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皇宮での邂逅
エピソードⅣ オリヴィエ兄さまは葛藤中Ⅰ
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僕の名前はオリヴィエ・ハロルド・ヴァルゲンハイム。
我がオストマルク帝国を建国した英雄兄弟のうち、弟の直系子孫である、コンラート公爵家の跡継ぎだ。
コンラート公爵家の黄金の瞳こそ受け継がなかったものの、白金の髪に北海の蒼の瞳のはっきりとした美貌、魔力を始めとした多彩な才能、権威、権力、財力、、、人が望むありとあらゆるものを持つ僕は、ものごころ付いた頃にはもうモテモテだった。
老若男女貴賤を問わず、果ては犬猫に至るまで、僕の興味を引いて、落ちなかった生物はいなかったから、天使と呼ばれた僕が、内面はちょっと、いや、かなり傲慢でいけ好かない少年になっていたとしても、仕方のないことだろう?
あれは十歳を過ぎたかどうかという頃だった。
「うーん、流石にこれはちょっとまずいかな?」
いつも飄々としている父上が、僕を見て珍しくまじめな顔をしたと思ったら、、、暫くして、妙なのを連れてきた。
執務室で会ったそいつは、魔導師の真っ黒なマントを身にまとい、フードを深くかぶっているため、表情は全く分からない。
父上の隣り、執務机の脇に静かに立っていたそいつを、父上は意外な名前で紹介した。
「彼はアルフレート・ユリウス・グンダハール。帝国一の魔導師で、今は魔導師団長をしてもらっている。君の叔父にあたる方だよ。挨拶なさい。」
ふーん。大した事なさそうだけど。
心の中では馬鹿にしていたけど、僕はその男に向き直り、にこやかに笑んで挨拶をした。
礼儀作法をきちんとしていると、大人の、、、特にご婦人の受けがいいことは、小さい頃から分かっていたからね。
「オリヴィエ・ハロルド・ヴァルゲンハイムです。叔父様、お会いできて光栄です。以後お見知りおきを。」
優雅に、完璧に礼をして、頭を上げると。
「・・・」
そいつは頷いた、んだと思う。フードが微かに揺れたから。でも、そのまま僕を無視して父上に話しかけた。
「兄上、私に子供の面倒は・・・」
「そう言うなよ、アルフ。なまじ色々出来るし奥さんが甘やかしたから、こんなふうに育ってしまったが、結構いい魔力や素地を持ってると思うんだ。どんな扱いをしても構わないから、ちょっと鍛えてやってくれないか?」
「忙しいんですよ・・・」
「何言ってるんだ。日に何度もいなくなるって、宰相府にも報告が来てるぞ。」
「!それは・・・」
「お忙しい魔導師団長殿は、一体何処に行ってるんだろうなあ、アルフ?」
父上と叔父の話は続いていたが、僕は全く頭に入って来なかった。
この僕にあの態度は無いだろう!
この胡散臭い奴、、、本当に話に聞くあの美貌の天才魔導師なのか、、、そして、こいつを師と呼べと言うのか?
当時の僕は、神童と呼ばれていて、確かに教師はみんな及び腰だったけど、、、こんな無視するような態度を取られたことなんてなかったから、笑顔が保てないくらい腹が立った。
なのに。
「頼むよ、アルフ。お前の指示をあらゆる事に優先させるから。」
「・・・兄上がそこまで仰るなら・・・」
何故か父上は低姿勢で頼み込んでいて、いつの間にか、僕の師となることが決まってしまった。
溜め息を付きながらこっちを向く男。
くっそう、こうなったら、なんとしても追い出してやる。
叔父上、よろしくお願いします。
張り付けた笑顔で言いながら、心の中で誓った僕に向かって、そいつはフードを下ろしながら無愛想に言った。
「師匠だ。当面は叔父ではなく師匠と呼べ。」
やや俯いていた顔を上げて僕に視線を向ける、、、切れ長の瞳の煌めく黄金。
その瞬間を、僕は今でも忘れない。
あの頃、叔父は二十歳を少し回ったくらいだったろう。
確かに大人の男なのに。
陶器のように滑らかな肌、人形のような整った白皙の美貌。額にこぼれる艶めかしい黒髪。
その造形にコンラートの特徴を何一つ持たないのに、最も喧伝される黄金の瞳を持ち、笑顔一つ見せないのに、見るものを圧倒する魔性の美。
狭い世界でちやほやされ自信満々だった僕が、初めて敗北を感じた瞬間だった。
そしてそれは、残念なことに始まりに過ぎなかったのだ。
我がオストマルク帝国を建国した英雄兄弟のうち、弟の直系子孫である、コンラート公爵家の跡継ぎだ。
コンラート公爵家の黄金の瞳こそ受け継がなかったものの、白金の髪に北海の蒼の瞳のはっきりとした美貌、魔力を始めとした多彩な才能、権威、権力、財力、、、人が望むありとあらゆるものを持つ僕は、ものごころ付いた頃にはもうモテモテだった。
老若男女貴賤を問わず、果ては犬猫に至るまで、僕の興味を引いて、落ちなかった生物はいなかったから、天使と呼ばれた僕が、内面はちょっと、いや、かなり傲慢でいけ好かない少年になっていたとしても、仕方のないことだろう?
