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バーベンベルク城にて
不安と怒りに我を忘れました
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「抵抗するなら多少の事には目をつむると言われている。」
ニヤリとイヤな笑顔を浮かべるライオネル。近衛騎士達も改めて刃を兄上に向けた。
兄上!何もしてないのに、ひどい!私の心はもう心配と憤りで荒れ狂っていて、手首の腕輪が熱くてたまらない。
なんだか震えている気もする。
「嬢ちゃん?どうしたんだ?なんかやばくないか?」
おじさんが、急に声をかけてきた。もう私を隠す気を無くしたのか、ばっとマントを開くと私を両手で目の前に持ち上げる。
おじさん、やっとやばいって気づいたの?さっきからすごくやばいと思うんだけど。
頼りにならないおじさんに、他に助けがないか周りを見回すと。
魔導師の人たちは、みんな真剣な顔をしておじさんの方、つまり私たちの方を向いていて。
思わずびくっとしてしまう。おじさん以外、魔導師の人たちもみんな敵なの?父さまと一緒にお仕事している人たちなのに、、、ひどい!
私の中で不安より怒りの方が強くなった。手首が熱くてじんじんして、腕輪の震えもだんだん大きくなる。おじさんに持ち上げられたまま、思わず腕輪を反対の手で引っ張ろうとすると。
魔導師の人たちは一斉に私たちに向かって手を挙げたの。
この人たちも敵なんだ、、、この部屋の人は兄上とおじさん以外、みんな、テキ、、、。
「・・・ディー・・・?」
その時。
この部屋に来て、初めて動揺した兄上の声がした。
振り返ると、思わずと言った風に私に向かって一歩踏み出す兄上が見えた。周りの白刃を全く意識していないみたい。
兄上のすぐそばには、ちょうど私に背を向けたライオネルが居て。
彼は今までとは違う兄上の動きにびくっとした後、
「この、刃向かうか!」
と叫んで、兄上に向かって抜身の剣を振り下ろした。
「っ!」
兄上が殺されちゃう!どうしたらいいの?誰も味方は居ない。兄上を、このおじさんを助けたい!私に魔力があれば!こんな腕輪無ければ!!
不安、恐怖、怒りが身体中を渦巻き、目の前が一瞬真っ赤に染まった、その瞬間。
パリン
小さな音がして、手首にはめられていた、フィン兄さまにもらった腕輪が、割れた。
と、同時に。私の中に溜まって、馴染んでいた魔力が、私の感情に乗って嬉々として溢れ出てきた。
溢れ、外に出ていく以上に、ものすごい量の魔力が、身体に流れ込んでくるのも感じる。
それは、私の中にすんなり溶け込み、身体の中を駆け巡り、隅々まで力を与え、不安や恐怖と言った弱い気持ちを消し去っていく。
ああ、漲っていく。私の意のままになる、力強くて、気持ちの良い、、、魔力。
私は気分が高揚するままに笑い声をあげた。ああ、とっても気持ちいいの。今なら何でも出来そう。
私の笑い声に合わせ、空気が振動し、地面が揺れる気がするけれど、その振動すら、心地良い。
私はおじさんの腕からポンと飛び降りた。床で軽く跳ねると空中に浮かび、ぐるっと室内を見回す。
「緋色の騎士たちは悪い人。兄上に剣を向けた。やっつけちゃえ!」
どんなふうに?嵐で滅茶苦茶に!
そう言って渦巻く嵐を思い浮かべると、私が思った通りに、室内を風が荒れ狂い、緋色の騎士たちが宙に舞った。
みんな、何が起こったか分からないみたいで、剣を取り落として助けを求めて叫んでる。ふふっ。あんなに怖かったのに、あっという間にやっつけちゃった!
