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皇宮での邂逅
互いをもっともよく知るために
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ロックオンされたと分かった。
まだ距離は充分あるのに。
慌てて一旦茂みに完全に身を隠す。
でも。
感じる、視線を。私に向かって真っ直ぐ来る。
念のため、ローちゃんにも確認した。
『赤毛の子、私を見てる?』
『眼では見ていないが、強く鋭い気がこちらを伺っている。殺意は感じない。あれは主の敵か?』
『ううん、敵、じゃないと思う。少なくとも私は知り合いたいと思ってるよ。』
心話を交わしながら、また少し見える位置に移動する。
ローちゃんの言う通り、ジキスムント君はもうこっちを見ていなかった。
模擬剣を飛ばされた相手が文句を言ってるみたいで、ちょっと申し訳なさそうに謝っている。
やーね、あの金髪。今まで手加減されてたのに気づいてないのかしら?
私に気づいてつい手加減を忘れたジキスムント君の一振りで模擬剣を飛ばしちゃった自分を恥じなさいよ!
私がプンプンしていると、指導していた騎士が、宥めるように一言二言言い、そのまま流れで解散となった。
もう一つの組も訓練を終え、また先日のように男の子三人と騎士一人が帰り支度を、、、あれ、騎士は二人とも帰ってしまうみたい。
今日は自分の訓練しないのかな、ジキスムント君。見たかったのに。
もしかして、私に見られたから、もう自分の実力は見せないつもりなのかな?
そんなことをぼんやり考えていると。
たった一人訓練場に残ったジキスムント君が、ツカツカとこちらにやってきた。
「おい、魔導師団の侍従見習い。」
ああ、もう!あの子たちに聞こえるかもしれないから、そんな大きな声で呼ばないで!
私は慌てて茂みからスルッと出ると、壁の上で仁王立ちした。
「なによ・・・なんだよ、大声出すなよ。」
精一杯凄んでみたけど。
彼はちょっと離れたところで止まったまま、当たり前のように言った。
「さっさと降りてこっち来いよ。」
それだけ言うと、待ちもせず背を向け、訓練場の真ん中へ歩いていく。
手には二本の模擬剣を持って。
え、え?どう言うこと?これって、もしかしなくても、試合うって、ことだよね?
やった!
私はローちゃんに、父さまには見つからないように、また頼むまで手出ししないよう念押しすると、ひょいっと飛び降りた。
そのまま軽く走ってジキスムント君に近づく。
彼はもう、訓練場の真ん中に静かに佇んでいた。
近付く私をなぜか難しそうな顔で見ている。
殺意や敵意は感じないんだけど、、、どっちかと言うと、戸惑いや困惑?そして、、、強い興味。
私も、興味ならある。だから、近づく。
でも、相手はほとんど知らない子。しかも、模擬剣とは言え武器を持つ。
私は間合いを測りながら、その少し手前でゆっくり足を止めた。
「いい位置だ。」
難しかったジキスムント君の表情が解ける。
「お前が剣を握ると言うのは本当だな。しかも、なかなかの腕だ。」
嬉しそうに言う。
と、同時に。
ポイッと、一本の模擬剣が投げられた。
彼と模擬剣の放物線、両方見ながら利き手で掴む。
用心しながらジッと見つめると、彼は模擬剣を無造作に構えながら言った。
「前に会った時、試してみるかと言っただろう。そのあと、すぐにお前は消えてしまったが。」
「そうだね。」
確かに言った。今も確かに、試してみたいと思ってる。
「あの後、お前について調べさせてもらった。」
彼は模擬剣を構えたまま続ける。
「嗅ぎ回るようなことはしたくないが、お前は昨日も一昨日も来ないし。こちらにも事情があったんだ。」
「ふーん。どんな?」
私も模擬剣を構えた。もう少し下がったほうが良さそう。
「 それは言えない。言う必要もない。だが。」
彼は間合いをジリッと詰めた。
「ライムンド・ハーマン。十二歳。バーベンベルク出身の侍従見習い。異動や採用の時期でもないのに、突然魔導師団長殿が連れて来た。」
その通り。魔導師団に問い合わせれば、それくらいの情報はすぐ分かる。
「おおかたバーベンベルク城の雇い人、君は騎士と言っていたな、の子どもだろう。何らかの事情があり、一時的に魔導師団長殿が保護している。」
うん。貴族なら、大体これくらいの予測はつくよね。
「そう、それで?」
私は平然としたまま片眉を上げた。模擬剣は構えたままだ。
間合いがもう少し欲しい。
「そう、それで、だ。」
彼はこんな状況で、フッと切れ長の蒼い眼を細めて笑った。整っているからキツく見える表情が、愉しげに緩む。
「こんな情報、貴族の端くれなら誰でも分かる。意味はない。だから俺は考えた。お前を一番良く知る方法を。それは、」
彼の眼にグッと殺気が籠る。チッと鳴いたローちゃんに、大丈夫だから離れて見守って、と伝え、もう一歩下がった。
「お前と試合う事だ。異存はないだろう?」
うん。まあ、無い。
私も笑った。嬉しいし、愉しい。でも。
「異存は一つ、あるかな?」
よし、この辺でいいだろう。私も構えを定めると、眼に殺気を籠める。
「さっきのあのタラタラした訓練はなに?もし、僕とあんな気の抜けた試合をする気なら、一撃で沈めて、君を軽蔑する。」
ジキスムント君はちょっと眼を見開き、それから、本当に嬉しそうに笑った。
「言ったな。お前とはもちろん、真剣勝負だ。その細っこい腕でも容赦はしない。泣きべそかくなよ。」
「誰が泣くか!・・・行くぞ!」
先手必勝。勝てなくても、一撃くらい当てたい。
私は思いっきり地面を蹴った。
まだ距離は充分あるのに。
慌てて一旦茂みに完全に身を隠す。
でも。
感じる、視線を。私に向かって真っ直ぐ来る。
念のため、ローちゃんにも確認した。
『赤毛の子、私を見てる?』
『眼では見ていないが、強く鋭い気がこちらを伺っている。殺意は感じない。あれは主の敵か?』
『ううん、敵、じゃないと思う。少なくとも私は知り合いたいと思ってるよ。』
心話を交わしながら、また少し見える位置に移動する。
ローちゃんの言う通り、ジキスムント君はもうこっちを見ていなかった。
模擬剣を飛ばされた相手が文句を言ってるみたいで、ちょっと申し訳なさそうに謝っている。
やーね、あの金髪。今まで手加減されてたのに気づいてないのかしら?
