帝国最強(最凶)の(ヤンデレ)魔導師は私の父さまです

波月玲音

文字の大きさ
71 / 241
皇宮での邂逅

魔導師の皆さんにもうっすらバレてました

しおりを挟む
久しぶりに賑やかな朝食を取った後、オスカー兄上は大学寮に帰って行った。
後十日で卒業式。騎士科の総代だから、何かと用があるんだって。
フィン兄さまは、今日一日空けてくれたみたい。
元々父さまの仕事ぶりを心配した母さまに言われて、たまに手伝いに来ているらしく、今日は私に付き添ってくれるんだって。
相変わらずフィン兄さまは優しい。
「有難う。兄さま。」
にっこりしてお礼を言うと、珍しくおねだりされた。
この格好のうちに一緒にお出掛けしたいらしい。
「でも、ライだけど。いいの?」
「令嬢に戻ってしまうと、通りすがりの者にも見せたくなくなるからな。封印してあっても、漏れる魔力の気配はディーのものだから大丈夫。」
「じゃあ、じゃあね、大学を、案内してもらえる?この格好なら目立たないでしょう?」
せっかくだから、私もおねだりしてみよう。
「うーん。魔導学科僕のところはあまり綺麗なところじゃないぞ。」
フィン兄さまは渋ったけど。
普段の兄さまの生活を見てみたいと言ったら、直ぐにオッケーが出ました!!やったね!

執務室で片付けをした後、朝のお使いに行く準備をする。
「今日はフィンに任せて休んでもいいぞ、嬢ちゃん。」
「大丈夫です。よく寝てすっかり元気になりました。」
心配そうなエルンストさんに笑顔で答え、ローちゃんを呼んだ。
寝室で感動の再会をしたローちゃんは、、、私が眠っている間、ずーっと見守っていてくれたんだって、、、!あのぐったりが嘘のように元気になっていた。いつものように肩に乗せて書類を持てば準備オッケー。
「フィン。色々と、頼んだぞ。」
父さまの言葉に、
「親父殿の後始末は慣れてますから。」
嫌味っぽく言うと、フィン兄さまは私の肩をさり気なく抱いた。
「さ、行こうか・・・。弟妹の幼馴染みのライ君。」
触れると、やっぱりディーだね。などと喜んでる。

うーん。フィン兄さまはいつも距離が近いけど。
弟妹の幼馴染みの肩は、普通抱かないと思うよ?


今朝の魔導師団は何となくザワザワしている。
みんな何となくあちこちで固まり、ヒソヒソ話してるの。
どうしたのかな?と思っていると、
「チッ、やっぱり怪しまれてるな・・・」
フィン兄さまが舌打ちと共に呟いた。
何のことか聞こうと首を傾げた時。

「あ、ほら、ライムンドが来たぞ!」
顔馴染みになって来た魔導土木科で受付をしてくれるおじさんが私を見つけた。
「あ、本当だ。」
「ライムンド!」
直ぐに人が集まって来て、ちょっとびっくりする。

でも。

隣に居るのがフィン兄さまだと気付くと、今度はちょっと引いていくみんな。
その中に私はさっきの魔導土木受付のおじさんを見つけ、声を掛けた。
「昨日預かった書類、決裁降りました。」
父さまのサインが入った書類を渡すと、受け取りのサインをしながら、その人は物問いたげに、チラッと兄さまを見た。
ちょっとためらって、でも、押さえきれないと言うように、私ではなく、フィン兄さまに聞いて来る。
「昨日のあの奇妙な地震、あれは団長の魔力が起こしたんじゃないのか?」

あらら、バレちゃってる?

