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皇宮での邂逅
エピソードⅣ オリヴィエ兄さまは葛藤中Ⅴ
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「叔父上、ご無沙汰しています。懐かしいお友達を連れてきましたよ。是非、貴方の美しい奥方を紹介して下さい。」
そう言って腰をかがめてから顔を上げると。
「やっぱりオリヴィエ君か!?」
エレオノーレ様がパッと笑顔になって僕を見つめた。
同時にチッと舌打ちの音がしたが、、、気のせいだろうか?
思わず当たりを見回すと、エレオノーレ様がサッと叔父の手を握って、
「紹介してくれるか?アル。」と囁いた。
ははーん。
僕が良い笑顔で見つめると。叔父は、本当に嫌そうに口を開いた。
「エレオノーレ。お察しの通り、彼がオリヴィエ。ロデリック兄上の長男、コンラート卿だ。オリヴィエ、私の妻、バーベンベルク辺境伯のエレオノーレだ。」
型通りに指先に口づけて挨拶を交わそうとすると。
「エレオノーレ様、アルフレート様。お久しぶりですわ。」
今まで半歩下がって僕の陰にいた彼女が。
スッと僕の隣に並んだ。
「・・・シンシア・ヘルマン子爵令嬢?ロンヌ王国に留学した?」
エレオノーレ様が驚いたように呟く。
おっと。一瞬でもエスコートしている相手を疎かにしてはいけないな。僕は微笑みかけるべく彼女を見やり、、、驚いた。
ほんの一瞬だが、その表情には、強い感情、、、憎しみ?が浮かんでいたからだ。
でも、すぐに少し気だるげな微笑を湛えたいつもの表情に戻る。
気のせい?でも、見間違えのはずは、、、。
少し混乱した僕にお構いなく、彼女はエレオノーレ様の呟きを訂正した。
「今はシヴレー伯夫人ですの。向こうで結婚しまして。」
「あ、ああ、失礼した。世事に疎くて。それにしても・・・おめでとう。貴女は昔から人気があったから、夫君もさぞ鼻が高いだろう。」
男どもをそっちのけで会話が進んでいく。
「ええ、とても立派で、尊敬できる夫でした。」
「・・・でした?」
「二年前狩りの途中に事故で亡くなりましたの。思い出すのも辛くて、この国に逃げ帰ってしまいましたわ。」
でも今は素敵な友人が出来てだいぶ気も紛れました。
そう言いながら、当惑している僕を、艶をたたえた視線でなでる。
「最近、極親しくして頂いてますの、貴女の甥御様には。ね、オリヴィエ様。」
あ、これは。
女としての自分の価値を見せつける道具にされてる。
いつもなら、女性って仕方ないなあ、なんて思いながらも落ち着いていられるんだけど、でも、今回は違う。
相手の男は、叔父だ。
反応が気になって思わず叔父に視線を向けると。
叔父もまた、驚くほど強い視線で彼女を見ていた。
え?いつも他人に無関心が基本の叔父が、どうして?
「どうした、アル・・・」
僕の心の声が漏れたかのように、エレオノーレ様が声をかける。
笑顔を張り付けてはいるけれど、その声音には隠し切れない不安が滲んでいる。
でも、その声を遮るように。
「ちょっと彼女をお借りしても。コンラート卿?」
叔父は有無を言わせぬ口調で言うと、僕の腕から半ば無理やり彼女を引きはがし、バルコニーの方へと消えていった。
そう言って腰をかがめてから顔を上げると。
「やっぱりオリヴィエ君か!?」
エレオノーレ様がパッと笑顔になって僕を見つめた。
同時にチッと舌打ちの音がしたが、、、気のせいだろうか?
思わず当たりを見回すと、エレオノーレ様がサッと叔父の手を握って、
「紹介してくれるか?アル。」と囁いた。
ははーん。
僕が良い笑顔で見つめると。叔父は、本当に嫌そうに口を開いた。
「エレオノーレ。お察しの通り、彼がオリヴィエ。ロデリック兄上の長男、コンラート卿だ。オリヴィエ、私の妻、バーベンベルク辺境伯のエレオノーレだ。」
型通りに指先に口づけて挨拶を交わそうとすると。
「エレオノーレ様、アルフレート様。お久しぶりですわ。」
今まで半歩下がって僕の陰にいた彼女が。
スッと僕の隣に並んだ。
「・・・シンシア・ヘルマン子爵令嬢?ロンヌ王国に留学した?」
エレオノーレ様が驚いたように呟く。
おっと。一瞬でもエスコートしている相手を疎かにしてはいけないな。僕は微笑みかけるべく彼女を見やり、、、驚いた。
ほんの一瞬だが、その表情には、強い感情、、、憎しみ?が浮かんでいたからだ。
でも、すぐに少し気だるげな微笑を湛えたいつもの表情に戻る。
気のせい?でも、見間違えのはずは、、、。
少し混乱した僕にお構いなく、彼女はエレオノーレ様の呟きを訂正した。
「今はシヴレー伯夫人ですの。向こうで結婚しまして。」
「あ、ああ、失礼した。世事に疎くて。それにしても・・・おめでとう。貴女は昔から人気があったから、夫君もさぞ鼻が高いだろう。」
男どもをそっちのけで会話が進んでいく。
「ええ、とても立派で、尊敬できる夫でした。」
「・・・でした?」
「二年前狩りの途中に事故で亡くなりましたの。思い出すのも辛くて、この国に逃げ帰ってしまいましたわ。」
でも今は素敵な友人が出来てだいぶ気も紛れました。
そう言いながら、当惑している僕を、艶をたたえた視線でなでる。
「最近、極親しくして頂いてますの、貴女の甥御様には。ね、オリヴィエ様。」
あ、これは。
女としての自分の価値を見せつける道具にされてる。
いつもなら、女性って仕方ないなあ、なんて思いながらも落ち着いていられるんだけど、でも、今回は違う。
相手の男は、叔父だ。
反応が気になって思わず叔父に視線を向けると。
叔父もまた、驚くほど強い視線で彼女を見ていた。
え?いつも他人に無関心が基本の叔父が、どうして?
「どうした、アル・・・」
僕の心の声が漏れたかのように、エレオノーレ様が声をかける。
笑顔を張り付けてはいるけれど、その声音には隠し切れない不安が滲んでいる。
でも、その声を遮るように。
「ちょっと彼女をお借りしても。コンラート卿?」
叔父は有無を言わせぬ口調で言うと、僕の腕から半ば無理やり彼女を引きはがし、バルコニーの方へと消えていった。
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