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皇宮での邂逅
あの揺れでは、二人にはバレバレでした。
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ここに来てから起床前の日課になっている、昨晩の母さま話しを聞く。
どうやら、帝都への街道沿いにある、父さま母さま共通の知人の城に泊まったらしい。
距離感をわきまえたもてなしだった上、部屋に引き取ってからは母さまも静かに寝ていたとのこと。
うん、今朝はあんまり不機嫌じゃないみたい。
良かった。
ホッとしながらも、恒例となった頭なでなでをする。
「父さまの髪の毛、サラサラ~。気持ちいい。」
癖のない黒髪はうなじまでの長さでスッキリ揃えられている。普段はおろされている少し長めの前髪を、搔き上げるように撫でると、指の間をサラサラとこぼれていった。
「さあ、そろそろ起きましょう!」
お腹も空いてきたしね!
手を止めて声を掛けると、父さまは離れようとした私の手をサッと掴んだ。
「気持ちいい。昨晩頑張った父さまに、もう少しご褒美。」
?
昨晩は母さま大人しくしてたんじゃなかったの??まあ、これで父さまがご機嫌になるなら、いいかな。
「あらあら、娘に甘えてますね~。」
笑いながら、後十回ね!いや、二十回、などとじゃれていると。
窓も開けてないのに、室内に軽く風が吹いて。
「ディー!そろそろ起きても大丈夫か!?」
懐かしい声とともに、人影が二つ現れた。
「やあ、デイー、もう起きていい」
「あ!何やらせてんだ、このクソオヤジ!!」
いつもながらの穏やかな笑みを浮かべるオスカー兄上の声に被せて。
フィン兄さまの尖った声が響くと同時に、父さまの頭を撫でていた手が、グイッと掴まれる。
「フィン兄さま?」
小首を傾げると、私の腕を掴んだまま、兄さまは微妙な顔をした。
「・・・可愛い仕草はディーなのに、顔がライムンドとは・・・!」
なんだ、この微妙な後ろめたさは?!
窓越しの朝日に向かって叫ぶフィン兄さま。オスカー兄上が溜め息をついている。
「フィン・・・ちょっとは成長しなさい。来年は成人だというのに。」
でも、その後、私を見て穏やかにほほ笑んでくれた。
「実はね、昨日の地震で、父上に何かあったのは分かったから、様子を見にきたんだ。その時、ディーの入れ替わりの話と顔を・・・寝顔だったけどね、見たんだ。」
だから、ライムンドの君がディーなんだって分かってはいるんだけど。
オスカー兄上は二人に背中を向けたままの父さまと、寝台に乗り上げんばかりにして私と父さまの手を引き剥がそうとしているフィン兄さまを見ると、なんとも言えない顔をした。
「朝の寝室で可愛い知人の少年を抱き枕にしてじゃれ合う父上・・・そこに割り込もうとするフィン・・・確かに背徳的だねぇ・・・私もちょっとドキドキするよ。」
ハイトク的、、、?
「ああ、ごめんね、こっちの話し。それより、」
でもすぐに、穏やかな笑みを浮かべて。
「ディー、お腹空いたろ?みんなで朝食にしようか!?」
「朝ご飯!」
食べたい!だって私、昨日は昼も夜も抜いてるんですもの!
ガバッと起き上がると、掴まれた腕ごと、父さまとフィン兄さまを引っ張った。
「お二人とも起きましょう!ディーはお腹ペコペコです!」
さあさあ、起きて起きて!!
グングン引っ張ると二人の手は力無く離れて。
「お前のせいで、ディーとの楽しいひと時が終わってしまった。」
「アンタは相変わらず勝手だな!僕とディーの時間も必ず作るぞ!」
「顔が違うだけで動揺したのに?」
父さまとフィン兄さまの相変わらずの会話を聞きながら、私はベッドからポンっと飛び降りた。
よく寝た後の朝って、本当に良い気分。
昨日は色々嫌なこともあったけど。
今日はまた新しい日。兄さまたちにも会えたし。
どんなことが起こるのか、ワクワクするよね!