私に気づいてつい手加減を忘れたジキスムント君の一振りで模擬剣を飛ばしちゃった自分を恥じなさいよ!
私がプンプンしていると、指導していた騎士が、宥めるように一言二言言い、そのまま流れで解散となった。
もう一つの組も訓練を終え、また先日のように男の子三人と騎士一人が帰り支度を、、、あれ、騎士は二人とも帰ってしまうみたい。
今日は自分の訓練しないのかな、ジキスムント君。見たかったのに。
もしかして、私に見られたから、もう自分の実力は見せないつもりなのかな?
そんなことをぼんやり考えていると。
たった一人訓練場に残ったジキスムント君が、ツカツカとこちらにやってきた。
「おい、魔導師団の侍従見習い。」
ああ、もう!あの子たちに聞こえるかもしれないから、そんな大きな声で呼ばないで!
私は慌てて茂みからスルッと出ると、壁の上で仁王立ちした。
「なによ・・・なんだよ、大声出すなよ。」
精一杯凄んでみたけど。
彼はちょっと離れたところで止まったまま、当たり前のように言った。
「さっさと降りてこっち来いよ。」
それだけ言うと、待ちもせず背を向け、訓練場の真ん中へ歩いていく。
手には二本の模擬剣を持って。
え、え?どう言うこと?これって、もしかしなくても、試合うって、ことだよね?
やった!
私はローちゃんに、父さまには見つからないように、また頼むまで手出ししないよう念押しすると、ひょいっと飛び降りた。
そのまま軽く走ってジキスムント君に近づく。
彼はもう、訓練場の真ん中に静かに佇んでいた。
近付く私をなぜか難しそうな顔で見ている。
殺意や敵意は感じないんだけど、、、どっちかと言うと、戸惑いや困惑?そして、、、強い興味。
私も、興味ならある。だから、近づく。
でも、相手はほとんど知らない子。しかも、模擬剣とは言え武器を持つ。
私は間合いを測りながら、その少し手前でゆっくり足を止めた。
「いい位置だ。」
難しかったジキスムント君の表情が解ける。
「お前が剣を握ると言うのは本当だな。しかも、なかなかの腕だ。」
嬉しそうに言う。
と、同時に。
ポイッと、一本の模擬剣が投げられた。
彼と模擬剣の放物線、両方見ながら利き手で掴む。
用心しながらジッと見つめると、彼は模擬剣を無造作に構えながら言った。
「前に会った時、試してみるかと言っただろう。そのあと、すぐにお前は消えてしまったが。」
「そうだね。」
確かに言った。今も確かに、試してみたいと思ってる。
「あの後、お前について調べさせてもらった。」
彼は模擬剣を構えたまま続ける。
「嗅ぎ回るようなことはしたくないが、お前は昨日も一昨日も来ないし。こちらにも事情があったんだ。」
「ふーん。どんな?」
私も模擬剣を構えた。もう少し下がったほうが良さそう。
「 それは言えない。言う必要もない。だが。」
彼は間合いをジリッと詰めた。
「ライムンド・ハーマン。十二歳。バーベンベルク出身の侍従見習い。異動や採用の時期でもないのに、突然魔導師団長殿が連れて来た。」
その通り。魔導師団に問い合わせれば、それくらいの情報はすぐ分かる。
「おおかたバーベンベルク城の雇い人、君は騎士と言っていたな、の子どもだろう。何らかの事情があり、一時的に魔導師団長殿が保護している。」
うん。貴族なら、大体これくらいの予測はつくよね。
「そう、それで?」
私は平然としたまま片眉を上げた。模擬剣は構えたままだ。
間合いがもう少し欲しい。
「そう、それで、だ。」
彼はこんな状況で、フッと切れ長の蒼い眼を細めて笑った。整っているからキツく見える表情が、愉しげに緩む。
「こんな情報、貴族の端くれなら誰でも分かる。意味はない。だから俺は考えた。お前を一番良く知る方法を。それは、」
彼の眼にグッと殺気が籠る。チッと鳴いたローちゃんに、大丈夫だから離れて見守って、と伝え、もう一歩下がった。
「お前と試合う事だ。異存はないだろう?」
うん。まあ、無い。
私も笑った。嬉しいし、愉しい。でも。
「異存は一つ、あるかな?」
よし、この辺でいいだろう。私も構えを定めると、眼に殺気を籠める。
「さっきのあのタラタラした訓練はなに?もし、僕とあんな気の抜けた試合をする気なら、一撃で沈めて、君を軽蔑する。」
ジキスムント君はちょっと眼を見開き、それから、本当に嬉しそうに笑った。
「言ったな。お前とはもちろん、真剣勝負だ。その細っこい腕でも容赦はしない。泣きべそかくなよ。」
「誰が泣くか!・・・行くぞ!」
先手必勝。勝てなくても、一撃くらい当てたい。
私は思いっきり地面を蹴った。
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