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バーベンベルク城にて
アルフレートと言う男が父さまになった時(後)
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全く予想もしていなかった攻撃をしてしまったらしい。
父さまは、また固まってしまった。
でも、せっかく言いかけたし、このまま話しちゃおう!
「あの時のこと思い出したから、父さまがさっきどんな気持ちだったか分かる。すごく心が不安定になる何かがあったんだよね?でも、元に戻った今は、いけないことした、って思ってるんだよね。」
「あ。ディー・・・」
「私も父さまと同じだったの。だから、心配しないで。分かるから。それと・・・」
固まってる父さまの前でソファから立ち上がる。
「あの時、多すぎる魔力に解けかけていた私を元に戻してくれたのは父さまだってルー兄さまに聞きました。誰も出来なかったのに、迷いもなくあっという間に元に戻したと。おかげで、ディーは今こうしてここに居ます。」
「その後、記憶を消してくれたのも、魔力を封印してくれたのも、父さまでしょう?本当に感謝してます。ありがとう、父さま。」
言い終わるとカーテシーをした。ルー兄さまにも思ったけど、お礼はきちんとしなきゃね。
「・・・ディー」
頭を上げると。目に涙を一杯溜めた父さまに、ガバッと抱き着かれた。
「お礼だなんて、とんでもない。あの時も父さまのわがままで子どもたちを、そして特に君を危険にさらしてしまって。父親として、本当に、本当に反省して、二度と切れたりしないって思ってたのに・・・。不安のあまりまたやってしまって・・・しかも君の前で!なんて謝れば良いのか・・・。きっとさっきのことがきっかけであのことも思い出したんだよね。つらかったろう。ほんとにごめんね。」
ギューギューしてくる。
父さまってこんな風にひたすら押してくる人だったんだ。
仕方ないなあ。
私は父さまの背に両手を回してぽんぽんした。
「じゃあね、一つ、ディーのお願いを聞いてくれたら、ぜーんぶ許してあげる。」
こういう時は、ちょっとわがままを言うのも必要だよね。
「!・・・何!?父さまに出来る事なら、いや、出来なくても何とかするから言ってみて。」
ばっと顔を上げ、勢い込んで言う父さま。これで表情が無いのが本当に不思議だ。
「あのね・・・」
「もしまた、ディーが切れてしまうことがあっても、必ず元に戻してくれる?私に、父さまにとっての母さまみたいな人が現れるまで。その人が居れば大丈夫、戻って来れるって分かるまで。ずーっとディーのこと、守ってくれる?」
父さまは母さまのものだけど、お願いしてもいい?そう聞くと。
父さまはぶんぶんと首を縦に振った。
「もちろんだ!ディー、当たり前じゃないか!そんな心配してたのか・・・父さまが頼りなくて不安にさせてしまったんだね・・・もう安心していい。ディーのことは父さまが責任もって一生守るから。」
父さまは私を抱きしめていた腕をほどくとグッとこぶしを握った。
「こう見えて、父さまは強いんだよ。ディーの前では魔術を使わないようにしていたから知らないかもしれないけど。見せたこと無いから他の人も知らないと思うけど。実はね、以前ちょっと興味があって自分の攻撃力を試したことがあってね・・・一発火力を打ってみたら、山が半分フッとんだんだ。だから、本気を出せば帝国騎士団をなぎ倒すくらいは簡単だよ。」
熱い語りの内容にびっくりする。でも、そっちの強さは求めてないんだけど、、、。
「それにしても・・・」
私がちょっと引いてるのにも気づかず、父さまの声がだんだん低くなる。
「ディーを任せられる男なんて、考えただけで不快だな。ディーももう、考えなくていいからね!私とエレオノーレの間に出来た、たった一人の女の子を、なんで見ず知らずの男に渡さねばならない・・・あいつらの話からつぶさねば・・・」
最後はほとんど聞き取れなくて。私は首を傾げた。
父さまはそれに気づいて、今度は私に額をこつんと当ててきた。
「何でもないよ。父さまに全て任せておいて。でも、嬉しいな、ディーに頼られるなんて・・・。父さまは、実を言うと君が生まれるまでは、なんだか父親ってものが分からなくてね。君が生まれて初めて、自分は子供たちの父親なんだ、しっかりしなくては、と思うようになったんだ。」
父さまは至極真面目な顔をして言うけど、びっくりだ。
オスカー兄上と私は八歳違う。その八年の父さまはなんだったの?ただのアルフレートなの?魔導師?やっぱり母さまの夫?
