神世界と素因封印

茶坊ピエロ

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66.パートナー契約

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「キュゥー」


 草むらから飛び出してきて、俺の頭にぶつかってきたのは、モモンガのような見た目の生き物だった。


「おや?蓄電モモンガでスか。彼らハ警戒心が強ク、滅多に他の生き物の前には出ないんですがね」


 蓄電モモンガ?名前の通り電気を溜めてるのだろうか?


「キュゥー?」


 首を傾げている。ちょっと可愛いなこいつ。
 このモモンガは俺の頭に乗って、額をぺちぺちと叩く。


「パートナーになりたがってそうですネ」


「お前、俺のパートナーになりたいのか?」


「キュゥー!」


 こんなに懐いてくれてるならパートナーになりたいな。
 なんで懐いたのかはわからないけど。


「よろしいのですカ?彼は珍しいですガ、神格とはほど遠いですヨ?」


「パートナーになるのに神格があるかどうかは関係ないですよ」


 いくら神格を持っていても、相性が悪かった意味ないし。


「その心!さすガはイヴ様のお弟子様でスネ」


 なんか褒められちゃったよ。まぁいいや、名前を決めよう。


「モモンガだからモモ太郎?」


「ギュゥゥ!」


 うわ、うなり声をあげてる。
 さすがに気に入らなかったか。
 俺は頭に乗ってるモモンガを持ち上げて向き合う形で抱え込む


「ごめんごめん。そうだなーライってのはどうだ?」


「キュゥー?」


「頭の上に乗ってるからライドと日本語のかみなりの別読みからライって、考えたんだけど嫌か?」


「キュイキュイ!」


 首を振って否定するモモンガ。
 どうやら気に入ってくれたようだ。


「じゃあ今日からお前の名前はライだ!よろしくなライ」


「キュゥゥゥゥゥゥ!」


 するとライが光り出した。大きさは変わらないけど何が変わったのだろうか?


(ありがとーご主人様)


「え、テレパシー!?」


(そうよ。よろしくねご主人様)


「あ、あぁ!よろしくなライ」


 パートナー契約でテレパシーを使えるようになったのか。
 しかしこの感じ雌か!


「その子、カズくんのパートナー?」


「あぁ、ミナ。ってでか!そいつさっきの狼だよな?」


 ミナが俺達より二回りデカい狼を連れてきた。


「アォォォーン」


「そうだよー。名前はスノーにしたの」


「そうか。これからよろしくなスノー」


「ワンっ!」


 犬っぽい。俺は触ってみる。ヒンヤリして冷たい。


「カズくん。ちょっと氷出してほしいんだけどいい?」


 そういってミナはブレードを俺に渡してきた。
 構わないけどなんでだろうな。
 フェンリルって言うくらいだから氷を食べるとかか?
 俺は手のひらサイズの氷を作り出す。


「これくらいでいいのか?」


「うん!ありがとカズくん!」


(ご主人はこれだけ電力がすごいのに、使うのは氷属性なのですか・・・)


 ライが残念がっている。
 ていうか属性って概念は動物たちにもわかるんだな。
 しかし電力って外に飛び出すものなのか?
 もしかして電力がすごいから俺に懐いたのか?


「いや俺は二属性使えるんだ。ほれ、俺は雷と氷の属性を使える」


(――――!?ご主人は神族様ですか?)


「いや神族じゃないぞ?神格もないしな」


 モルゲイルさんの方をみると平伏していた。
 なんだなんだ!?


「神族じゃなくテモ二属性以上ヲ扱える時点で尊敬に値しまス。数々のゴ無礼オ許し下さイ」


「え、頭をあげてください。たしかに二属性は貴重って言われましたけど、そこにいるルナトも二属性使えますよ」


 モルゲイルさんが驚いた顔をしている。
 すごい。顔は梟っぽいのに表情がわかる。
 ルナトが名前を呼ばれたからこっちに歩いてきた。


「なんだ和澄。私の名前を出して。あ、紹介するぞ。こいつはブレイブだ」


「キュアアアアア」


 フェニックスのブレイブは声をあげた。
 鷹っぽい見た目なのにわしみたいな鳴き声をするな。


「よろしくなブレイブ」


「キュアアアアア」


 よろしくって意味なのか?
 俺はブレイブの頭を撫でる。
 あ、目を閉じてる。気持ちいいのか?


「ルナト様も二属性持ちとハ。大変失礼しましタ」


「ん?どういうことだ和澄?」


「二属性持ちだとそれだけで尊敬するんだってさ」


「ふむ。理由をお聞かせ願ってもいいですか?」


 モスゲイルさんが翼を器用に使って、執事みたいにお辞儀をする。
 その演出、今いるか?