あれは十歳を過ぎたかどうかという頃だった。
「うーん、流石にこれはちょっとまずいかな?」
いつも飄々としている父上が、僕を見て珍しくまじめな顔をしたと思ったら、、、暫くして、妙なのを連れてきた。
執務室で会ったそいつは、魔導師の真っ黒なマントを身にまとい、フードを深くかぶっているため、表情は全く分からない。
父上の隣り、執務机の脇に静かに立っていたそいつを、父上は意外な名前で紹介した。
「彼はアルフレート・ユリウス・グンダハール。帝国一の魔導師で、今は魔導師団長をしてもらっている。君の叔父にあたる方だよ。挨拶なさい。」
ふーん。大した事なさそうだけど。
心の中では馬鹿にしていたけど、僕はその男に向き直り、にこやかに笑んで挨拶をした。
礼儀作法をきちんとしていると、大人の、、、特にご婦人の受けがいいことは、小さい頃から分かっていたからね。
「オリヴィエ・ハロルド・ヴァルゲンハイムです。叔父様、お会いできて光栄です。以後お見知りおきを。」
優雅に、完璧に礼をして、頭を上げると。
「・・・」
そいつは頷いた、んだと思う。フードが微かに揺れたから。でも、そのまま僕を無視して父上に話しかけた。
「兄上、私に子供の面倒は・・・」
「そう言うなよ、アルフ。なまじ色々出来るし奥さんが甘やかしたから、こんなふうに育ってしまったが、結構いい魔力や素地を持ってると思うんだ。どんな扱いをしても構わないから、ちょっと鍛えてやってくれないか?」
「忙しいんですよ・・・」
「何言ってるんだ。日に何度もいなくなるって、宰相府にも報告が来てるぞ。」
「!それは・・・」
「お忙しい魔導師団長殿は、一体何処に行ってるんだろうなあ、アルフ?」
父上と叔父の話は続いていたが、僕は全く頭に入って来なかった。
この僕にあの態度は無いだろう!
この胡散臭い奴、、、本当に話に聞くあの美貌の天才魔導師なのか、、、そして、こいつを師と呼べと言うのか?
当時の僕は、神童と呼ばれていて、確かに教師はみんな及び腰だったけど、、、こんな無視するような態度を取られたことなんてなかったから、笑顔が保てないくらい腹が立った。
なのに。
「頼むよ、アルフ。お前の指示をあらゆる事に優先させるから。」
「・・・兄上がそこまで仰るなら・・・」
何故か父上は低姿勢で頼み込んでいて、いつの間にか、僕の師となることが決まってしまった。
溜め息を付きながらこっちを向く男。
くっそう、こうなったら、なんとしても追い出してやる。
叔父上、よろしくお願いします。
張り付けた笑顔で言いながら、心の中で誓った僕に向かって、そいつはフードを下ろしながら無愛想に言った。
「師匠だ。当面は叔父ではなく師匠と呼べ。」
やや俯いていた顔を上げて僕に視線を向ける、、、切れ長の瞳の煌めく黄金。
その瞬間を、僕は今でも忘れない。
あの頃、叔父は二十歳を少し回ったくらいだったろう。
確かに大人の男なのに。
陶器のように滑らかな肌、人形のような整った白皙の美貌。額にこぼれる艶めかしい黒髪。
その造形にコンラートの特徴を何一つ持たないのに、最も喧伝される黄金の瞳を持ち、笑顔一つ見せないのに、見るものを圧倒する魔性の美。
狭い世界でちやほやされ自信満々だった僕が、初めて敗北を感じた瞬間だった。
そしてそれは、残念なことに始まりに過ぎなかったのだ。
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