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皇宮での邂逅
ディアナ嬢の設定権は伯父さまにありました
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「それはもちろん、あらゆる面で完璧な、かつ両親の愛情に守られ隠されてきた深窓のご令嬢で行くよ、ディーちゃん。」
ほとんど食べられなかった朝食を終え、人払いをしたまま父さまの執務室のソファで今後の相談を始めたんだけど。
みんなに今朝の殿下の反応や今まで聞いた噂話を伝えて、お披露目するディアナ嬢はどんな子で行こうかと悩んでると言った途端、伯父さまが当然のように断言した。
「と言うより、それ以外の選択肢は無いよ、ディーちゃん。何といっても君は、わがコンラート一門に久しぶりに生まれた女の子なんだから。」
しかも聞いてはいたけどこんなに美人さんだなんて、私は今からお披露目が楽しみで仕方ないよ、、、。
伯父さまの伯父馬鹿発言は延々と続くけれど。
えー?深窓のご令嬢って、、、。ライの姿を見てたんだから、分かるよね、伯父さま、無理だって?
必死に目で訴えるけど、伯父さまはにこにこしながら、いやあ、ライ君の姿も可愛かったけど、このディーちゃんの美少女っぷりも素晴らしいね、なーんてのたまって、全然気づいてくださらない。
普段の私を知る父さまなら、、、と、ちらっと伺うと、、、これまた当然って顔して食後のお茶を優雅に口にしている。
仕方ない、これは恥ずかしいけど自分で言うしかない。
「えっと、伯父さま?気づいていらっしゃると思ったのだけど、ディーはとても深窓のご令嬢って女の子では無くて・・・」
「大丈夫、君の普段の生活ぶりは結構詳しく知ってるよ。君たち兄弟の教師陣は、私が指示して、オリヴィエが手配しているんだから。」
私の恥ずかしい告白は、途中で伯父さまに、にこやかに遮られてしまいました。
そういえばそんな事、昨日お茶会をのぞいた時に父さまも言ってました、、、。
しゅん、とした私に追い打ちをかけるように伯父さまが続ける。
「ちなみに、これは君の母上である辺境伯殿のご意向でもある。昨日アルフと一緒に会った時少し話したんだけどね、しばらく気を抜いていただろうから、一足早く街屋敷に入ってお祖母様にマナーを見て頂くように、と仰っていたよ。」
うっ、お祖母さま、にこにこ厳しい指摘をするんだよね、、、母さま、厳しい。
がっくりした私に、オリヴィエ兄さまがなだめる様に声をかけてくれた。
「大丈夫、ディーちゃん。君たちの教授陣は、僕も習った帝都でも超一流の方たちばかりだし、君のその容姿があれば、取り敢えずにこってすれば、大抵の場面は切り抜けられるから。」
ほら、こんな風にね、と、にっこり微笑んでくれる。
はぁ。
私は溜め息をついた。
きらきらイケメンのオリヴィエ兄さまならそれでいけるのかもしれないけれど。
あのお茶会にいたご令嬢たちが、ぽっと出の田舎娘のそんな所業を許すとは到底思えないわ。女の子の世界はキビシイんだから。
「そんな、適当なことばかり・・・。帝都のご令嬢を前にそんな恐ろしいこと出来ないわ。」
田舎娘がなに気取ってるの、て笑われるだけよ。
思わず恨めし気にオリヴィエ兄さまをにらむと、、、。
兄さまは、うっと詰まりながら、手を振った。
「っ、だ、大丈夫。その上目遣いとか、もうかなりいけてる。上級編だから。」
「・・・いけてる?上級編?」
なにが?そのまま小首をかしげてオリヴィエ兄さまを見つめると、今度はうっすら赤くなった。
「?オリヴィエ兄さま・・・」
声をかけるとハッとしたように瞬いて、そのまま顔を背けてしまう。
なに、私の顔は正視に耐えないっていうの!
ちょっとムッとしてしまったけれど。
兄さまはなんだかブツブツ言いだした。
「やばい、グッと来た・・・いやいや、十歳だから、犯罪だから!この子は年の離れた従妹、従妹・・・でも僕も最終候補ではあって・・・いや、それでも今は犯罪だから・・・!」
つぶやいてますが、よく聞こえません。
困って伯父さまを見ると苦笑いをしていて、、、父さまは、冷気を出しながらオリヴィエ兄さまをにらんでました。
あんまりよくない状況?
不安になった私を見て、伯父さまが一つ咳払いをした。
「まあ、細かいことはこっちでも考えておくから。ディーちゃんは今日中に街屋敷に入って、取り敢えず女の子としての生活に戻りなさい。辺境伯殿も二三日で帝都に着かれるし、すぐに騎士の叙任式やお茶会と続くから、ドレスを着なれたほうがいいだろう?」
父さまも重い口を開く。
「昨日、母さまと話したんだが、母さまもそう望んでる。父さまも、ディーが、嫌でなければ、今日からは街屋敷に戻るから、、、」
あら、声が途切れちゃった。さっきの脅しがずいぶん効いてるみたい。いやいや、父さまの援護は大事よ!
お祖母さまは辺境伯家の箱入り娘だっただけあって誰にでも物おじしないで行くマイペースな人だけど、なぜか父さまに対してだけは遠慮というか気づかいと言うかを見せるのだ。
「それはもちろん一緒でなくではイヤ。」
そしてディーを助けてね?
そう言った途端、父さまの機嫌は目に見えて上昇した。ついでに周りの気温も上がった気がする。
「じゃあ、早速移動しようか?おいで、ディー。」
「え?もう?でもまだ荷物も・・・」
戸惑う私の手を取って。
「ここのものは必要なら後で持ってくよ。とにかく君はオリヴィエから離れようか?」
「父さま?それって・・・」
「っ。何でもないよ。行こう、私と一緒にお祖父様、お祖母様と挨拶した方が良いだろう?」
父さまはさっさと立ち上がる。
「行っといで。後のことはアルフとこっちで何とかしておくし、後で私も挨拶に行くから、その時はドレス姿で会いたいね、ディーちゃん。」
ウインクする伯父さまに見送られて。
私は半月近く楽しく暮らした魔導師団から、あっという間に連れ出されてしまったの。
ほとんど食べられなかった朝食を終え、人払いをしたまま父さまの執務室のソファで今後の相談を始めたんだけど。
みんなに今朝の殿下の反応や今まで聞いた噂話を伝えて、お披露目するディアナ嬢はどんな子で行こうかと悩んでると言った途端、伯父さまが当然のように断言した。
「と言うより、それ以外の選択肢は無いよ、ディーちゃん。何といっても君は、わがコンラート一門に久しぶりに生まれた女の子なんだから。」
しかも聞いてはいたけどこんなに美人さんだなんて、私は今からお披露目が楽しみで仕方ないよ、、、。
伯父さまの伯父馬鹿発言は延々と続くけれど。
えー?深窓のご令嬢って、、、。ライの姿を見てたんだから、分かるよね、伯父さま、無理だって?