「うーん。そうだな。」
父さまは真剣に考えながら、話してくれた。
十八で卒業と同時に結婚して、次の年の春にオスカー兄上が生まれた時は、自分が喜ぶ前に、バーベンベルク中が沸いたこと。自分とは似てなかったのであまり実感も無かったこと。
フィン兄さまが生まれた時、髪の色や顔立ちがそっくりで、初めて血のつながりを感じたこと。
「でも、それも、父親として守らなきゃって言うより、私の血をどれだけ継いでしまってるか、どう対処すべきか、そっちに関心が行っていてね。父親として子供にどう関わるかなんて考えてなかったよ。」
ルーファス兄さまの時は、公爵家の血が強すぎて、ちょっと引いてしまったという。
「だって、私の父上や兄上達に色味といい性格と言い、そっくりなんだ。あの子にじっと見つめられると、実は今でも少し落ち着かないよ。」
それに、、、。
「彼らは男だ。一人一人を大事に思っているし、誇りにも思っている。でも、いずれは一人で立って生きていくんだ。手助けは必要だが、甘やかすのは、なんだかね。」
「でも、君は違う。」
父さまは私をじっと見る。
「エレオノーレに似た女の子。しかも私の特徴も受け継ぐ。君を見るまで私の中にあった、父親ってなんだ、という思いは本当に消えたよ。愛しくて、守らなければと強く思う気持ち。これが父親の愛情なんだってね。別の意味で、君の、君たちの父親としてふさわしいか、と言う思いが、生まれたけどね。」
だから。
君の生まれた日は、父さまにとって本当に特別なんだ。
私は、嬉しくて、照れくさくて。とりあえず父さまにギュってしがみついて、顔を隠すことにした。
父さまは、また固まってしまった。
でも、せっかく言いかけたし、このまま話しちゃおう!
「あの時のこと思い出したから、父さまがさっきどんな気持ちだったか分かる。すごく心が不安定になる何かがあったんだよね?でも、元に戻った今は、いけないことした、って思ってるんだよね。」
「あ。ディー・・・」
「私も父さまと同じだったの。だから、心配しないで。分かるから。それと・・・」
固まってる父さまの前でソファから立ち上がる。
「あの時、多すぎる魔力に解けかけていた私を元に戻してくれたのは父さまだってルー兄さまに聞きました。誰も出来なかったのに、迷いもなくあっという間に元に戻したと。おかげで、ディーは今こうしてここに居ます。」
「その後、記憶を消してくれたのも、魔力を封印してくれたのも、父さまでしょう?本当に感謝してます。ありがとう、父さま。」
言い終わるとカーテシーをした。ルー兄さまにも思ったけど、お礼はきちんとしなきゃね。
「・・・ディー」
頭を上げると。目に涙を一杯溜めた父さまに、ガバッと抱き着かれた。
「お礼だなんて、とんでもない。あの時も父さまのわがままで子どもたちを、そして特に君を危険にさらしてしまって。父親として、本当に、本当に反省して、二度と切れたりしないって思ってたのに・・・。不安のあまりまたやってしまって・・・しかも君の前で!なんて謝れば良いのか・・・。きっとさっきのことがきっかけであのことも思い出したんだよね。つらかったろう。ほんとにごめんね。」
ギューギューしてくる。
父さまってこんな風にひたすら押してくる人だったんだ。
仕方ないなあ。
私は父さまの背に両手を回してぽんぽんした。
「じゃあね、一つ、ディーのお願いを聞いてくれたら、ぜーんぶ許してあげる。」
こういう時は、ちょっとわがままを言うのも必要だよね。
「!・・・何!?父さまに出来る事なら、いや、出来なくても何とかするから言ってみて。」
ばっと顔を上げ、勢い込んで言う父さま。これで表情が無いのが本当に不思議だ。
「あのね・・・」
