻っていていないが、叔父さんとメアリーさんも非番で、兄さんとカナンさんも家にいる。なので早めに切り上げた。
 
 ストレッチを終えて家に入ると叔父さんと叔母さんが険しい顔で机に肘をついて話をしていた。


「二人とも怖い顔をしてどうした?痴話喧嘩か?」


「ふざけるな。アンデルよ。さっき通達係が来てな。等々アメリカが帝国に宣戦布告した」


「まぁ遅かれ早かれそうなるとは思っておったがのぉ」


 たしかに師匠の言うとおりそうなるとはここにいるメンバーは全員思ってたはずだ。しかし次の叔父さんの言葉には驚く。


「まぁな。しかし一つ問題があってな。アメリカから数百名のオールレンジ武器らしきものを装備しやつらが船に乗り込んでいたとスパイから情報を得た」


「なんじゃと!?彼奴きゃつらやはり日本から近代兵器を押収しておったか」


 なんと日本の岡部真理夫が作成した近代兵器のオールレンジ武器を装備した部隊があるらしい。
 そして叔父さんは続ける。


「この家に今いる中で、カナンくんと未成年以外はおそらく前線に出ることになる。なので1つ報告だ」


「報告?」


「先々週から静江を保護したスパイとの連絡が途切れた。おそらく再度拘束されている可能性が高い」


 は?ちょっと待て。俺の聞き間違いでなければ叔父さんは静江って言ったか?師匠は叔父さんを怒鳴りつける。


「マーフィー!お主何故この場で言った!」


「叔父さん。その話どういうこと?」


「お前の父と母、そしてミナの義理の父は先日アメリカで公開処刑にあった。ソンジェ・ヒューゲル、真壁忠澄はその場で死亡。真壁静江も行方不明だ」


「マーフィー貴様ぁ!」


 師匠は叔父さんの胸ぐらを掴む。俺は叔父さんの言ってることが理解できない。ミナも放心状態だ。


「じゃあ聞くが真実を隠したままで良いのか?奴らのことだ。遺体を持ってきて晒す場合だってあるのだぞ。その場合は今の比じゃないショックを受けるはずだ」


「くっ!じゃが言い方と言うものがあろうが!」


 徐々に正気を取り戻していく。大丈夫だ。父さん母さんのことは行方不明になった時点でもう諦めてる。少々混乱したがミナのが心配だ。


「俺は平気です師匠。それよりミナ大丈夫か?」


 返事がない。ミナの方をみると涙をこらえていた。


「大丈夫・・・」


 頬を伝う涙。全然大丈夫そうに見えない。俺は背中をさする。


「お義父さんは優しかったのに・・・。なんで死ななきゃいけなかったのかな?おじさんとおばさんだって・・・」


「ごめんねミナ。ごめんね」


 ミナは嗚咽を吐きながらメアリーさんの胸にうずくまる。


「原因はすべて斑鳩という男が原因だ。元帝国軍芦屋斑鳩は完全に帝国を裏切った。見つけ次第捕縛しろ」


 あいつの所為で父さんや母さん、それにミナのお義父さんを!絶対許さない。


「マーフィー。最前線に出たら私は斑鳩を絶対殺すよ。捉える気なんかさらさらないからね。あいつは死んで償わなきゃいけない」


「あぁ。今回はもう遠慮はいらん。引き金は弾かれた。アンデルよ。隊の編成について話合わねばならん。明日朝一だ。すまんが今日の夜の修行は中止してくれ」


「わかった。すまんな和澄、ルナト」


「大丈夫です。事情が事情ですので」


「あぁ。父上によろしく頼むマーフィー」


 そんなこんなで叔父さんと師匠は晩ご飯も食べずに部屋に戻っていった。夜はアンデルさん抜きで修行だ。


「じゃあ晩ご飯食ったら修行再開だ」


「逞しいな。俺が父上の悲報を聞いたら正気でいられるかわからんぞ」


「行方不明になった時点で発狂したさ。まぁ今は諦めてるから大丈夫だったけどな。生きてくれてたら嬉しいけど期待はしていない程度だ」


 もっとショックを受けると思っていたがわりと耐えれた。これもモルフェさんのおかげかな?多少は精神力を鍛えることができている。わりきったことならば発狂すらしなくなった。
 ミナが殺されたりしたら精神が壊れるだろうが、それは構わない。ミナのいない世界で正気を保つなんて俺には無理だ。
 俺も大概兄さんのこと言えなくなった。ミナを溺愛しすぎてる。


「帝国も戦場になる場合があるからな。最悪の場合だってある。いい加減思いを告げたらどうだ?」


「今はミナがあんな情態だからな。もう少ししたら考えてみるよ」


 そうだ。さすがに戦場では死すらありえる。ミナを全力で守るつもりだ。命に代えても。だが万が一それで死ぬ場合がある。そしたら後悔しないように告白くらいはしとこう。死亡フラグ?しるかそんなフラグへし折るくらいでないとな!
 俺とルナトは晩ご飯食べ、先ほどと同じ修行をしてから今日はすぐに布団に入って睡眠をとった。
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