59 / 241
皇宮での邂逅
俺の学友についた虫
しおりを挟む
「あいつ、遅いな。」
風呂に浸かりながら俺が呟くと、双子の片割れがこっちを向いた。
「ええ・・・しかも一人で残ってまで。まあ、彼は真面目ですから。」
風呂の縁に頭を乗せて脱力しているもう片割れが顔をしかめる。
「真面目?こんなに気持ちいい風呂の時間を削るなんて、ただの脳筋バカだよ。入学に必要なレベルはとっくに超えてるのに。どれだけ剣が好きなんだか。」
「そうだな・・・」
俺も縁に頭を乗せて脱力しながら考える。
真面目?剣が好き?それだけだろうか?
この訓練場に来てから、ジキスムントは少し変だ。
自主練の時間が長くなり、一人で残ってまで訓練しているかと思えば、我々との訓練時間には、妙に気が抜けていたりする。
かと思えば、さっきは終わりがけに、急に鋭い一撃をかましてきた。
こいつは今日も気が抜けてるな、と思いながら打ち合っていたから、全く避けられなかった。
あいつ、また腕を上げたんだな、、、。
俺は自分の利き手をなんとなく眺める。
剣は嫌いじゃない。筋がいいと褒められたし、小さい頃はジキスムントと張り合ってたと思う。でも、剣だけに特化出来ない自分は、彼奴みたいな剣だこは出来ない。
いつからか、ジキスムントは俺たちに本気の剣を向けなくなった。
俺たちのレベルに合わせて、それ以上は見せない。
今日も、いきなり急変した事にちょっと文句を言ったら、理由も言わず、言い訳もせず、ただ申し訳なさそうに謝ってきた。
話す気が全くない彼奴に、無性に腹が立って突っかかっていったら、指導をしていた隊長に上手く流されてしまったけれど。
分かってるんだ。あの一振りは、何かに気を取られて、素の実力をほんの少し出してしまっただけなんだって。
俺は、謝られたかったんじゃない。いつの間にかこんなに開いた実力差に苛立ち、目の前にいる彼奴が、俺との打ち合いより気を取られたものが分からなかった事に、教える気もない事に、何だか無性に腹が立ったんだ。
、、、そうだ。
訓練場に戻れば、今、彼奴が気にしている事が分かるかもしれない。
俺は思いつくなり湯から立ち上がった。
双子が驚いて間抜けな顔を晒してる。
「おい、出るぞ!ジキスムントが何してるか、確認しに行く。」
タオルだ着替えだと寄ってくる侍従を払いのけ、最低限の衣服を身につけると、俺は訓練場に急いだ。
何だ?あれは、、、。
門までたどり着いた俺は目を見張った。
ジキスムントが見知らぬ少年と試合をしている。
俺とやってた生温い打ち合いなんかじゃない。
お互いに真剣勝負。ここにまで殺気がビンビン届く。
打ち込んで、躱して。反動で切り上げ、切り下げ、飛び退って間合いを外して。
少年は俺よりも小柄で華奢だ。ジキスムントの方が二回りでかいだろう。でも、あの身のこなしの素早さ、打ち込みの絶妙さ、一気に懐に入る度胸。
手に汗握る打ち合いは、体力で劣る少年の負けだったが、観ていてワクワクした。
いつ、どんな風に知り合ったのかは分からないけれど。
ジキスムントがあの少年を待っていたのだとしたら。
あの、気もそぞろな打ち合いも、その後の一撃も説明がつく。
そして確信した。
ジキスムントは、幼馴染の俺たちより、彼奴を懐に入れたんだ。
その証拠に、遠目にも柔らかい雰囲気で、笑顔すら浮かべている。
はっ、握手を求めた後、固まった相手に慌てて逃げられている。ざまあみろだ。
ジキスムントは、クソ真面目で、誠実で、、、俺の周りにいる、数少ない、本当に数少ない、本音を言える、、、言えた、、、いい奴なんだ。あんな胡散臭い少年に取られるなんて。
今度見かけてみろ、俺がコテンパンにのしてやる!
