帝国最強(最凶)の(ヤンデレ)魔導師は私の父さまです

波月玲音

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バーベンベルク城にて

アルフレートという男が父さまになった時(前)

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真っ暗な部屋に戻ると、父さまが魔道具の灯りを灯してくれた。フワッと温かい色が灯るたびに、穏やかで落ち着いた気持ちになる。

うん、これなら冷静に話が出来る。
私はちらっと父さまを見た。
父さまは、、、なんと母さまの腕を掴んでいる。母親に縋りつく子供みたい。
それなのに、母さまは、明るくなった部屋をぐるりと見まわし、ふと私の視線の先にあるものに気づくと、無情にも掴まれた腕を抜こうとする。抵抗する父さまは必死で、ほんと子どもみたい。
こういうところは初めて見たのでちょっと驚きだ。

「ここは踏ん張りどころだ。アル。私も頑張ったんだから、君も頑張って父親をやらないと。」
「え、まさかエレオノーレ・・・」
「娘と話すのに母親は要らないだろう?私は晩餐前に少し仕事をしてくる。誰かさんのせいで午後の執務が滞ってしまったからな。」
母さまに軽く睨まれると、父さまは慌てて手を離した。

まあ、立ち話もなんだから二人とも座って。母さまは私と父さまをソファに座らせると、アンナが置いて行ったお茶のセットを見た。
「お湯もすっかり冷めてしまってるな。どうする、アル。誰か呼ぶか?」
「・・・いや、自分でやるからいい。」
「フフッ。そう言うと思ったよ。じゃ、ディーは任せたからね。」
晩餐には遅れないように。
そう言うと、母さまは颯爽と出て行ってしまった。


いきなり静かになり、なんとなく気まずいけど、それは父さまもだったみたい。
「お茶、淹れよう。」
ぼそぼそ言うと、おかれているお茶のセットの方に手を向けた。すると、お湯のポットから突然湯気が立ち、茶葉の箱が開き、ティースプーンが茶葉をすくってティーポットに入れていく。
「・・・!」
私はびっくりして目が離せない。父さまは普段城に居ないことが多いし、いてもあまり魔術を使わない。思い返してみると、転移魔術くらいしか見たことが無かったのだ。

「父さまはこんなことも出来るのね・・・」
私が驚きと尊敬のまなざしで父さまを見つめると、父さまは「う・・・。」と言って視線を明後日の方に向けてしまった。
それでも一切の迷いなくお茶はカップに注がれ、宙を浮いて私たちの前にコトンと置かれる。

「すごい!」私がパチパチ拍手をすると、父さまはやっとこっちを向いた。何かを確認するように私を見て、、、少し安心したみたい。
いつもの口調で
「熱いからね、気を付けて。」
と小さくつぶやいた。
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