必死に目で訴えるけど、伯父さまはにこにこしながら、いやあ、ライ君の姿も可愛かったけど、このディーちゃんの美少女っぷりも素晴らしいね、なーんてのたまって、全然気づいてくださらない。
普段の私を知る父さまなら、、、と、ちらっと伺うと、、、これまた当然って顔して食後のお茶を優雅に口にしている。
仕方ない、これは恥ずかしいけど自分で言うしかない。
「えっと、伯父さま?気づいていらっしゃると思ったのだけど、ディーはとても深窓のご令嬢って女の子では無くて・・・」
「大丈夫、君の普段の生活ぶりは結構詳しく知ってるよ。君たち兄弟の教師陣は、私が指示して、オリヴィエが手配しているんだから。」
私の恥ずかしい告白は、途中で伯父さまに、にこやかに遮られてしまいました。
そういえばそんな事、昨日お茶会をのぞいた時に父さまも言ってました、、、。
しゅん、とした私に追い打ちをかけるように伯父さまが続ける。
「ちなみに、これは君の母上である辺境伯殿のご意向でもある。昨日アルフと一緒に会った時少し話したんだけどね、しばらく気を抜いていただろうから、一足早く街屋敷に入ってお祖母様にマナーを見て頂くように、と仰っていたよ。」
うっ、お祖母さま、にこにこ厳しい指摘をするんだよね、、、母さま、厳しい。
がっくりした私に、オリヴィエ兄さまがなだめる様に声をかけてくれた。
「大丈夫、ディーちゃん。君たちの教授陣は、僕も習った帝都でも超一流の方たちばかりだし、君のその容姿があれば、取り敢えずにこってすれば、大抵の場面は切り抜けられるから。」
ほら、こんな風にね、と、にっこり微笑んでくれる。
はぁ。
私は溜め息をついた。
きらきらイケメンのオリヴィエ兄さまならそれでいけるのかもしれないけれど。
あのお茶会にいたご令嬢たちが、ぽっと出の田舎娘のそんな所業を許すとは到底思えないわ。女の子の世界はキビシイんだから。
「そんな、適当なことばかり・・・。帝都のご令嬢を前にそんな恐ろしいこと出来ないわ。」
田舎娘がなに気取ってるの、て笑われるだけよ。
思わず恨めし気にオリヴィエ兄さまをにらむと、、、。
兄さまは、うっと詰まりながら、手を振った。
「っ、だ、大丈夫。その上目遣いとか、もうかなりいけてる。上級編だから。」
「・・・いけてる?上級編?」
なにが?そのまま小首をかしげてオリヴィエ兄さまを見つめると、今度はうっすら赤くなった。
「?オリヴィエ兄さま・・・」
声をかけるとハッとしたように瞬いて、そのまま顔を背けてしまう。
なに、私の顔は正視に耐えないっていうの!
ちょっとムッとしてしまったけれど。
兄さまはなんだかブツブツ言いだした。
「やばい、グッと来た・・・いやいや、十歳だから、犯罪だから!この子は年の離れた従妹、従妹・・・でも僕も最終候補ではあって・・・いや、それでも今は犯罪だから・・・!」
つぶやいてますが、よく聞こえません。
困って伯父さまを見ると苦笑いをしていて、、、父さまは、冷気を出しながらオリヴィエ兄さまをにらんでました。
あんまりよくない状況?
不安になった私を見て、伯父さまが一つ咳払いをした。
「まあ、細かいことはこっちでも考えておくから。ディーちゃんは今日中に街屋敷に入って、取り敢えず女の子としての生活に戻りなさい。辺境伯殿も二三日で帝都に着かれるし、すぐに騎士の叙任式やお茶会と続くから、ドレスを着なれたほうがいいだろう?」
父さまも重い口を開く。
「昨日、母さまと話したんだが、母さまもそう望んでる。父さまも、ディーが、嫌でなければ、今日からは街屋敷に戻るから、、、」
あら、声が途切れちゃった。さっきの脅しがずいぶん効いてるみたい。いやいや、父さまの援護は大事よ!
お祖母さまは辺境伯家の箱入り娘だっただけあって誰にでも物おじしないで行くマイペースな人だけど、なぜか父さまに対してだけは遠慮というか気づかいと言うかを見せるのだ。
「それはもちろん一緒でなくではイヤ。」
そしてディーを助けてね?
そう言った途端、父さまの機嫌は目に見えて上昇した。ついでに周りの気温も上がった気がする。
「じゃあ、早速移動しようか?おいで、ディー。」
「え?もう?でもまだ荷物も・・・」
戸惑う私の手を取って。
「ここのものは必要なら後で持ってくよ。とにかく君はオリヴィエから離れようか?」
「父さま?それって・・・」
「っ。何でもないよ。行こう、私と一緒にお祖父様、お祖母様と挨拶した方が良いだろう?」
父さまはさっさと立ち上がる。
「行っといで。後のことはアルフとこっちで何とかしておくし、後で私も挨拶に行くから、その時はドレス姿で会いたいね、ディーちゃん。」
ウインクする伯父さまに見送られて。
私は半月近く楽しく暮らした魔導師団から、あっという間に連れ出されてしまったの。
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