俺は自分の行いを省みず、あの見知らぬ少年への憤りを募らせた。
風呂に浸かりながら俺が呟くと、双子の片割れがこっちを向いた。
「ええ・・・しかも一人で残ってまで。まあ、彼は真面目ですから。」
風呂の縁に頭を乗せて脱力しているもう片割れが顔をしかめる。
「真面目?こんなに気持ちいい風呂の時間を削るなんて、ただの脳筋バカだよ。入学に必要なレベルはとっくに超えてるのに。どれだけ剣が好きなんだか。」
「そうだな・・・」
俺も縁に頭を乗せて脱力しながら考える。
真面目?剣が好き?それだけだろうか?
この訓練場に来てから、ジキスムントは少し変だ。
自主練の時間が長くなり、一人で残ってまで訓練しているかと思えば、我々との訓練時間には、妙に気が抜けていたりする。
かと思えば、さっきは終わりがけに、急に鋭い一撃をかましてきた。
こいつは今日も気が抜けてるな、と思いながら打ち合っていたから、全く避けられなかった。
あいつ、また腕を上げたんだな、、、。
俺は自分の利き手をなんとなく眺める。
剣は嫌いじゃない。筋がいいと褒められたし、小さい頃はジキスムントと張り合ってたと思う。でも、剣だけに特化出来ない自分は、彼奴みたいな剣だこは出来ない。
いつからか、ジキスムントは俺たちに本気の剣を向けなくなった。
俺たちのレベルに合わせて、それ以上は見せない。
今日も、いきなり急変した事にちょっと文句を言ったら、理由も言わず、言い訳もせず、ただ申し訳なさそうに謝ってきた。
話す気が全くない彼奴に、無性に腹が立って突っかかっていったら、指導をしていた隊長に上手く流されてしまったけれど。
分かってるんだ。あの一振りは、何かに気を取られて、素の実力をほんの少し出してしまっただけなんだって。
俺は、謝られたかったんじゃない。いつの間にかこんなに開いた実力差に苛立ち、目の前にいる彼奴が、俺との打ち合いより気を取られたものが分からなかった事に、教える気もない事に、何だか無性に腹が立ったんだ。
、、、そうだ。
訓練場に戻れば、今、彼奴が気にしている事が分かるかもしれない。
俺は思いつくなり湯から立ち上がった。
双子が驚いて間抜けな顔を晒してる。
「おい、出るぞ!ジキスムントが何してるか、確認しに行く。」
タオルだ着替えだと寄ってくる侍従を払いのけ、最低限の衣服を身につけると、俺は訓練場に急いだ。
何だ?あれは、、、。
門までたどり着いた俺は目を見張った。
ジキスムントが見知らぬ少年と試合をしている。
俺とやってた生温い打ち合いなんかじゃない。
お互いに真剣勝負。ここにまで殺気がビンビン届く。
打ち込んで、躱して。反動で切り上げ、切り下げ、飛び退って間合いを外して。
少年は俺よりも小柄で華奢だ。ジキスムントの方が二回りでかいだろう。でも、あの身のこなしの素早さ、打ち込みの絶妙さ、一気に懐に入る度胸。
手に汗握る打ち合いは、体力で劣る少年の負けだったが、観ていてワクワクした。
いつ、どんな風に知り合ったのかは分からないけれど。
ジキスムントがあの少年を待っていたのだとしたら。
あの、気もそぞろな打ち合いも、その後の一撃も説明がつく。
そして確信した。
ジキスムントは、幼馴染の俺たちより、彼奴を懐に入れたんだ。
その証拠に、遠目にも柔らかい雰囲気で、笑顔すら浮かべている。
はっ、握手を求めた後、固まった相手に慌てて逃げられている。ざまあみろだ。
ジキスムントは、クソ真面目で、誠実で、、、俺の周りにいる、数少ない、本当に数少ない、本音を言える、、、言えた、、、いい奴なんだ。あんな胡散臭い少年に取られるなんて。
今度見かけてみろ、俺がコテンパンにのしてやる!
俺は自分の行いを省みず、あの見知らぬ少年への憤りを募らせた。
11
あなたにおすすめの小説
隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり
鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。
でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる