帝国最強(最凶)の(ヤンデレ)魔導師は私の父さまです

波月玲音

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皇宮での邂逅

エピソードⅣ オリヴィエ兄さまは葛藤中Ⅳ

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その日宮中で開かれた舞踏会は陛下も出席する大きなものだった。
初めのうちはご令嬢たちと礼儀正しく踊ったり、顔を繋げておきたい大物貴族との社交に勤しんでいた僕は、頃合いを見て当時仲良くしていたご婦人と落ち合った。

彼女は帝都の社交界でも有名な洗練された美人で、僕でも落とすのに結構時間を掛けたから、連れて歩くのはちょっと鼻が高い。
未婚既婚を問わず、野郎どもの羨まし気な視線が心地よくて、僕は少し得意になりながら彼女とのダンスを終え、抜け出す機会を伺いながら広間の端で座って寛いでいた。

ふと気付くと。
いつもは何事にも気だるげな態度を取る彼女が、広間の一角に強い視線を向けている。
「?」
何があるのか?
興味を惹かれて視線の先を追うと。
そこには、叔父が見かけない貴婦人を連れて佇んでいた。

ああ、そう言えば父上が、今日の舞踏会にはバーベンベルク辺境伯も出席すると言ってたな。
叔父の言葉の端々に登場する、、、エレオノーレ様だっけ。
そう言えば僕は会ったことも、肖像画を見たことすら、無かったな。

僕の彼女も気にしているみたいだし、僕も興味がある。
僕は彼女の膝の上の手を、そっと握った。

「挨拶に行きたいなら、付き合いますよ。」
にっこり微笑めば、彼女はあら、と表情を取り繕った。
「え、ええ、そうね。あの方たちとは学園が一緒の時期で・・・魔導師団長夫妻が帝都で舞踏会に出るのは滅多にないことだから・・・」
ご挨拶しないとね。よろしくて?
扇で口元を隠して澄ました彼女に、僕は立ち上がって恭しく手を差し伸べた。

近づいてみると、エレオノーレ様は大した美人だった。
女性にしては大柄で、かかとのある靴を履いているせいか、背の高い叔父と目線が変わらない。
パッと目を引く紅い髪はハーフアップにしているので、艶やかな巻き毛が腰まで届いている。
一見肌の露出が控えめなドレスは、体の線に沿ったデザインが、却って彼女のスタイルの良さを際立たせている。
目鼻立ちは整っていて、きりっとした眉や高い鼻梁、意志を感じさせる口元は武人らしさを感じるが、叔父を見つめる大きくて切れ長の翠の瞳は温かい。
好みは分かれるところだが、女の子っぽい性格が苦手な男とか、征服欲の強い男には、多分すごく人気のあるタイプだろう。
などと観察しているうちに、叔父がこちらに視線を向けた。目が合う。

「・・・」
考えてみればあれ以来、三年以上一度も会っていないから、何て呼べばいいのか一瞬戸惑う。
言葉に詰まった僕を。
叔父は確かに視界に収めたはずなのに、フイッと視線を逸らせた。

「・・・!」
むかつく。いまだに僕を、もう世話をする必要のなくなった親戚の子供ガキだと思っているのか?
僕は彼女をエスコートしたままグイッと一歩近づき、叔父夫妻の目の前に立った。

エレオノーレ様が僕に気づき、目を見開く。そのままチラッと叔父に視線を向けた。
「アル、もしかして、彼・・・?」
叔父が何か言うより早く、僕はにっこり微笑んだ。
「叔父上、ご無沙汰しています。懐かしいお友達を連れてきましたよ。是非、貴方の美しい奥方を紹介して下さい。」



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エピソードⅣ、思っていたより字数があって、もう少しかかりそうなので、タイトル少し変更しました。
と言っても、後数話で終わり、新しい章に入ります。
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