帝国最強(最凶)の(ヤンデレ)魔導師は私の父さまです

波月玲音

文字の大きさ
94 / 241
皇宮での邂逅

殿下なりの賭けでした

しおりを挟む
「さてと。」
殿下は呟くと、さり気なく辺りを見回した。
ちょっと離れたところで殿下の様子を伺っているご令嬢や御令息はいるけど、今は周りに誰もいない。
何するつもりなんだろう?
とりあえず見ていると、父さまが小さく「あっ」と言った。
振り返るとちょっと慌てた声で、そろそろ帰ろうか、ディー、と囁いてくる。

別に、いいけど、、、?
なんとなく違和感を感じて父さまの視線の先を辿ってみると。
殿下の後ろにさっきから影のように立つ、老執事さんを見ていた。

?あの執事さんが気になるの?
一緒につい見てしまう。と、殿下もサッと振り返った。
「どう思う?」

どう思う?
何を?

私の疑問をよそに、老執事さんはにこやかに言った。

「おそらくはこの辺りに。人もおりませんし、試してみる価値はあるかと。」

父さまの気にする人だけど、なんの会話かこれじゃ分からないわ。
「ねえ、父さま、なんの話か・・・」
わたしが父さまを見上げた時。

「魔導師団長、ここに、いるのでは無いか?」
低い、抑えた、でもテーブルの周りに居れば聞こえるくらいの声量で、殿下は虚空に呼びかけた。

え?
何を言い出すの?
でも、見上げた父さまは老執事さんを見つめながら、小さくチッと舌打ちをした。お行儀わるっ。
でも、驚いた様子は無いから、いるのがばれてるかも、って分かっていたのね。

「いるのなら、話がしたい。そんなに時間は取らせないから、、、。」
殿下の虚空への語りかけは続く。
「せめて、いるかどうかだけでも教えてくれ。いつまでも虚空に話しかけるのは、俺の立場ではまずいんだ・・・いるのなら、このテーブルの周りだけ、風を起こしてくれ。十数えても何もなければ、いないものとしてあきらめる。」
殿下は見えてるわけでは無いみたい。全く違う方を向きながらそれだけ言うと、一、二、とゆっくり数え始めた。

父さま、どうするんだろう、、、。
さっきは老執事さんを見ていたけど、今は殿下をじっと見ている。
五、六、、、。

殿下のゆっくりした声は緊張して、少し震えているみたい。
、、、一体何を話したいんだろうね、、、。

七、八、、、。
父さまはまだ、殿下を見て、何か考えている。
九、、、十。

その瞬間。
フワッとやさしい風が吹き、テーブルクロスの裾が揺れた。
「「っ」」
殿下も、思わず私も息を飲む。

父さまはイヤそうにそっぽを向き、老執事さんは微かに口元に笑みを浮かべ、ありがとうございます、アルフレート坊ちゃま、とつぶやいた。

「あ、ありがとう。魔導師団長。」
殿下ったら、そっちから声を掛けてきたのに、ものすごく意外そうな表情で、つっかえながらお礼を言って、、、すぐに真面目な表情に変わった。

「ここでは話しにくい。人目を避けるため、一旦中に入ってから奥の噴水のある庭に行くので、そこで話したい。もし連れがいるなら、、、それが俺の知る侍従見習いなら、、、図々しいお願いだが謝罪もしたいので、一緒に来てくれると嬉しい。」
一気に話し終えると、後ろも振りむかず、テラスに向かって歩き出した。老執事さんも影のようについて行く。

その後ろ姿をチラッと見てから、父さまは私を見た。
「帰ろうと思ったけど・・・あの執事には昔・・・きょうも色々迷惑をかけたし、ジークムントの子が何を話すのか、父さまは聞く必要があると思う。」
父さまは、何だかんだ言って、自分に好意を持つ人に甘いからね。老執事さんも昔大事にしてくれたんだろうね?
殿下が好意を持ってるとは思えないけど、そっちは最近の夢への干渉もあるしね、、、。

うんうん、頷いていると、父さまが続けた。

「でも、ディーは関係ない。言われた通り残る必要も無いんだから、魔導師団に戻ってなさい?」

「・・・え?」
「謝罪、受けたいの?」
「受けたいわけじゃないけど・・・あ、受けたくない訳でも、ないけど。」

私はムムっと考えてしまった。
しおりを挟む
感想 54

あなたにおすすめの小説

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

冗談のつもりでいたら本気だったらしい

下菊みこと
恋愛
やばいタイプのヤンデレに捕まってしまったお話。 めちゃくちゃご都合主義のSS。 小説家になろう様でも投稿しています。

幼馴染の許嫁

山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。 彼は、私の許嫁だ。 ___あの日までは その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった 連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった 連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった 女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース 誰が見ても、愛らしいと思う子だった。 それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡 どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服 どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう 「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」 可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる 「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」 例のってことは、前から私のことを話していたのか。 それだけでも、ショックだった。 その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした 「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」 頭を殴られた感覚だった。 いや、それ以上だったかもしれない。 「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」 受け入れたくない。 けど、これが連の本心なんだ。 受け入れるしかない 一つだけ、わかったことがある 私は、連に 「許嫁、やめますっ」 選ばれなかったんだ… 八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

処理中です...