帝国最強(最凶)の(ヤンデレ)魔導師は私の父さまです

波月玲音

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皇宮での邂逅

友人認定されました

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飛び込んで打ち込む。
払われた力をそのまま生かして脇に飛びすさり、反動で下から切り上げる。
切り落とされる。
落とされた力と速さのまま、屈んで溜めて突く。
弾かれ、そのまま物凄い速さで切り下げてくるのを避ける。
避けながら腕を狙うも切り返される。
っ!
大きめに跳んで間合いから一旦出た。

予想していたけど!
重い!速い!しかも正確!

これだけで私は汗が噴き出してるのに、訓練して疲れてるはずのジキスムント君はまだ余裕がある。

正直、初めが一番有利だったはず。私は彼の剣を見てるけど、彼は私の剣を知らないから。

でも、思った通り、力の差は歴然としてた。
こうなったら、体力が尽きる前に、身軽さで勝負するしか無い。

「もう終わりか?」
少し首を傾げて聞いてくるジキスムント君。
そんな可愛い仕草しても、筋肉少年は可愛く無いんだからね!?

「まさか、これからだよ?」
私もまた、模擬剣を下段に構えたまま、小首を傾げ、ニッコリ笑った。
奴が眼を見張る。
ふんっ、可愛さでは勝ったな!この調子で一本狙おう。

私は息を整えると、溜めから一気に跳躍して打ち込んだ。


あれから何合打ち合ったか分からない。もうフラフラだ。
一回でいい、当てたい。その執念で立っている。
もう、私からは行けない。でも、彼は容赦しないから、、、来る!

ガッ!切り上げられた勢いが強くて、とうとう模擬剣が手から離れてしまった。
「あっ!」
叫んで、思わず視線を飛んでいく剣に集中してしまい。
「よそ見をするな。」
次の瞬間。
ピタリと首筋に模擬剣を当てられた。
ハッとして、いつの間にか至近距離にいた彼を見上げると。

鋭い視線が、私をジッと見据えていた。
どう動いても、この視線から逃れる術は無さそう。
、、、うん、ここまでかな。

「参りました。完敗だ。」
フッと笑うと、ジキスムント君はちょっと驚いたみたいだった。
でも、すぐに、なぜかとても嬉しそうに笑った。
「こちらこそ、いい試合が出来た。ありがとう。」
模擬剣を下ろすと手を差し伸べてくる。

何気なくその手を握ろうとすると。
ローちゃんが、チッと鳴いて二人の間に飛び込んで来た。
『主、ダメ。創造主あの方に見つかる』
あの方?あ、父さま?そっか、二十五歳以下接触禁止、だっけ?
私は慌てて手を引っ込めた。
「ごめんね、汗で汚れてるから。」
「あ?そんなの気にするか?」ジキスムント君は怪訝そうに言ったけど、その手にローちゃんの嘴が攻撃し出したので慌てて引っ込めた。

「これ、君の肩に乗ってる鳥だろ。何なんだ?」
ローちゃんが威嚇を続けるので、手で遮りながら聞いてくる。
私はその間に模擬剣を拾いに行き、帰ってきて呼びかけた。
『ローちゃんありがとう、もう大丈夫よ。』
近づいて手を差し伸べると、その手のひらにちょんと乗った。じっと私を見上げてくる。
『主、戦った。やっぱり敵?』
『違うよ。きっと、もう、友達。』
私は指先で小さな頭を撫でながら、視線を上げた。
ジキスムント君は不思議そうに私の手元を見つめている。
「この子ね、僕の使い魔。」
「えっ?」
驚いて私とローちゃんを交互に見ている。
そんなに珍しいかな?
「魔導師団では、侍従見習いでも使い魔が持てるのか?」
ああ。確かに。侍従見習い専属の使い魔って、珍しいよね。
の侍従見習いだと、持たないかもね。」
ふふっと笑ってから、模擬剣を差し出した。

「こちらこそありがとう。とっても愉しかった。」
「あ、あぁ。」
「ねえ。何が分かった?」
下から覗き込むように見上げると。彼は模擬剣を掴みながら、ウッと詰まった。
動揺してる?試合ではあんなに落ち着いていたのに。

「ねえねえ、試合って何が分かったのさ。」
面白いから小首を傾げて詰め寄ってみる。
あれ、薄赤くなった。

「僕は分かったよ。君は正々堂々と相手と向き合う。
小細工はしないから、例えば模擬剣を渡してしまってから君の間合いに入っても、大丈夫。
丸腰の相手を傷付けたりしないってね。」
「な・・・。」
「ほら、僕は言ったよ。君も教えてよ。」
にこにこ。笑顔で押してみると。
彼はとうとうそっぽを向いた。
「お前な。前も思ったんだけど・・・」
「うん?なに。」
「一々仕草が女みたいだ。線も細いし、本当に男なのか?」

ガーンッ!!
からかって、一番の弱点を突かれてしまった。

動揺していると、相手は立ち直ったみたい。
「なんてな。剣筋もいいし、とにかく身のこなしが軽くて、合わせ辛かった。」
「帝都の剣術とは少し違うな。バーベンベルクの剣なら知ってるつもりだったけど、それとも少し違う。」
考えながら、ゆっくり話す。
「君はキチンと訓練を受けてるな。でもガチガチじゃない。下っ端の訓練じゃこうはいかないから、きっと、騎士でも上流の家だろう。それと、君は上の兄弟がいる。嫡男にはもっと正統な剣を教えるものだ。」
「打ち込みが軽いのは、単に筋肉が付いてないからだな。君はもっと食べた方がいい。絶対もっと重くて速い剣になる・・・もしかして、食べさせてもらってないのか?」
最後、ちょっと顔をしかめるから、私は慌てて否定した。

「まさか!」
ブンブン首を振る。筋肉少年と一緒にされてたまるもんですか。

「でも、とにかく、嬉しかったのは、決着が着いてからの、君の態度だ。」
グッと私を見つめて来た。

「最後まで全力で戦って、でも負けを認めて、嫌な顔一つしなかった。初めてだよ、こんな事。」
大概は、途中からやる気を無くすか、最後負け惜しみを言うかだからな。
呟いてるのを聞いて、さっきの訓練を思い出した。
そう言えば、あのキラキラ金髪の子も、文句言ってたみたいだったね。

「だから、分かったのは・・・君は、真っ直ぐで、気持ちのいいオトコって事だ。」
これで父上にも報告できる。
最後の呟きは私の耳を素通りした。

「・・・は?」
ダレがオトコだって?
細いとか、仕草が女っぽいとか、気にするなよ。と続ける彼。私は完全に置いてけぼりだ。
「おれが認めてやる。君はオトコの中のオトコだ。そして、良ければ、友人になって欲しい。」

誠実な眼をして、また手を差し出される。

これは、ライバルと書いて友って読むやつ?

再び攻撃するローちゃんを止めもせず、私は動揺のあまりその場に立ち尽くした。
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