「はい。僭越ながら、語らせていただきます」


 そしてモルゲイルさんは語り出した。
 かつて神園に人間が進行してきたとき、多くのここに居るような生き物たちは捕獲されてしまうところだった
 モスマン族なんかは見た目なんかで、真っ先に殺されかけたらしい。
 そんな中、神園の生き物たちを守ろうとした人物が進行してきた人間達の中にいたらしい。
 その人物がなんでも2属性だったらしく、一部の種族から神族では?と言われてたそうだ。
 そしてその人物は仲間を裏切って全軍を相手に闘ったそうだ。


「その人物の名は、岡部真理夫と言いまして、ほぼ全員逃がして下さいました」


「なんだと!?岡部真理夫!?」


「ルナト様ご存じでしたカ?彼のおかげデ、ワタクシ達ハ被害はなく、今生きることができています」


 なるほど。岡部真理夫はブレードを使えなかったと思ってたんだけどな。


「カズさんとミナはなんでそんな平静で居られるんですの?」


「そうだ。まさか岡部真理夫を知らないなんてことはないだろうな!?」


 そりゃ知っている。少なくともルナト達よりは知ってる。


「岡部さんとは知り合いじゃなかったデスか?」


「知り合いもなにも、彼が作った兵器は昔戦争を引き起こした道具となったんだ」


「そうですわ。だから知っていたんですの」


(へぇ。あの男はいい奴だと思ってたんだけどねぇ)


(そうだね。少し残念だよ)


 フェイとテイルも知ってるんだな。


「その兵器は我々の住んでいる場所にも被害をもたらした」


「そんなまさカ。彼ハ我々の生存ノ手助けをしてくれたというのに」


「残念ですけど事実ですわ。直接か間接かは実際に見たわけじゃないですけど、被害があったのは事実ですわ」


 ルナトとソルティアが忌々しそうに言う。
 あぁ、そんな顔をしないでくれ。
 悲しくなる。


「あーごめん盛り上がってるところ悪いんだけどさ。岡部真理夫のことをそんな悪く言わないでくれないか?」


「なんでだ和澄!まさか今回の被害は仕方なかったとでもいうのか!」


「落ち着けって、そうは言ってない。でも悪いのは兵器を使う奴であって、岡部真理夫じゃないはずだろ?」


「そ、それはそうだが・・・」


 武器の作成者が悪いとは言えない。
 どの時代でも武器を悪用する奴が悪いんだ。
 少なくとも岡部真理夫は戦争の意図があって作ったわけじゃないはずだ。


「ミナがさっきから黙り込んでいますし、カズさんも岡部真理夫を擁護するようなことを言いますけど、もしかして岡部真理夫と知り合いなんじゃないんですの?」


 するどいなソルティア。
 ルナトは睨み付けてくる。


「まさか岡部真理夫を匿っているんじゃないだろうな?そんなことは無いと思うが、もしそうだとしたらちゃんと私に言わなかったのは何故だ?」


「匿ったりしちゃいねぇよ。あーミナどうする?」


「ごめんありがとうカズくん。これは隠し通せることじゃないし、二人には聞いて貰いたいかな」


「聞くとはなんだ!」


「落ち着けって。話すから。でもこんなところじゃなんだし、移動しよう。モルゲイルさん、どこか四人で話せるいいところありませんか?」


「なにやら訳あリのようですネ。わかりましタ。ここを少し行くト、滝がありまス。その裏に小さな洞窟があるのデそこで話してきてハどうでしょう?」


「ありがとうございます。話を終えたらここに戻って来ます。少し待っててもらっていいですか?」


「パートナー達はどうしましょう?」


 俺はミナに目配せする。


「大丈夫。全員ついてきて平気。せっかくスノーとパートナー契約したのに隠し事もしたくないし」


「わかりましタ。ではこちらでワタクシはお待ちしておりまス」


「すいません、モルゲイルさん」


 いいですよと手を振るモルゲイルさん。
 俺達は滝へと向かった。


◇◆◇◆◇


 ザーザーと滝の流れる音がする。
 ここは肌寒いな。
 ライは俺が電気を生み出してそれを食べている。
 どうやら蓄電モモンガは電気が主食のようで、俺が作れないと聞いてがっかりしそうだったそうだ。
 まさか電気目当てで懐いたんじゃ・・。


「さぁ話してもらおうか!」


「落ち着けって。ミナ、俺から話してもいいか?」


「うん、ありがとう。でもわたしから話すよ」


「そっか」


 自分からは話しにくいかと思ったけど、杞憂だったな。


「ごめんねふたりとも。わたしの両親が再婚で、お父さんが実の父じゃないのは知ってるよね?」


 なんで今そんな話を?と首をかしげる2人だが、とりあえずは頷いた。
 ミナの義父さんは、父さんと仲良かったしな。
 父さんを知っていたならミナの義父さんも知ってるだろう。


「わたしの昔の名前は・・・岡部ミナ。岡部真理夫の娘なの」



 思わずルナトは座っていた石から転げ落ち、ソルティアはそれを支えることも忘れて口を手で覆っていた。
 思ったより動揺してるな。
 そのあと二人は顔を青くしていた。
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