どうやら、帝都への街道沿いにある、父さま母さま共通の知人の城に泊まったらしい。
距離感をわきまえたもてなしだった上、部屋に引き取ってからは母さまも静かに寝ていたとのこと。
うん、今朝はあんまり不機嫌じゃないみたい。
良かった。
ホッとしながらも、恒例となった頭なでなでをする。
「父さまの髪の毛、サラサラ~。気持ちいい。」
癖のない黒髪はうなじまでの長さでスッキリ揃えられている。普段はおろされている少し長めの前髪を、搔き上げるように撫でると、指の間をサラサラとこぼれていった。
「さあ、そろそろ起きましょう!」
お腹も空いてきたしね!
手を止めて声を掛けると、父さまは離れようとした私の手をサッと掴んだ。
「気持ちいい。昨晩頑張った父さまに、もう少しご褒美。」
?
昨晩は母さま大人しくしてたんじゃなかったの??まあ、これで父さまがご機嫌になるなら、いいかな。
「あらあら、娘に甘えてますね~。」
笑いながら、後十回ね!いや、二十回、などとじゃれていると。
窓も開けてないのに、室内に軽く風が吹いて。
「ディー!そろそろ起きても大丈夫か!?」
懐かしい声とともに、人影が二つ現れた。
「やあ、デイー、もう起きていい」
「あ!何やらせてんだ、このクソオヤジ!!」
いつもながらの穏やかな笑みを浮かべるオスカー兄上の声に被せて。
フィン兄さまの尖った声が響くと同時に、父さまの頭を撫でていた手が、グイッと掴まれる。
「フィン兄さま?」
小首を傾げると、私の腕を掴んだまま、兄さまは微妙な顔をした。
「・・・可愛い仕草はディーなのに、顔がライムンドとは・・・!」
なんだ、この微妙な後ろめたさは?!
窓越しの朝日に向かって叫ぶフィン兄さま。オスカー兄上が溜め息をついている。
「フィン・・・ちょっとは成長しなさい。来年は成人だというのに。」
でも、その後、私を見て穏やかにほほ笑んでくれた。
「実はね、昨日の地震で、父上に何かあったのは分かったから、様子を見にきたんだ。その時、ディーの入れ替わりの話と顔を・・・寝顔だったけどね、見たんだ。」
だから、ライムンドの君がディーなんだって分かってはいるんだけど。
オスカー兄上は二人に背中を向けたままの父さまと、寝台に乗り上げんばかりにして私と父さまの手を引き剥がそうとしているフィン兄さまを見ると、なんとも言えない顔をした。
「朝の寝室で可愛い知人の少年を抱き枕にしてじゃれ合う父上・・・そこに割り込もうとするフィン・・・確かに背徳的だねぇ・・・私もちょっとドキドキするよ。」
ハイトク的、、、?
「ああ、ごめんね、こっちの話し。それより、」
でもすぐに、穏やかな笑みを浮かべて。
「ディー、お腹空いたろ?みんなで朝食にしようか!?」
「朝ご飯!」
食べたい!だって私、昨日は昼も夜も抜いてるんですもの!
ガバッと起き上がると、掴まれた腕ごと、父さまとフィン兄さまを引っ張った。
「お二人とも起きましょう!ディーはお腹ペコペコです!」
さあさあ、起きて起きて!!
グングン引っ張ると二人の手は力無く離れて。
「お前のせいで、ディーとの楽しいひと時が終わってしまった。」
「アンタは相変わらず勝手だな!僕とディーの時間も必ず作るぞ!」
「顔が違うだけで動揺したのに?」
父さまとフィン兄さまの相変わらずの会話を聞きながら、私はベッドからポンっと飛び降りた。
よく寝た後の朝って、本当に良い気分。
昨日は色々嫌なこともあったけど。
今日はまた新しい日。兄さまたちにも会えたし。
どんなことが起こるのか、ワクワクするよね!
応援ありがとうございます!
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