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皇宮での邂逅
皇太子殿下という俺を受け入れるためにⅠ(フェリクス視点)
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今日は俺が主催する茶会がある日。
近々帝室主催の大掛かりなお茶会があるためか、いつもより出席するものが多く、盛況な会になりそうだ。
基本は皇太子宮付きの女官に任せているとは言え、警備の確認や最終出席者のチェックは自分でしたいから、当日は朝から何かと気忙しい。
そう思いながら、寝不足の中、最近始めた朝の鍛練を終えて部屋に戻ってくると。
父上から至急の呼び出しがあった。
またか。
「俺が今日忙しいことは分かってるよな?なんで断らないんだ?」
着替えながらも、伝えに来た執事のマルティンを思わずにらんでしまう。
しかし。
「殿下の為でございますよ。」
マルティンは代々の皇太子に仕えて五十年の大ベテランだ。立太子して皇太子宮に移ってから五年、ずっと俺の面倒を見ている事もあり、一睨み位では全く動じない。
穏やかな眼差しのまま、諭してきた。
「爺も参りますから、朝のお支度が済んだら参りましょう。」
「お前が来て、なんになる。」
つい文句を返してしまうが、少し安心した。
こいつは、父上の前であっても、絶対に皇太子の意を汲んで動く。
先日以来、折に触れ考えてみて思い知った、俺の本当に数少ない味方なのだ。
「分かっているね、フェリクス。今度の帝室主催のお茶会には、バーベンベルクのディアナ嬢が初参加する。何としても、いい印象を与えて、帝都滞在中に婚約にこぎつけるんだ。」
慌ただしく朝食を終え皇帝夫妻と弟妹が住む本宮殿に向かうと。
通されたサロンには、皇帝たる父上の他に、宰相のコンラート公爵が待ち構えていた。
母上や弟妹がいないから、全く私的な対応では無いけれど、執務室に通されたわけでは無いという事は、親子の対話と考えていいんだろうか?
しかし、彼らの対面に座るなり言われた言葉は、予想していたとはいえ、ディアナ嬢に媚びへつらえとの理不尽な言いつけ。最近は会うと必ず言われる。何なんだよ、一体。
俺はせいぜい感じよく見えるよう祈りながら笑みを浮かべた。
「父上、その話はもう何度も伺いました。私も精一杯努力は致します。」
そうさ、やれって言うならやってやるよ。
「しかし、皇太子たる私とて、かの令嬢にとっては選択肢の一つなのでしょう?」
こいつらは俺に選べって言ってるんじゃない。
気に入られろって言う。つまり、言わないだけで、他にも選択肢を用意しているんだろうう?
「私はこの国の次代の頂点に立つものとして、常に選ぶことを要求されて来ました。選ばれる為に、とは、何をすれば宜しいのでしょう?」
俺の課題は、常に複数の選択肢の中から、最善を選び取るもの。若しくは最良の代替案を創り出すこと。
授業ではその思考過程と選択の理由、結果の検証を行ってきた。
選ばれる為に何かをしたことなど、無い。
「父上、ぜひかつて同じ皇太子として伴侶を得た先達として、不肖の息子に有益な助言を頂けませんか?」
どうせお前も群がるご令嬢の中から選んだことしかないだろ。
選ばれろってやいやい言うなら、何か気の利いた科白の一つでも教えてくれよ。
俺が口をつぐむと、少しの間が空いた。
父上も、宰相も、何だか残念なものを見る表情で俺を見ている、、、なぜだ?皇太子である俺が、媚びへつらえと言われて、腹を立てて何が悪い。
「・・・お前には、欲する前に与えてしまったからな。今、身に余るものを持ちながら感謝するでもなく、境遇に不満を抱いてばかりで・・・自身の不足に気づき努力し始めたのも最近のこと。そのくせプライドだけは高くなりおって・・・争いごとを起こしたくないという親心が仇になったのだろうか?」
父上が溜め息とともに言えば。
「殿下も最近ご自身を顧みられて思うところがおありのようでしたが・・・まだまだという事ですかな?」
実に胡散臭い、柔らかな笑みを浮かべて宰相が言う。
何だよ、なんなんだよ!俺が何を与えてもらったって言うんだ?なりたくもない皇太子になって、勉学だ、訓練だマナーだと毎日窮屈な生活を強いられ、周りにいるのはほんのわずかの味方を除けば、媚びへつらうものばかり。逃げ出さないだけ偉いと思っているのに・・・婚約者まで、自由に選べないどころか、会ったこともない令嬢に、とにかく気に入られろと強要される。
俺に、自由は無いのか?
