神世界と素因封印

茶坊ピエロ

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65.地下の神園

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 この森は意外に広かったんだな。
 俺達は神格を得そうな獣をパートナーにすべく、地下神殿を改造して作られた森林に来ていた。
 そして今はミナ、ルナト、ソルティアの三人と行動を共にしている。
 ちなみに兄さんとカナンさんは一緒に森林デートを楽しむそうだ。
 そしてモルフェさんは祐樹達についていった。


「神獣って一体どんな見た目をしてるんだろうな?」


「カズくん、まだ神獣になってないでしょ」


 そうだったな。
 あくまで神格を得そうな獣であって、神獣ではなかった。


「まぁいずれ神獣になる獣だ。私はユニコーンやペガサスなんてのがいればいいと思っているぞ」


「そんな架空の生き物いるのか?」


 ルナトが珍しく突拍子のないことを言っている。


「あら?居ますわよ。ワタクシの知らないだけかもしれませんけどね。そこのウサギとか」


 じっとこっちを見てきている白いウサギだ。
 後ろ足だけで立ってるのがかわいい。
 綺麗な普通のウサギにみえるけど・・・


「なんかおかしなところあるのかソルティア?」


「まぁぱっと見普通ですわね。でも見逃さないで見ていてくださいまし」


 俺はじっと見続けたが、ウサギの方が俺達が敵じゃないと判断したのか、歩き出した。
 そう二足歩行のまんま歩き出した。


「え、すごいな。でも訓練させればできるんじゃないのか?」


「いや無理ですわよ。訓練しても二足歩行を常時できる犬がいないのと同じですわ。貴方はずっとつま先立ちを維持できます?」


 なんか聞いたことがあるな。
 四足歩行の生き物、特に犬や猫なんかは常につま先立ちを常にしている情態だってことを。


「なるほど。できなくもないけどやりたくない」


「その気持ちですわよカズさん」


 なるほどなぁ。視点を変えれば色々と不思議な事が多いなここは。
 空を見上げてみる。にわとりが空を飛んでいた。
 横の湖を見ればカバが居た。そのカバの牙はサーベルタイガーを連想させるほど鋭かった。


「あのカバをみるとここ、俺の常識が通じないってよくわかるな」


「あのカバ食べてるのが果物だね。あの牙何のためにあるのかな?」


「雄同士の縄張り争いや、雌の奪い合いとか、か?」


 他にもあるのだろうけど俺はこれくらいしか思いつかない。
 そして俺は今日一番驚く光景をみる。


「あれは・・・!」


「なんだ和澄?ん?あれはデカい蛾?いや梟か?」


「あれはモスマンだ!」


 ルナトは疑問府を浮かべてる。
 昔ミナとUMA特集をテレビで見てたからミナは知っているようで俺の後ろに隠れている。
 たしかによく観ると怖い。
 モスマンはペット説なんてのが出てたけど、まさかホントに居たとは・・・。


「蛾人間って意味か?あれは人にみえないんだが」


「いえ、ルナト様よく観て下さいまし。足が人間の足ですよ」


(ここは人間もいるのですね。こんにちわ。ワタクシはモスマンという種族のモスゲイルと申します)


 テレパシーか!頭の中に話しかけてくる感覚はなんか不思議だ。


「よろしくお願いします。私はルナト、こっちは右から和澄、ミナ、ソルティアです」


 ルナトが代表で話を始めて、俺達全員それぞれ名前を言って頭を下げる。


(よろしくお願いします。そして安心しました。ここは人間が入って来れない平和な場所だと思ってたので最悪は交戦すると覚悟していました)


 人間が入って来れない場所?それに交戦とは穏やかじゃないな。一体どういうことだ?