あ、兄上の手首に、まだ魔力封印付きの縄がある。早く取ってあげないと。
「切って」つぶやいたら一瞬で、風の刃が術式ごと縄を切り払った。
兄上の手がだらりと下がる。
ちらっと伺うと呆然としている兄上の顔が見えた。あんな顔をする兄上、珍しいね。
兄上の向こうには魔導師の人たち。みんな上げた腕をそのまま、真っ青な顔で固まっている。ふふん、いい気味。
私は空中を舞い続ける騎士達を避けてぴょんぴょん飛び跳ねながら、顎に指先を当て、小首をかしげた。
「黒い魔導師たちはおじさんと私に手を挙げた。懲らしめなくちゃ!」
どうやって?魔術でまた攻撃してきたらイヤだな。そうだ、息を出来なくしちゃえ!空気のない箱を頭にかぶせちゃおう。
でも、死んじゃうのは可哀そうだから、頑張れば取れるよう、ゆるくかぶせるね。みんな頑張って取ってね。
私は透明で空気のない箱を思い浮かべると、一番近くにいた魔導師の頭にひょいとかぶせた。
途端に驚いた顔をして顔の辺りに手をやり、もがきだす。うん、いい感じ。私は同じ箱をたくさん思い浮かべると、魔導師の頭にひょいひょいかぶせていった。みんな、何が起こったか分からないという顔をしながら、もがきだし、箱に気づいた人は、懸命に取ろうとしている。ふん、私に裏切られた思いをさせたんだから、いい気味だもん。頑張ってね~。
そして、一番許せないのは、最後に残しておいたあの人、、、。
私はピョンっと宙を飛んで、兄上にライオネルと呼ばれた人の真ん前に行った。
「な、なんだ、お前は・・・」
この人、あんなに威張ってたのに、尻もちをついて、真っ青になって震えてる。ふふっ、いい気味。
私が笑うと振動は一層大きくなり、ライオネルはヒイッと情けない声を上げた。
もう、全っ然怖くない。だからこそ、やさしく話しかけられる。
「初めまして。私はディアナ・グンダハール。バーベンベルク辺境伯家の末娘です。以後、お見知りおきを。」
にっこりして、空中でカーテシーだってしちゃう。
「バーベンベルクの末娘・・・そして紫の忌々しい瞳・・・お前も魔導師団長の血を引くんだな。道理で滅茶苦茶なはずだ。やっぱり魔導師団長の血を引く奴等はみんな化け物なんだ・・・陛下のご懸念は当たっているんだ!」
この人、ぶつぶつと、とんでもないことを言い出した。最後の方、良く聞こえなかったけど、父さまを、私たちを、化け物だなんてっ!
「ナンダッテ?」
普段の自分では思いもしない低い声が出る。グラッと建物も揺れたみたい。同時に、怒りの衝撃波でライオネルが吹っ飛んだ。壁に激突して、そのままくたりとする。あれ、もう終わり?
あっけない。ふふっ。こみ上げるままに怒りを放出するって、こんなに気持ちが良いんだ、、、。
ニヤリとイヤな笑顔を浮かべるライオネル。近衛騎士達も改めて刃を兄上に向けた。
兄上!何もしてないのに、ひどい!私の心はもう心配と憤りで荒れ狂っていて、手首の腕輪が熱くてたまらない。
なんだか震えている気もする。
「嬢ちゃん?どうしたんだ?なんかやばくないか?」
おじさんが、急に声をかけてきた。もう私を隠す気を無くしたのか、ばっとマントを開くと私を両手で目の前に持ち上げる。
おじさん、やっとやばいって気づいたの?さっきからすごくやばいと思うんだけど。
頼りにならないおじさんに、他に助けがないか周りを見回すと。
魔導師の人たちは、みんな真剣な顔をしておじさんの方、つまり私たちの方を向いていて。
思わずびくっとしてしまう。おじさん以外、魔導師の人たちもみんな敵なの?父さまと一緒にお仕事している人たちなのに、、、ひどい!
私の中で不安より怒りの方が強くなった。手首が熱くてじんじんして、腕輪の震えもだんだん大きくなる。おじさんに持ち上げられたまま、思わず腕輪を反対の手で引っ張ろうとすると。
魔導師の人たちは一斉に私たちに向かって手を挙げたの。
この人たちも敵なんだ、、、この部屋の人は兄上とおじさん以外、みんな、テキ、、、。
「・・・ディー・・・?」
その時。
この部屋に来て、初めて動揺した兄上の声がした。
振り返ると、思わずと言った風に私に向かって一歩踏み出す兄上が見えた。周りの白刃を全く意識していないみたい。
兄上のすぐそばには、ちょうど私に背を向けたライオネルが居て。
彼は今までとは違う兄上の動きにびくっとした後、
「この、刃向かうか!」
と叫んで、兄上に向かって抜身の剣を振り下ろした。
「っ!」
兄上が殺されちゃう!どうしたらいいの?誰も味方は居ない。兄上を、このおじさんを助けたい!私に魔力があれば!こんな腕輪無ければ!!
