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皇宮での邂逅
皇太子宮の執務室にてⅡ
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マルティンが言うには、俺を追って噴水の庭には入れたけれど、俺達の姿は見えなかったらしい。
魔導師団長の結界ならどうしようもないと待っていたところ、突然ぶっ倒れた俺が現れたとのことだ。
「生きてはいらっしゃると思ってましたよ。」
マルティンは俺を助け起こしながら穏やかに笑んだけれど、、、。
なんだよ、俺はやっぱり生死をかけていたのかよ!
文句の一つも言いたかったけど、まだお茶会の途中だったこともあり、色々飲み込んだ俺は、一休みする間もなく会場に戻ったんだ。
午後遅くに終わった茶会は盛況だった。
客があらかた帰ったことろで、俺も執務室に戻るとソファに倒れ込む。
いや、本当に、長くて緊張を強いられる一日だった。朝この部屋で父上に呼ばれていると聞いたのが、遠い過去に思える。
「何とか無事終わった、てことで、良いんだよな?」
独り言ちる。
ライがディアナ嬢だと分かって、何とか謝って、首の皮一枚かもしれないが次へ繋げた。
魔導師団長には殺されそうだったけど、悪夢を止めてもらえそうだ。
マルティンの助けがあったとはいえ、頑張ったじゃないか、俺。
後は、俺同様の悪夢を見ているなら悩んでいるだろうジキスムントを、安心させてやれば、終わりだ。
ついでにあいつとライの話でも聞いてみるか。ディアナ嬢と話すときの参考になるかもしれないしな、、、。
上から目線で行く気満々で気を抜いてた俺は、その後やってきたジキスムントに、結構手ひどく心を抉られることになるとは、思ってもいなかった。
「実は殿下・・・私も最近ひどくうなされる夢を見るのです。」
あの後すぐに来たジキスムントに、自分を引き合いに出しながら、夢見が悪くて寝不足であると愚痴ってみせると、あいつはひどく驚いた様子で話し出した。
うんうん、上手く話を引き出せたぞ。
「そうか。だが安心・・・」
「でも、今日ライと話して、疑問に思ったり不安に思ったことをよく考えて解消し、迷いをなくせば良いんじゃないか、と助言を受けたのです。」
そう言えば、魔導師団長も、ライがすでにジキスムントに話しているって言ってたもんな。
「ふーん、その疑問や不安は解消できそうか?」
聞きながら、まあ、こいつのことだから何とかするだろう、楽勝だ、今日の仕事は終わりだな、と思っていると。
ジキスムントがひどく言いにくそうに、でも真剣な顔で話し始めた。
「それで、殿下。私の疑問や悩みを解消していただけますか?」
「?」
こいつの悩みの種は、なんと俺だった、、、。
言葉を尽くして、今後は心身ともに強い自分を目指すこと、臣下を使い捨てるような真似は、ましてや皇帝家の盾とまで呼ばれるロイス家の人間を粗末に扱う訳がないと説得し、ジキスムントには晴れやかな顔で感謝をされたが。
しかし。
数少ない信頼できる人物だと思っていた相手に悩みの種だなんて思われている俺は、なんなんだ?
秘かに落ち込んでいる俺に、ジキスムントは更にさらっと追撃してきた。
「そう言えば殿下。ライに聞いたのですが、あいつはディアナ嬢の側近のようです。」
今日も友人としては拒否されてしまいましたが、助言もして貰えたし、ディアナ嬢に私の話をしておくと言ってくれました。
また会えそうなことも分かったし、ディアナ嬢のお披露目の際に、声をかけてみようと思ってるんです。
ジキスムントは何でもないように言ってくるが、、、。
お前、それ、本人が教えてくれたのか?
俺より全然好意的じゃないか?そりゃあ、まあ、元の立ち位置が違うけどさ。
俺は更に落ち込んだのだった。
魔導師団長の結界ならどうしようもないと待っていたところ、突然ぶっ倒れた俺が現れたとのことだ。
「生きてはいらっしゃると思ってましたよ。」
マルティンは俺を助け起こしながら穏やかに笑んだけれど、、、。
なんだよ、俺はやっぱり生死をかけていたのかよ!
文句の一つも言いたかったけど、まだお茶会の途中だったこともあり、色々飲み込んだ俺は、一休みする間もなく会場に戻ったんだ。
午後遅くに終わった茶会は盛況だった。
客があらかた帰ったことろで、俺も執務室に戻るとソファに倒れ込む。
いや、本当に、長くて緊張を強いられる一日だった。朝この部屋で父上に呼ばれていると聞いたのが、遠い過去に思える。
「何とか無事終わった、てことで、良いんだよな?」
独り言ちる。
ライがディアナ嬢だと分かって、何とか謝って、首の皮一枚かもしれないが次へ繋げた。
魔導師団長には殺されそうだったけど、悪夢を止めてもらえそうだ。
マルティンの助けがあったとはいえ、頑張ったじゃないか、俺。
後は、俺同様の悪夢を見ているなら悩んでいるだろうジキスムントを、安心させてやれば、終わりだ。
ついでにあいつとライの話でも聞いてみるか。ディアナ嬢と話すときの参考になるかもしれないしな、、、。
上から目線で行く気満々で気を抜いてた俺は、その後やってきたジキスムントに、結構手ひどく心を抉られることになるとは、思ってもいなかった。
「実は殿下・・・私も最近ひどくうなされる夢を見るのです。」
あの後すぐに来たジキスムントに、自分を引き合いに出しながら、夢見が悪くて寝不足であると愚痴ってみせると、あいつはひどく驚いた様子で話し出した。
うんうん、上手く話を引き出せたぞ。
「そうか。だが安心・・・」
「でも、今日ライと話して、疑問に思ったり不安に思ったことをよく考えて解消し、迷いをなくせば良いんじゃないか、と助言を受けたのです。」
そう言えば、魔導師団長も、ライがすでにジキスムントに話しているって言ってたもんな。
「ふーん、その疑問や不安は解消できそうか?」
聞きながら、まあ、こいつのことだから何とかするだろう、楽勝だ、今日の仕事は終わりだな、と思っていると。
ジキスムントがひどく言いにくそうに、でも真剣な顔で話し始めた。
「それで、殿下。私の疑問や悩みを解消していただけますか?」
「?」
こいつの悩みの種は、なんと俺だった、、、。
言葉を尽くして、今後は心身ともに強い自分を目指すこと、臣下を使い捨てるような真似は、ましてや皇帝家の盾とまで呼ばれるロイス家の人間を粗末に扱う訳がないと説得し、ジキスムントには晴れやかな顔で感謝をされたが。
しかし。
数少ない信頼できる人物だと思っていた相手に悩みの種だなんて思われている俺は、なんなんだ?
秘かに落ち込んでいる俺に、ジキスムントは更にさらっと追撃してきた。
「そう言えば殿下。ライに聞いたのですが、あいつはディアナ嬢の側近のようです。」
今日も友人としては拒否されてしまいましたが、助言もして貰えたし、ディアナ嬢に私の話をしておくと言ってくれました。
また会えそうなことも分かったし、ディアナ嬢のお披露目の際に、声をかけてみようと思ってるんです。
ジキスムントは何でもないように言ってくるが、、、。
お前、それ、本人が教えてくれたのか?
俺より全然好意的じゃないか?そりゃあ、まあ、元の立ち位置が違うけどさ。
俺は更に落ち込んだのだった。
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