帝国最強(最凶)の(ヤンデレ)魔導師は私の父さまです

波月玲音

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帝都のひと夏

キレイになったタイミングで色々ついてたみたいです。

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伯父さまに手を預けながら、さっきまで無かった、ほんのわずかな違和感を感じる。
伯父さまに手を触れたほんの一瞬、私のものではない魔力が私から立ち上り、性別確認、年齢確認、血統確認、意図確認、保護解除、、、そんな感じのことを確認して消えていった、、、気がする。
異質な魔力、、、まさか、でも。
私は母さまの方に向きかけた父さまのローブの袖を引く。
「どうした?ディー。」
「ね、父さま。私に何かしてない?もしかして、こっそり魔術掛けてる?」
「・・・なんでそんな事を聞く?」
間があった。なんかアヤシイ。
ジーッと父さまを見つめていると、父さまはスッと視線を逸らせた。何事かとこちらを向いた伯父さまも何だか怪しいと思ったみたい。
「おいおい、アルフ。変なもの掛けて騒ぎを起こすのはやめてくれよ。お前と違ってディーちゃんは女の子なんだから。どんな細かい事でも、おかしな噂の種になる事は避ける、それが未婚のご令嬢の鉄則だ。」
「大したものは掛けてない。婚約前のエレオノーレに掛けていた程度で・・・」
言い淀む父さま。伯父さまは溜め息を吐いて言った。
「今すぐ全部解きなさい。」
「いや、でも、エレオノーレには・・・」
「彼女は特別だ。アルフ、お前、そんなことしてるとディーちゃんに口をきいてもらえなくなるよ。良いのか?」
せっかく出ようとしたのに立ち止まった私たちの会話を聞いて、母さまも兄さま方も口々に諫めてくる。
「アル、本当に掛けてるのか?すぐに止めてくれ。あれ、すごく困ったんだぞ?」
母さまが珍しい女辺境伯の正装で腕を組めば。
「叔父さん、懲りないね~。魔力開放しているディーちゃんにばれない訳ないでしょ。ほんと、そういう変に過保護な男親をたくさん見てきたけど、確実にみんなご令嬢から嫌われるんだよね。」
それもいい気味だけど。捨て台詞付きでオリヴィエ兄さまがにこやかに微笑む。
「父上、流石にディアナが可哀想です。私もあの子の事は気にかけるようにしますから。」
オスカー兄上が困ったように言えば。
「あーあ、だから親父はダメなんだ。このダメ親父。」
さっきはあんな微妙な顔をしていたフィン兄さままで、復活してダメ出しをしてきた。
そして最後に。
「皆さん言いすぎです。でも、父上、心配する気持ちも分かりますが、ディアナを信じてあげて下さい。俺の事はそうやって見守ってくれているではないですか?」
ルー兄さまの思いやり溢れる一言にうなだれて。
「ルーがそこまで言うなら・・・」
父さまはそっと私の頭を撫でた。
途端に。
パリン、パリンパリン。
結構な量の魔術陣が、ポッと一瞬輝いては消えて行き、、、。
「なになに・・・対武器防御、対体術防御、対物防御、対魔術防御、対悪意防御、対好意防御、、、おい、クソ親父、対好意防御ってなんだ?」
「滅茶苦茶ですね・・・エレオノーレ様がお気の毒すぎて涙が出ます。」
「そんなものが少女時代の私に掛かっていたのか・・・流石に引くな。」
「フン、こんなの基本だ。少女のエレオノーレにはもう少し掛けていた。」
「はぁ?」
最後の、はぁ?は私、ディアナの発言です。
難しい言葉は分からないけど、でも、私にだって浮かぶ魔術陣が持つ性質と効果は感じることが出来る。
「もう、父さまったら、なにが大したものは掛けてない、よ!これじゃお茶会に出る意味無いじゃない!」
酷い!もうお茶会の間は寄って来ないで!
思わず叫んだ私に。
「ディー!そんな・・・」
「ほら見ろ。こうなるって言っただろう、アルフ。さあ、もう行かないと、これ以上皆さんも陛下もお待たせできないよ。」

最後を良い笑顔の伯父さまが締め、今度こそコンラート公爵一行は控室を出たのでした。
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