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帝都のひと夏
コンラート公爵邸にてⅠ
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「では、私が両名をエスコートすると言う事で。」
立ち上がって近づいてきた伯父さまが、会心の笑みを浮かべつつ私の手を取った。
ここはコンラート公爵邸。
母さまやルー兄さまは昨日帝都に着いたばかりだからお疲れだと思うんだけど、今後の事があるからって、お昼の衣装合わせの後、早速晩餐を兼ねて訪ねることになったの。
今はお茶の時間を兼ねて、応接室で三日後に迫ったお茶会のエスコート役をお願いしていたところ。
「いやぁ、嬉しいね、ディーちゃん。そして、ルーファス君もよろしくね。」
立ち上がった私たちを座らせつつ、ルー兄さまと握手する。
「バーベンベルク辺境伯家の秘蔵っ子二人がとうとう帝都でお披露目!
帝国中の貴族の注目が集まっているこの会で、常に帝都に居る私たちコンラート公爵家の人脈を生かしてもらうのは当然だよ。」
うんうん。
とってもご機嫌で頷いている。
「もし男女別行動になるような時は、ルーファス君はオリヴィエに任せよう。若い官僚や有望な高位貴族の子息に顔が効くから色々挨拶できるよ。」
「過分なお気遣い、有難うございます、宰相閣下。」
いつの間にか肩を叩かれ、にこにこ話しかけられて、ルー兄さまが緊張気味にお礼を言っている。
慣れてしまった私と違い、ルー兄さまは現役の宰相閣下の気さくな態度に驚いているのね。
「もっと親しく、伯父様って呼んで欲しいな。いや、この色彩や見た感じはコンラートの血が濃い。うちの子に貰って、何ならお父様と呼んでもらっても。オリヴィエの弟として可愛がるけど。」
にこり。伯父さまは何とも人の好さそうな顔をする。
ルー兄さまは困って口籠っているけど、気にしてはダメよ、兄さま。
うちの子発言は、私が初めて挨拶した時もしてたもの。
「ルー兄さま、騙されちゃダメ。伯父さまは私に初めて会った時も同じことを仰ったわ。」
そう言いながら伯父さまをちょっと睨むと。
兄さまは明らかにホッとし、伯父さまは大仰に悲しがって見せた。
「ごめんね、二人ともあんまり可愛いものだから、つい・・・。伯父さまの家はオリヴィエだけだろう?寂しいんだよ・・・」
「そんなこと仰っても騙されません。でも、エスコートはよろしくお願いします。伯父さま。」
さっさと流して次の話題に移ると。
兄さまは目を見開いてから、微かに頷いた。
何となく対応の仕方を飲み込んだみたい。
その様子を見て、伯父さまは今度は満足そうに頷いた。
「うんうん、いいね、ルーファス君。君は人の機微に本当に聡い。宮中を仕切る役人向きだよ。是非、学問を終えたら、私の秘書になって欲しいね。」
「それは・・・いずれは・・・」
「そうか、では・・・」
相変わらず、自分のペースでぐいぐい来る伯父さま。
兄さまは頑張ってるけど限度がある。
父さまと母さまは何か二人で真面目な顔して話していてこっちを見ていないし。
困ったな。
そう言えば、以前はこんな時はオリヴィエ兄さまが必ずフォローしてくれてたのに、、、。
そう思って見回すと。
ボーっとこちらを見ているオリヴィエ兄さまと目が合った。
「?」
見てるんなら助けてくれてもいいのにな。
私が小首をかしげると、オリヴィエ兄さまはハッとして、、、そのまま固まってしまった。
眉を寄せて、すごく厳しいお顔をしている。
おかしい。
オリヴィエ兄さまは基本笑顔の人だ。
目が合って微笑まないなんて有り得ない。
でも、そう言えば。
私は思い出す。
一昨日、初めてドレス姿でご挨拶した時もこんな感じだった気がする。
何?
何々?
ディアナのドレス姿って若い男の人には受けが良くないの?
お祖母さまや父さま母さまは褒めてくれたけど、実は年配受けする格好とか?
分からない。
この間見た皇太子殿下のお茶会の子たちのドレスと、そんなに違わないと思うんだけど。
あ。
若しかして、まだあまり伸びてないこの髪がおかしい?