父上も宰相こそ、いつも不満そうにして、文句ばかり。俺の気持ちも知らないくせに。
俺が思わず反抗的ににらみつけると。
父上はもう一度溜め息を付いてから宰相に頷きかけると、俺と目を合わせて言った。
「そんなに皇太子としての境遇や義務が不満なら、地位を返上しても良いぞ。幸いなことに、私には皇妃との間にもう一人男子がいるのだから。」
近々帝室主催の大掛かりなお茶会があるためか、いつもより出席するものが多く、盛況な会になりそうだ。
基本は皇太子宮付きの女官に任せているとは言え、警備の確認や最終出席者のチェックは自分でしたいから、当日は朝から何かと気忙しい。
そう思いながら、寝不足の中、最近始めた朝の鍛練を終えて部屋に戻ってくると。
父上から至急の呼び出しがあった。
またか。
「俺が今日忙しいことは分かってるよな?なんで断らないんだ?」
着替えながらも、伝えに来た執事のマルティンを思わずにらんでしまう。
しかし。
「殿下の為でございますよ。」
マルティンは代々の皇太子に仕えて五十年の大ベテランだ。立太子して皇太子宮に移ってから五年、ずっと俺の面倒を見ている事もあり、一睨み位では全く動じない。
穏やかな眼差しのまま、諭してきた。
「爺も参りますから、朝のお支度が済んだら参りましょう。」
「お前が来て、なんになる。」
つい文句を返してしまうが、少し安心した。
こいつは、父上の前であっても、絶対に皇太子の意を汲んで動く。
先日以来、折に触れ考えてみて思い知った、俺の本当に数少ない味方なのだ。
「分かっているね、フェリクス。今度の帝室主催のお茶会には、バーベンベルクのディアナ嬢が初参加する。何としても、いい印象を与えて、帝都滞在中に婚約にこぎつけるんだ。」
慌ただしく朝食を終え皇帝夫妻と弟妹が住む本宮殿に向かうと。
通されたサロンには、皇帝たる父上の他に、宰相のコンラート公爵が待ち構えていた。
母上や弟妹がいないから、全く私的な対応では無いけれど、執務室に通されたわけでは無いという事は、親子の対話と考えていいんだろうか?
しかし、彼らの対面に座るなり言われた言葉は、予想していたとはいえ、ディアナ嬢に媚びへつらえとの理不尽な言いつけ。最近は会うと必ず言われる。何なんだよ、一体。
俺はせいぜい感じよく見えるよう祈りながら笑みを浮かべた。
「父上、その話はもう何度も伺いました。私も精一杯努力は致します。」
そうさ、やれって言うならやってやるよ。
「しかし、皇太子たる私とて、かの令嬢にとっては選択肢の一つなのでしょう?」
こいつらは俺に選べって言ってるんじゃない。
気に入られろって言う。つまり、言わないだけで、他にも選択肢を用意しているんだろうう?
「私はこの国の次代の頂点に立つものとして、常に選ぶことを要求されて来ました。選ばれる為に、とは、何をすれば宜しいのでしょう?」
俺の課題は、常に複数の選択肢の中から、最善を選び取るもの。若しくは最良の代替案を創り出すこと。
授業ではその思考過程と選択の理由、結果の検証を行ってきた。
選ばれる為に何かをしたことなど、無い。
「父上、ぜひかつて同じ皇太子として伴侶を得た先達として、不肖の息子に有益な助言を頂けませんか?」
どうせお前も群がるご令嬢の中から選んだことしかないだろ。
選ばれろってやいやい言うなら、何か気の利いた科白の一つでも教えてくれよ。
俺が口をつぐむと、少しの間が空いた。
父上も、宰相も、何だか残念なものを見る表情で俺を見ている、、、なぜだ?皇太子である俺が、媚びへつらえと言われて、腹を立てて何が悪い。
「・・・お前には、欲する前に与えてしまったからな。今、身に余るものを持ちながら感謝するでもなく、境遇に不満を抱いてばかりで・・・自身の不足に気づき努力し始めたのも最近のこと。そのくせプライドだけは高くなりおって・・・争いごとを起こしたくないという親心が仇になったのだろうか?」
父上が溜め息とともに言えば。
「殿下も最近ご自身を顧みられて思うところがおありのようでしたが・・・まだまだという事ですかな?」
実に胡散臭い、柔らかな笑みを浮かべて宰相が言う。
何だよ、なんなんだよ!俺が何を与えてもらったって言うんだ?なりたくもない皇太子になって、勉学だ、訓練だマナーだと毎日窮屈な生活を強いられ、周りにいるのはほんのわずかの味方を除けば、媚びへつらうものばかり。逃げ出さないだけ偉いと思っているのに・・・婚約者まで、自由に選べないどころか、会ったこともない令嬢に、とにかく気に入られろと強要される。
俺に、自由は無いのか?
父上も宰相こそ、いつも不満そうにして、文句ばかり。俺の気持ちも知らないくせに。
俺が思わず反抗的ににらみつけると。
父上はもう一度溜め息を付いてから宰相に頷きかけると、俺と目を合わせて言った。
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