思わず目が泳ぐ私と違い、兄さまはあくまで自然で冷静だった。

「確かに昨日、この辺りで揺れがあったようですね。それと父にどんな関係が?」

「いや、だって、あれだけの揺れなのに、揺れたのは皇宮だけで、帝都は無傷。しかも物理的な被害は聞いた限りじゃ全く無い。魔導土木科の俺が言うんだ。こんな地震ありえない。」
「でも、俺は昔、駆け出しの土木屋だった頃、こう言う地震にあったことがある。」

もう二十年以上前だから、覚えている人も少ないが。
その時は皇宮と帝都の一部だったが、同じ様に、揺れの割に被害は少なくて。
あの時の事を後から聞いたことがある。魔導師団内内うちでは、当時成人前の団長が起こしたんじゃないかと囁かれてたんだ。

「噂、と言うことで?」
「確かに噂だけどな。俺みたいな魔導師って言っても魔力の少ない技術畑の奴には分からないが、上級魔導師以上の方々は、今回、二十年前と同じ魔力を感じたらしいぞ。」

なるほど、父さまは前科持ちだから、中年以上の人にはあの時と同じ、、、となるのね。
あっさり噂で片付けようとした兄さまをおじさんはジロッと睨んでくる。

魔導師団て、魔力にしろ魔術にしろ魔導技術にしろ、とにかく実力がモノを言うから、身分とか権威とかが軽いところがある。それに、術式も技術も理論が重要だから、合理的で探究心の強い人が多い気がする。
このおじさんも、職人頑固親父系ね。フィン兄さまが魔導師団長父さまの息子だって知っていて、引き下がる様子を見せない。

でも、引き下がらないのは兄さまも同じだった。

「以前の記録が有るので?」
「無いけどよ!」
「無いのでしょう。それが答えですよ。きっと記録は残りません。不用意に噂話はしない方がいい。」

ここで兄さまは、フッと笑った。
「我が父の、魔導師団長の実力と気まぐれな奇行については、あなた方が帝国の誰よりもご存知のはず。
別にの事で騒ぎ立てることもないでしょう?面倒ごとに巻き込まれると余計な仕事が増えますよ。他部署のお知り合いに聞かれても、どうぞ、ご内聞に。」

奇行って、、、。要は、地震を起こしたのは父さまだけど、別に深い意味はないから気にしないで。
何時もの事でしょう?でも、色々言われると面倒だから、他部署には内緒ね、て言うこと?
私が絶句してると、おじさんを始め、皆さんは、妙に納得されてしまった。

「ま、まあ、そう言われて見れば何時もの事か?」
「なんかちょっとやらかしちゃったって事だね。」
「そして、大ごとにする気は無い、何処とも揉めたく無い、と。」
「確かに何時もの事か。」

え、え?いいの?見てみると、皆さん、スッキリとした表情で仕事に戻って行く。

「ライムンド、序でに決裁書類貰ってくよ。お前が来てから、団長仕事早いな。」

「意外とお前に仕事で仕切られて、切れたのかもな?」
「こえー、ライムンドさまってか?」
軽口を叩く皆さんに、フィン兄さまがさっさと書類の受け渡しを捌いてくれて。

気付くと私の手は空っぽになっていた。

「さてさて、噂の収束も済んだし、帰ろうか?もう明日から絡まれることもないぞ、ディー。」

フィン兄さまに肩をポンポンと叩かれて。

私は兄さまが残ってくれたりエルンストさんが心配した訳が、やっと分かったわ。

しおりを挟む
感想 54

あなたにおすすめの小説

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

冗談のつもりでいたら本気だったらしい

下菊みこと
恋愛
やばいタイプのヤンデレに捕まってしまったお話。 めちゃくちゃご都合主義のSS。 小説家になろう様でも投稿しています。

幼馴染の許嫁

山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。 彼は、私の許嫁だ。 ___あの日までは その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった 連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった 連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった 女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース 誰が見ても、愛らしいと思う子だった。 それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡 どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服 どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう 「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」 可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる 「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」 例のってことは、前から私のことを話していたのか。 それだけでも、ショックだった。 その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした 「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」 頭を殴られた感覚だった。 いや、それ以上だったかもしれない。 「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」 受け入れたくない。 けど、これが連の本心なんだ。 受け入れるしかない 一つだけ、わかったことがある 私は、連に 「許嫁、やめますっ」 選ばれなかったんだ… 八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

処理中です...