不安、恐怖、怒りが身体中を渦巻き、目の前が一瞬真っ赤に染まった、その瞬間。
パリン
小さな音がして、手首にはめられていた、フィン兄さまにもらった腕輪が、割れた。
と、同時に。私の中に溜まって、馴染んでいた魔力が、私の感情に乗って嬉々として溢れ出てきた。
溢れ、外に出ていく以上に、ものすごい量の魔力が、身体に流れ込んでくるのも感じる。
それは、私の中にすんなり溶け込み、身体の中を駆け巡り、隅々まで力を与え、不安や恐怖と言った弱い気持ちを消し去っていく。
ああ、漲っていく。私の意のままになる、力強くて、気持ちの良い、、、魔力。
私は気分が高揚するままに笑い声をあげた。ああ、とっても気持ちいいの。今なら何でも出来そう。
私の笑い声に合わせ、空気が振動し、地面が揺れる気がするけれど、その振動すら、心地良い。
私はおじさんの腕からポンと飛び降りた。床で軽く跳ねると空中に浮かび、ぐるっと室内を見回す。
「緋色の騎士たちは悪い人。兄上に剣を向けた。やっつけちゃえ!」
どんなふうに?嵐で滅茶苦茶に!
そう言って渦巻く嵐を思い浮かべると、私が思った通りに、室内を風が荒れ狂い、緋色の騎士たちが宙に舞った。
みんな、何が起こったか分からないみたいで、剣を取り落として助けを求めて叫んでる。ふふっ。あんなに怖かったのに、あっという間にやっつけちゃった!
あ、兄上の手首に、まだ魔力封印付きの縄がある。早く取ってあげないと。
「切って」つぶやいたら一瞬で、風の刃が術式ごと縄を切り払った。
兄上の手がだらりと下がる。
ちらっと伺うと呆然としている兄上の顔が見えた。あんな顔をする兄上、珍しいね。
兄上の向こうには魔導師の人たち。みんな上げた腕をそのまま、真っ青な顔で固まっている。ふふん、いい気味。
私は空中を舞い続ける騎士達を避けてぴょんぴょん飛び跳ねながら、顎に指先を当て、小首をかしげた。
「黒い魔導師たちはおじさんと私に手を挙げた。懲らしめなくちゃ!」
どうやって?魔術でまた攻撃してきたらイヤだな。そうだ、息を出来なくしちゃえ!空気のない箱を頭にかぶせちゃおう。
でも、死んじゃうのは可哀そうだから、頑張れば取れるよう、ゆるくかぶせるね。みんな頑張って取ってね。
私は透明で空気のない箱を思い浮かべると、一番近くにいた魔導師の頭にひょいとかぶせた。
途端に驚いた顔をして顔の辺りに手をやり、もがきだす。うん、いい感じ。私は同じ箱をたくさん思い浮かべると、魔導師の頭にひょいひょいかぶせていった。みんな、何が起こったか分からないという顔をしながら、もがきだし、箱に気づいた人は、懸命に取ろうとしている。ふん、私に裏切られた思いをさせたんだから、いい気味だもん。頑張ってね~。
そして、一番許せないのは、最後に残しておいたあの人、、、。
私はピョンっと宙を飛んで、兄上にライオネルと呼ばれた人の真ん前に行った。
「な、なんだ、お前は・・・」
この人、あんなに威張ってたのに、尻もちをついて、真っ青になって震えてる。ふふっ、いい気味。
私が笑うと振動は一層大きくなり、ライオネルはヒイッと情けない声を上げた。
もう、全っ然怖くない。だからこそ、やさしく話しかけられる。
「初めまして。私はディアナ・グンダハール。バーベンベルク辺境伯家の末娘です。以後、お見知りおきを。」
にっこりして、空中でカーテシーだってしちゃう。
「バーベンベルクの末娘・・・そして紫の忌々しい瞳・・・お前も魔導師団長の血を引くんだな。道理で滅茶苦茶なはずだ。やっぱり魔導師団長の血を引く奴等はみんな化け物なんだ・・・陛下のご懸念は当たっているんだ!」
この人、ぶつぶつと、とんでもないことを言い出した。最後の方、良く聞こえなかったけど、父さまを、私たちを、化け物だなんてっ!
「ナンダッテ?」
普段の自分では思いもしない低い声が出る。グラッと建物も揺れたみたい。同時に、怒りの衝撃波でライオネルが吹っ飛んだ。壁に激突して、そのままくたりとする。あれ、もう終わり?
あっけない。ふふっ。こみ上げるままに怒りを放出するって、こんなに気持ちが良いんだ、、、。
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