それとも仕草が田舎っぽいとか?
え、どうしよう?
じわじわと広がる不安に、まだ慣れない私の魔力がぞわっと反応する。
すると。
魔力のせいか、珍しく父さまが気付いてサッと立ち上がった。
「兄上、ルーが困ってるので、本日はその辺で。ルーは、貴族子弟としての振る舞いで気になっていることがあれば今のうちにオリヴィエに教えてもらいなさい。オリヴィエ、いいな?」
「あ、え、ええ。ルーファス君、じゃあ晩餐まで僕の私室にでも行こうか。」
すごい。父さまが仕切ってる。
びっくりして見ていると。
「ああ、オリヴィエ。ライも連れて行ってくれるか?こいつはルーの従者として暫く一緒に行動をすることになるから、今までの事を適当に教えておいてくれ。」
父さまが、ソファの後ろに立っているライの姿のマックス殿下を目線で示した。
オリヴィエ兄さまはちょっと驚いたようにライの姿のマックス殿下を見て、、、
「ああ、姿は同じなのに、漏れる魔力のせいか・・・やっぱり違うものですね。」
妙に納得して頷いた。
「分かりましたよ。いつもながらのいい加減な指示だけど受けましょう。取り敢えず行こうか、ルーファス君にライ君。それで、君の父上ってバーベンベルクでもこんな感じなの・・・」
気を取り直したのかいつもの調子になったオリヴィエ兄さまが二人を連れて部屋を出る。
ぱたんと扉が閉まり。
気付くと子供は私だけ。
えーっ、どうしたらいいの?
困っていると。
父さまが近づいてきた。
ディーは別の人にお願いしてあるから、今から行こう?
そう言って、私の手を取る。
「え?ちょっと・・・」
慌てて母さまを見るけど、にこにこしている。
「行っといで。私からよろしくと言っておいて。」
あ、これは。
断れないやつだ。
観念して父さまの手を握ると。
次の瞬間。
「これはこれは、お待ちしておりましたよ。いつぞやの少年ならぬお嬢様。」
私の前には皇宮で怪我をしたとき来てくれた女魔導師さんが居た。
立ち上がって近づいてきた伯父さまが、会心の笑みを浮かべつつ私の手を取った。
ここはコンラート公爵邸。
母さまやルー兄さまは昨日帝都に着いたばかりだからお疲れだと思うんだけど、今後の事があるからって、お昼の衣装合わせの後、早速晩餐を兼ねて訪ねることになったの。
今はお茶の時間を兼ねて、応接室で三日後に迫ったお茶会のエスコート役をお願いしていたところ。
「いやぁ、嬉しいね、ディーちゃん。そして、ルーファス君もよろしくね。」
立ち上がった私たちを座らせつつ、ルー兄さまと握手する。
「バーベンベルク辺境伯家の秘蔵っ子二人がとうとう帝都でお披露目!