「もしまた、ディーが切れてしまうことがあっても、必ず元に戻してくれる?私に、父さまにとっての母さまみたいな人が現れるまで。その人が居れば大丈夫、戻って来れるって分かるまで。ずーっとディーのこと、守ってくれる?」
父さまは母さまのものだけど、お願いしてもいい?そう聞くと。
父さまはぶんぶんと首を縦に振った。
「もちろんだ!ディー、当たり前じゃないか!そんな心配してたのか・・・父さまが頼りなくて不安にさせてしまったんだね・・・もう安心していい。ディーのことは父さまが責任もって一生守るから。」
父さまは私を抱きしめていた腕をほどくとグッとこぶしを握った。
「こう見えて、父さまは強いんだよ。ディーの前では魔術を使わないようにしていたから知らないかもしれないけど。見せたこと無いから他の人も知らないと思うけど。実はね、以前ちょっと興味があって自分の攻撃力を試したことがあってね・・・一発火力を打ってみたら、山が半分フッとんだんだ。だから、本気を出せば帝国騎士団をなぎ倒すくらいは簡単だよ。」
熱い語りの内容にびっくりする。でも、そっちの強さは求めてないんだけど、、、。
「それにしても・・・」
私がちょっと引いてるのにも気づかず、父さまの声がだんだん低くなる。
「ディーを任せられる男なんて、考えただけで不快だな。ディーももう、考えなくていいからね!私とエレオノーレの間に出来た、たった一人の女の子を、なんで見ず知らずの男に渡さねばならない・・・あいつらの話からつぶさねば・・・」
最後はほとんど聞き取れなくて。私は首を傾げた。
父さまはそれに気づいて、今度は私に額をこつんと当ててきた。
「何でもないよ。父さまに全て任せておいて。でも、嬉しいな、ディーに頼られるなんて・・・。父さまは、実を言うと君が生まれるまでは、なんだか父親ってものが分からなくてね。君が生まれて初めて、自分は子供たちの父親なんだ、しっかりしなくては、と思うようになったんだ。」
父さまは至極真面目な顔をして言うけど、びっくりだ。
オスカー兄上と私は八歳違う。その八年の父さまはなんだったの?ただのアルフレートなの?魔導師?やっぱり母さまの夫?
「うーん。そうだな。」
父さまは真剣に考えながら、話してくれた。
十八で卒業と同時に結婚して、次の年の春にオスカー兄上が生まれた時は、自分が喜ぶ前に、バーベンベルク中が沸いたこと。自分とは似てなかったのであまり実感も無かったこと。
フィン兄さまが生まれた時、髪の色や顔立ちがそっくりで、初めて血のつながりを感じたこと。
「でも、それも、父親として守らなきゃって言うより、私の血をどれだけ継いでしまってるか、どう対処すべきか、そっちに関心が行っていてね。父親として子供にどう関わるかなんて考えてなかったよ。」
ルーファス兄さまの時は、公爵家の血が強すぎて、ちょっと引いてしまったという。
「だって、私の父上や兄上達に色味といい性格と言い、そっくりなんだ。あの子にじっと見つめられると、実は今でも少し落ち着かないよ。」
それに、、、。
「彼らは男だ。一人一人を大事に思っているし、誇りにも思っている。でも、いずれは一人で立って生きていくんだ。手助けは必要だが、甘やかすのは、なんだかね。」
「でも、君は違う。」
父さまは私をじっと見る。
「エレオノーレに似た女の子。しかも私の特徴も受け継ぐ。君を見るまで私の中にあった、父親ってなんだ、という思いは本当に消えたよ。愛しくて、守らなければと強く思う気持ち。これが父親の愛情なんだってね。別の意味で、君の、君たちの父親としてふさわしいか、と言う思いが、生まれたけどね。」
だから。
君の生まれた日は、父さまにとって本当に特別なんだ。
私は、嬉しくて、照れくさくて。とりあえず父さまにギュってしがみついて、顔を隠すことにした。
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