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皇宮での邂逅

その日の近衛騎士団訓練場にて

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その日、いつもの訓練が終わっても、やっぱりライあいつは来なかった。
まあ、来られないって言ってたけれど。
でも、無理だろうなと思っていた朝の鍛錬には来たから、少し期待してしまったんだよな。
「済まない、ジキスムント。やっぱり駄目だったな。」
双子が聞いてないのを確認して、そっと声をかけると、ジキスムントは生真面目にいいえ、と答えた。
「殿下のせいではありませんから。あくまで私とあの者との問題です。どうぞお気になさらず。」
それに、もう少しでディアナ嬢がいらっしゃるから、今度はお茶会などで会う機会があるでしょう、非公式な場で声をかけてみます、と続ける。
そうか。
俺は片づけを始めたジキスムントの姿を見ながら考えた。
こいつにはライがディアナ嬢の侍従だって教えたんだっけ。
まあ、ライ、、、の姿をしたディアナ嬢自身が、こいつには、ライはディアナの身近な存在だ、と伝えていた訳だしな。
でも。
俺はまだ、ライがディアナ嬢の仮の姿ということは、ましてやあの剣の腕前はディアナ嬢自身のものだとは伝えてない。

実は昨日、魔導師団長と話した後、執務室に戻って、待っていたジキスムントと情報のすり合わせをしたとき、言うべきか、かなり迷った。
一応心の中の言い訳としては、彼女自身が今は知られたくないと言ったから、と言うのがあるけれど、、、正直に言えば。
ライを友人としてここまで気に入ってるこいつが、実はディアナ嬢に気があると知ったからで。
より思いを深くしてしまうかもしれない情報を出したくない、と思ってしまったんだ。
ただでさえ、こいつは俺よりディアナ嬢に気に入られてるしな。

でも、こいつは俺に、自分の情報源についてあっさり教えてくれたんだ。
ディアナ嬢の祖父、前バーベンベルク辺境伯と個人的に知り合いだと。
それなのに、、、心が狭いな、俺。
うん、やっぱり、言うべきだ。

ただ、どうせ話すなら、ディアナ嬢の事をもう少し聞きたい。出来れば彼女の剣の腕前についてどの程度知ってるのかもな。
「なあ、ジキスムント。ちょっと話があるんだが、今日も俺の執務室に来れないか?」
俺の誘いに、振り返ったジキスムントは、では、全ての講義が終わった後で伺います、
と生真面目に答えた。
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