帝国中の貴族の注目が集まっているこの会で、常に帝都に居る私たちコンラート公爵家の人脈を生かしてもらうのは当然だよ。」
うんうん。
とってもご機嫌で頷いている。
「もし男女別行動になるような時は、ルーファス君はオリヴィエに任せよう。若い官僚や有望な高位貴族の子息に顔が効くから色々挨拶できるよ。」
「過分なお気遣い、有難うございます、宰相閣下。」
いつの間にか肩を叩かれ、にこにこ話しかけられて、ルー兄さまが緊張気味にお礼を言っている。
慣れてしまった私と違い、ルー兄さまは現役の宰相閣下の気さくな態度に驚いているのね。
「もっと親しく、伯父様って呼んで欲しいな。いや、この色彩や見た感じはコンラートの血が濃い。うちの子に貰って、何ならお父様と呼んでもらっても。オリヴィエの弟として可愛がるけど。」
にこり。伯父さまは何とも人の好さそうな顔をする。
ルー兄さまは困って口籠っているけど、気にしてはダメよ、兄さま。
うちの子発言は、私が初めて挨拶した時もしてたもの。
「ルー兄さま、騙されちゃダメ。伯父さまは私に初めて会った時も同じことを仰ったわ。」
そう言いながら伯父さまをちょっと睨むと。
兄さまは明らかにホッとし、伯父さまは大仰に悲しがって見せた。
「ごめんね、二人ともあんまり可愛いものだから、つい・・・。伯父さまの家はオリヴィエだけだろう?寂しいんだよ・・・」
「そんなこと仰っても騙されません。でも、エスコートはよろしくお願いします。伯父さま。」
さっさと流して次の話題に移ると。
兄さまは目を見開いてから、微かに頷いた。
何となく対応の仕方を飲み込んだみたい。
その様子を見て、伯父さまは今度は満足そうに頷いた。
「うんうん、いいね、ルーファス君。君は人の機微に本当に聡い。宮中を仕切る役人向きだよ。是非、学問を終えたら、私の秘書になって欲しいね。」
「それは・・・いずれは・・・」
「そうか、では・・・」
相変わらず、自分のペースでぐいぐい来る伯父さま。
兄さまは頑張ってるけど限度がある。
父さまと母さまは何か二人で真面目な顔して話していてこっちを見ていないし。
困ったな。
そう言えば、以前はこんな時はオリヴィエ兄さまが必ずフォローしてくれてたのに、、、。
そう思って見回すと。
ボーっとこちらを見ているオリヴィエ兄さまと目が合った。
「?」
見てるんなら助けてくれてもいいのにな。
私が小首をかしげると、オリヴィエ兄さまはハッとして、、、そのまま固まってしまった。
眉を寄せて、すごく厳しいお顔をしている。
おかしい。
オリヴィエ兄さまは基本笑顔の人だ。
目が合って微笑まないなんて有り得ない。
でも、そう言えば。
私は思い出す。
一昨日、初めてドレス姿でご挨拶した時もこんな感じだった気がする。
何?
何々?
ディアナのドレス姿って若い男の人には受けが良くないの?
お祖母さまや父さま母さまは褒めてくれたけど、実は年配受けする格好とか?
分からない。
この間見た皇太子殿下のお茶会の子たちのドレスと、そんなに違わないと思うんだけど。
あ。
若しかして、まだあまり伸びてないこの髪がおかしい?
それとも仕草が田舎っぽいとか?
え、どうしよう?
じわじわと広がる不安に、まだ慣れない私の魔力がぞわっと反応する。
すると。
魔力のせいか、珍しく父さまが気付いてサッと立ち上がった。
「兄上、ルーが困ってるので、本日はその辺で。ルーは、貴族子弟としての振る舞いで気になっていることがあれば今のうちにオリヴィエに教えてもらいなさい。オリヴィエ、いいな?」
「あ、え、ええ。ルーファス君、じゃあ晩餐まで僕の私室にでも行こうか。」
すごい。父さまが仕切ってる。
びっくりして見ていると。
「ああ、オリヴィエ。ライも連れて行ってくれるか?こいつはルーの従者として暫く一緒に行動をすることになるから、今までの事を適当に教えておいてくれ。」
父さまが、ソファの後ろに立っているライの姿のマックス殿下を目線で示した。
オリヴィエ兄さまはちょっと驚いたようにライの姿のマックス殿下を見て、、、
「ああ、姿は同じなのに、漏れる魔力のせいか・・・やっぱり違うものですね。」
妙に納得して頷いた。
「分かりましたよ。いつもながらのいい加減な指示だけど受けましょう。取り敢えず行こうか、ルーファス君にライ君。それで、君の父上ってバーベンベルクでもこんな感じなの・・・」
気を取り直したのかいつもの調子になったオリヴィエ兄さまが二人を連れて部屋を出る。
ぱたんと扉が閉まり。
気付くと子供は私だけ。
えーっ、どうしたらいいの?
困っていると。
父さまが近づいてきた。
ディーは別の人にお願いしてあるから、今から行こう?
そう言って、私の手を取る。
「え?ちょっと・・・」
慌てて母さまを見るけど、にこにこしている。
「行っといで。私からよろしくと言っておいて。」
あ、これは。
断れないやつだ。
観念して父さまの手を握ると。
次の瞬間。
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私の前には皇宮で怪我をしたとき来てくれた女魔導師さんが居た。
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