帝国最強(最凶)の(ヤンデレ)魔導師は私の父さまです

波月玲音

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バーベンベルク城にて

アルフレートという男が父さまになった時(中)

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お茶は、意外にも美味しかった。蒸らし加減もちょうど良くて、熱くもぬるくもない。
「美味しい・・・でも」
でも、どうして公爵家の出身の父さまがお茶を一人で淹れられるんだろう。

私の疑問は顔に出ていたのも知れない。父さまはフッと一息つくと、話し始めた。

色々あって、公爵家での立場が微妙だったこと。居心地の悪いのがイヤで、小さい頃から隠れてばかりいたこと。
七八歳の頃にはこっそり魔力もつかいこなせたので、自分の隠れ家を作り、入り浸っていたこと。
「だから、大抵の事は一人で出来るんだ。・・・今だって一人になりたい時もあるし。」
ぼそぼそと続ける。そうよね、一人になりたい時ってあるよね。恥ずかしい失敗した時とか、泣きたい時とか、叱られた時とか・・・てことは、もしかすると。

「父さま、さっきも隠れ家に行ってたの?天究の塔とか、ヴァイハイトの頂上とか?」
つい好奇心から聞くと。父さまは、グフッとむせてお茶を吹き出しそうになった。
ゴホゴホ言うので慌てて駆け寄り背中をさすってあげる。
「・・・っ。父さまに触れるの、怖くないか?」
父さまは一瞬ビクッとした後、背中を向けたまま、恐る恐ると言ったように声を掛けてきた。心なしか声も緊張感が漂っている。

怖い、、、?ううん怖くない、いいえ、怖かったけど、兄さまと母さまの話を聞いて怖くなくなった。
今はむしろ、安心して頼りたいような、どうやったら母さまみたいな相手半身を見つけられるのか、相談したいような。
だから、今の気持ちのままを伝える。
「怖くなんかないよ。ルー兄さまや母さまと話して、怖くなくなったもの。」
それより、もうむせてない?
そう言うと。

父さまは私の方にくるりと向き直り、背中をさすっていた手を取ると、両手でギュッと握った。
「ディーはやさしいね。こんな父さまを心配してくれるやさしい子に、さっきは変なところを見せて、怖い思いをさせて・・・。本当に申し訳ないと思っている。」
「簡単に許してくれなんて言うつもりはないけれど・・・もうあんなこと君の前で二度としないから、出来ればこれからも怖がらないで欲しい。」
一気に言って、私の顔をじーっと見つめてくる、黄金の瞳。
うん、母さまはこの縋るような瞳にやられたに違いない。私だってこの瞳にイヤとは言えない。

それに・・・
父さまは七年前の私のこと、助けてくれたものね。
私はにこっとして父さまの両手を握り返した。
「大丈夫。もう本当に怖くないよ。」

「そうか・・・良かった・・・このままディーに嫌われたら、父さまどうしていいか分からなかったよ。」
父さまがホッとしたように息を吐いた。
「母さまがすぐに探してくれなければ、また、昔のように世界の果てに籠もって・・・! いや、何でもないから。父さまは隠れ家に籠もったりしないよ!」
多分七年前のことを言いかけて、隠そうとしてるんだろうな。そっか、父さまは私が思い出したこと、知らないんだ。

今、一緒に、七年前の事もお礼を言ってしまおう。
「・・・あのね、父さま。私、さっき七年前のこと思い出したの。私が魔力を解放しちゃったときのこと。」
私が今度は父さまの眼を覗き込みながら言うと。

「え・・・」父さまの眼が見開かれた。
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