「人間が入ってこれない場所?どういうことか説明して貰えたりしますか?」


 モルゲイルさんが頭を下げてこちらに降りてくる。
 あ、翼広げたら手があると思ったけどないんだ。


「アーアー。通じてますカ?」


「はい。わかりますよ」


「よかったでス。スコシカタコトなのはご容赦ヲ。まずアナタたちの目的ヲ聞きたいのでスガ・・・」


 喋れたんだ。
 でもこの感じ、ずっと喋ってなかったのかな?滑舌も悪いし。


「モルペウスさんは知ってますか?」


「存じ上げテおりまス。イヴ様の盟友だとカ」


「そうですね。モルペウスさんから神格を得そうな獣がいて、パートナーにしてみてはどうだと言われてきた次第です」


 モスゲイルさんは考え込む。そして俺達の方を向いて話し出す。


「そういうコトでしたラ、心当たりがありまスネ。イヴ殿とはどういったご関係デ?」


「難しいですけど友人ですね。あとは私とそこの和澄が弟子でして、師弟関係でもあります」


 友人だとは思ってるけど、歳的に失礼にならないだろうか?
 知人とかのがいいのかもしれない。
 いや友人って言ったらイヴさん喜びそうだな。


「コレハコレハ。失礼しましタ。まさかお弟子様トハ。イヴ様は神園エデンと言うところかラ、ここに移り住むことヲ許可されて助かっていまス」


「神園?聞いたこと無いですけど、ここに居る生き物たちはそこから来たんですか?」


「神園はご存じでなかったのですネ。ここで先日何体か子を成したと報告はありまスが今のところはそうですネ」


 神薗って一体?
 聖書にはエデンの園ってのがあるらしいけど詳しくないからわからない。


「神薗とは、我々のようナ珍しい生き物たちガ、穏やかに住めるようニとアダム様によって作られました。しかし近年の人間達ノ神園進行によリ、危険な場所に変わり果ててしまいましタ」


 だから人間と交戦することも考えてたんだな。
 あ、モスゲイルさんが涙を流してる。


「幸い被害は出ませんでした。しかし飢えて病気になる者が増えていくばかり。そこでイヴ様から声をかけられて、ここに来た次第です」


「なるほど。モスゲイル殿達も大変でしたね。しかしそういうことなら神格を得そうな獣たちをパートナーにしてもよろしいのでしょうか?」


「もちろんでス!無理矢理掌握しようトするような人達でもないようですシ。彼ラが自分からついて行きたいト言ったならワタクシも止めれませン」


 俺達は安堵する。でもそんなことがあった子達を仲間にできるのだろうか?
 さっきから逃げてく個体もいかなかったし、平気かな?


「では神格を得そうな獣たちはこちらです。ご案内します」


 てかモルフェさんはそれをわかってたから祐樹達に引率したのか?
 俺達はそんなことしないってわかってて、信頼してくれてるんだな。


◇◆◇◆◇


 俺達は呆気にとられていた。
 目の前には小さい動物が3匹。
 赤い炎を吹いてる鷹、白い息を吐く銀狼、尻尾がヘビなカメ。
 おそらく有名な幻獣、朱雀、フェンリル、玄武だろう。


「これは驚いた。四聖獣、朱雀に玄武あとはこれはフェンリルか?」


「いえ、この子は朱雀ではなくフェニックスになろうトしておりまス。他は正解ですけどネ」


「キュアアアー」


「ワォーン」


 鷹と銀浪が鳴き声をあげる。
 フェニックスって全身炎だと思ってたんだけどなぁ。
 まぁさすがにカメは鳴き声をあげないか。


(失礼なコト考えてないかしら?)


(絶対考えてるよ)


 またまたテレパシーか。
 てか別に失礼なこと何も考えてないんだけど!


「すごいかわいいですわね。このカメちゃん」


(本当かい?君は視る目があるね。是非とも私達のパートナーになってくれないかしら?)


 え、ソルティアはなんでこんなすぐに気に入られるの?
 しかもこんな簡単にパートナー指名されちゃって。
 見れば鷹はルナトの腕に止まっていて、ミナは銀浪に舐められてる。
 待て待て。俺だけパートナーできてないじゃないか!


「なりますわ。どうすればいいのでしょう?」


(私達の名前を付けてくれれば、パートナー契約というものが承認されるわよ)


(さぁかっこいい名前をつけてくれ)


 パートナー契約って一体なんだろう?
 単にパートナーとして受け入れるだけじゃないのか?


「そうですわね。じゃあカメさんの方はフェイ、ヘビさんの方はテイルですわ」


 それ絶対フェイスとテール。顔と尻尾って意味だろ!


(フェイ・・・良い名前ありがと)


(テイルも気に入ったよ)


 いいんだ!そんな名前でいいんだ!
 しかもなんか光り出して大きくなった。
 パートナー契約するとこうなるんだ!
 ダメだツッコむの止そう・・・虚しくなる。
 そう思った矢先、俺は草むらから飛び出してきた何かに顔を覆われて、なんで俺ばかりこんな目に!とツッコんだ。
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