帝国最強(最凶)の(ヤンデレ)魔導師は私の父さまです

波月玲音

文字の大きさ
95 / 241
皇宮での邂逅

皇太子殿下という俺を受け入れるためにⅠ(フェリクス視点)

しおりを挟む
今日は俺が主催する茶会がある日。
近々帝室主催の大掛かりなお茶会があるためか、いつもより出席するものが多く、盛況な会になりそうだ。
基本は皇太子宮付きの女官に任せているとは言え、警備の確認や最終出席者のチェックは自分でしたいから、当日は朝から何かと気忙しい。
そう思いながら、寝不足の中、最近始めた朝の鍛練を終えて部屋に戻ってくると。
父上から至急の呼び出しがあった。

またか。

「俺が今日忙しいことは分かってるよな?なんで断らないんだ?」
着替えながらも、伝えに来た執事のマルティンを思わずにらんでしまう。

しかし。

「殿下の為でございますよ。」
マルティンは代々の皇太子に仕えて五十年の大ベテランだ。立太子して皇太子宮に移ってから五年、ずっと俺の面倒を見ている事もあり、一睨み位では全く動じない。
穏やかな眼差しのまま、諭してきた。
「爺も参りますから、朝のお支度が済んだら参りましょう。」
「お前が来て、なんになる。」
つい文句を返してしまうが、少し安心した。
こいつは、父上の前であっても、絶対に皇太子の意を汲んで動く。
先日以来、折に触れ考えてみて思い知った、俺の本当に数少ない味方なのだ。


「分かっているね、フェリクス。今度の帝室主催のお茶会には、バーベンベルクのディアナ嬢が初参加する。何としても、いい印象を与えて、帝都滞在中に婚約にこぎつけるんだ。」
慌ただしく朝食を終え皇帝夫妻と弟妹が住む本宮殿に向かうと。
通されたサロンには、皇帝たる父上の他に、宰相のコンラート公爵が待ち構えていた。
母上や弟妹がいないから、全く私的な対応では無いけれど、執務室に通されたわけでは無いという事は、親子の対話と考えていいんだろうか?
しかし、彼らの対面に座るなり言われた言葉は、予想していたとはいえ、ディアナ嬢に媚びへつらえとの理不尽な言いつけ。最近は会うと必ず言われる。何なんだよ、一体。

俺はせいぜい感じよく見えるよう祈りながら笑みを浮かべた。
「父上、その話はもう何度も伺いました。私も精一杯努力は致します。」
そうさ、やれって言うならやってやるよ。

「しかし、皇太子たる私とて、かの令嬢にとっては選択肢の一つなのでしょう?」
こいつらは俺に選べって言ってるんじゃない。
気に入られろって言う。つまり、言わないだけで、他にも選択肢を用意しているんだろうう?

「私はこの国の次代の頂点に立つものとして、常に選ぶことを要求されて来ました。選ばれる為に、とは、何をすれば宜しいのでしょう?」
俺の課題は、常に複数の選択肢の中から、最善を選び取るもの。若しくは最良の代替案を創り出すこと。
授業ではその思考過程と選択の理由、結果の検証を行ってきた。
選ばれる為に何かをしたことなど、無い。

「父上、ぜひかつて同じ皇太子として伴侶を得た先達として、不肖の息子に有益な助言を頂けませんか?」
どうせお前も群がるご令嬢の中から選んだことしかないだろ。
選ばれろってやいやい言うなら、何か気の利いた科白の一つでも教えてくれよ。

俺が口をつぐむと、少しの間が空いた。
父上も、宰相も、何だか残念なものを見る表情で俺を見ている、、、なぜだ?皇太子である俺が、媚びへつらえと言われて、腹を立てて何が悪い。

「・・・お前には、欲する前に与えてしまったからな。今、身に余るものを持ちながら感謝するでもなく、境遇に不満を抱いてばかりで・・・自身の不足に気づき努力し始めたのも最近のこと。そのくせプライドだけは高くなりおって・・・争いごとを起こしたくないという親心が仇になったのだろうか?」
父上が溜め息とともに言えば。
「殿下も最近ご自身を顧みられて思うところがおありのようでしたが・・・まだまだという事ですかな?」
実に胡散臭い、柔らかな笑みを浮かべて宰相が言う。

何だよ、なんなんだよ!俺が何を与えてもらったって言うんだ?なりたくもない皇太子になって、勉学だ、訓練だマナーだと毎日窮屈な生活を強いられ、周りにいるのはほんのわずかの味方を除けば、媚びへつらうものばかり。逃げ出さないだけ偉いと思っているのに・・・婚約者まで、自由に選べないどころか、会ったこともない令嬢に、とにかく気に入られろと強要される。

俺に、自由は無いのか?

父上も宰相お前等こそ、いつも不満そうにして、文句ばかり。俺の気持ちも知らないくせに。

俺が思わず反抗的ににらみつけると。
父上はもう一度溜め息を付いてから宰相に頷きかけると、俺と目を合わせて言った。

「そんなに皇太子としての境遇や義務が不満なら、地位を返上しても良いぞ。幸いなことに、私には皇妃との間にもう一人男子がいるのだから。」
しおりを挟む
感想 54

あなたにおすすめの小説

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

冗談のつもりでいたら本気だったらしい

下菊みこと
恋愛
やばいタイプのヤンデレに捕まってしまったお話。 めちゃくちゃご都合主義のSS。 小説家になろう様でも投稿しています。

幼馴染の許嫁

山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。 彼は、私の許嫁だ。 ___あの日までは その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった 連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった 連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった 女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース 誰が見ても、愛らしいと思う子だった。 それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡 どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服 どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう 「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」 可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる 「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」 例のってことは、前から私のことを話していたのか。 それだけでも、ショックだった。 その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした 「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」 頭を殴られた感覚だった。 いや、それ以上だったかもしれない。 「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」 受け入れたくない。 けど、これが連の本心なんだ。 受け入れるしかない 一つだけ、わかったことがある 私は、連に 「許嫁、やめますっ」 選ばれなかったんだ… 八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

処理中です...