帝国最強(最凶)の(ヤンデレ)魔導師は私の父さまです

波月玲音

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帝都のひと夏

最強の魔導師の恐怖と幸福

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次からの話の詰めがまだ終わらないので、ストーリーに入らないことをちょこっと書きます。



男子部屋にてⅦでルーファス君がベットで悪態を付きながら寝てしまってから数時間後の魔導師団長殿です。

「ん・・・」
ベッドにエレオノーレを横たえると、彼女は微かに声を漏らした。
しかしそのまま気持ちよさそうに眠ってしまう。

私は枕元に座り、広がった髪を軽く梳きながら、深く眠る彼女の静かな横顔をじっと見つめた。

先ほどまで一糸まとわぬ姿で乱れていたとは思えぬ健やかな寝姿。
疲れているとは分かっていたけれど、十日以上離れていたのは初めてであり、結局抱きつぶしてしまった。
反省を込めて浴室で体を清め、新しい寝衣を着せて、新しいシーツの上に横たえたけれど、、、本当はまだ足りない。
「君が眠りを必要としなければいいのに・・・」
言っても詮無いことは分かっているけれどつい呟いてしまう。

大事に大事にして。
体の隅々まで、髪の毛一筋や爪の先まで確認し、少しでも傷があれば跡形もなくなるまで消して。
もちろん彼女が気にしていた日焼けも消して。
私の魔力を体に浸み込ませ、血の巡りに乗せて、内部の傷みを消して。
そうして出来うる限り彼女の肉体を形作るものの再生力を高めても、、、百年も保たずに彼女はこの世からいなくなってしまう。
例えそのままの姿を真空のガラスの棺に入れたとしても、あの優しい眼差しが得られないのなら、温かい吐息を感じられないのなら、何の意味があるだろう。

夜半に一人、いつも感じる恐怖。離れていたから今日はひとしおだ。

彼女がいる現在いまが貴重で、一時も無駄にしたくない。
瞳を閉じる必要が、眠る必要があるのだろうか?

「エレオノーレ・・・起きて・・・」
思わず縋りつくように囁きかけると。

「う、ん・・・アル?」
一瞬目を開けた彼女が、私を見てふわりと笑い手を差し伸べ、、、その指先を受け止めると、安心したようにまた目を閉じてしまった。

眠っている時だからこそ見せる無防備な愛情の吐露。

先ほどまで不安で空虚だった部分が、満たされていく。

「やっぱり眠っていて下さい。エレオノーレ。」
私はその指先に軽く口づけると、そっと隣に身を横たえた。
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