173 / 241
帝都のひと夏
キレイになったタイミングで色々ついてたみたいです。
しおりを挟む
伯父さまに手を預けながら、さっきまで無かった、ほんのわずかな違和感を感じる。
伯父さまに手を触れたほんの一瞬、私のものではない魔力が私から立ち上り、性別確認、年齢確認、血統確認、意図確認、保護解除、、、そんな感じのことを確認して消えていった、、、気がする。
異質な魔力、、、まさか、でも。
私は母さまの方に向きかけた父さまのローブの袖を引く。
「どうした?ディー。」
「ね、父さま。私に何かしてない?もしかして、こっそり魔術掛けてる?」
「・・・なんでそんな事を聞く?」
間があった。なんかアヤシイ。
ジーッと父さまを見つめていると、父さまはスッと視線を逸らせた。何事かとこちらを向いた伯父さまも何だか怪しいと思ったみたい。
「おいおい、アルフ。変なもの掛けて騒ぎを起こすのはやめてくれよ。お前と違ってディーちゃんは女の子なんだから。どんな細かい事でも、おかしな噂の種になる事は避ける、それが未婚のご令嬢の鉄則だ。」
「大したものは掛けてない。婚約前のエレオノーレに掛けていた程度で・・・」
言い淀む父さま。伯父さまは溜め息を吐いて言った。
「今すぐ全部解きなさい。」
「いや、でも、エレオノーレには・・・」
「彼女は特別だ。アルフ、お前、そんなことしてるとディーちゃんに口をきいてもらえなくなるよ。良いのか?」
せっかく出ようとしたのに立ち止まった私たちの会話を聞いて、母さまも兄さま方も口々に諫めてくる。
「アル、本当に掛けてるのか?すぐに止めてくれ。あれ、すごく困ったんだぞ?」
母さまが珍しい女辺境伯の正装で腕を組めば。
「叔父さん、懲りないね~。魔力開放しているディーちゃんにばれない訳ないでしょ。ほんと、そういう変に過保護な男親をたくさん見てきたけど、確実にみんなご令嬢から嫌われるんだよね。」
それもいい気味だけど。捨て台詞付きでオリヴィエ兄さまがにこやかに微笑む。
「父上、流石にディアナが可哀想です。私もあの子の事は気にかけるようにしますから。」
オスカー兄上が困ったように言えば。
「あーあ、だから親父はダメなんだ。このダメ親父。」
さっきはあんな微妙な顔をしていたフィン兄さままで、復活してダメ出しをしてきた。
そして最後に。
「皆さん言いすぎです。でも、父上、心配する気持ちも分かりますが、ディアナを信じてあげて下さい。俺の事はそうやって見守ってくれているではないですか?」
ルー兄さまの思いやり溢れる一言にうなだれて。
「ルーがそこまで言うなら・・・」
父さまはそっと私の頭を撫でた。
途端に。
パリン、パリンパリン。
結構な量の魔術陣が、ポッと一瞬輝いては消えて行き、、、。
「なになに・・・対武器防御、対体術防御、対物防御、対魔術防御、対悪意防御、対好意防御、、、おい、クソ親父、対好意防御ってなんだ?」
「滅茶苦茶ですね・・・エレオノーレ様がお気の毒すぎて涙が出ます。」
「そんなものが少女時代の私に掛かっていたのか・・・流石に引くな。」
「フン、こんなの基本だ。少女のエレオノーレにはもう少し掛けていた。」
「はぁ?」
最後の、はぁ?は私、ディアナの発言です。
難しい言葉は分からないけど、でも、私にだって浮かぶ魔術陣が持つ性質と効果は感じることが出来る。
「もう、父さまったら、なにが大したものは掛けてない、よ!これじゃお茶会に出る意味無いじゃない!」
酷い!もうお茶会の間は寄って来ないで!
思わず叫んだ私に。
「ディー!そんな・・・」
「ほら見ろ。こうなるって言っただろう、アルフ。さあ、もう行かないと、これ以上皆さんも陛下もお待たせできないよ。」
最後を良い笑顔の伯父さまが締め、今度こそコンラート公爵一行は控室を出たのでした。
伯父さまに手を触れたほんの一瞬、私のものではない魔力が私から立ち上り、性別確認、年齢確認、血統確認、意図確認、保護解除、、、そんな感じのことを確認して消えていった、、、気がする。
異質な魔力、、、まさか、でも。
私は母さまの方に向きかけた父さまのローブの袖を引く。
「どうした?ディー。」
「ね、父さま。私に何かしてない?もしかして、こっそり魔術掛けてる?」
「・・・なんでそんな事を聞く?」
間があった。なんかアヤシイ。
ジーッと父さまを見つめていると、父さまはスッと視線を逸らせた。何事かとこちらを向いた伯父さまも何だか怪しいと思ったみたい。
「おいおい、アルフ。変なもの掛けて騒ぎを起こすのはやめてくれよ。お前と違ってディーちゃんは女の子なんだから。どんな細かい事でも、おかしな噂の種になる事は避ける、それが未婚のご令嬢の鉄則だ。」
「大したものは掛けてない。婚約前のエレオノーレに掛けていた程度で・・・」
言い淀む父さま。伯父さまは溜め息を吐いて言った。
「今すぐ全部解きなさい。」
「いや、でも、エレオノーレには・・・」
「彼女は特別だ。アルフ、お前、そんなことしてるとディーちゃんに口をきいてもらえなくなるよ。良いのか?」
せっかく出ようとしたのに立ち止まった私たちの会話を聞いて、母さまも兄さま方も口々に諫めてくる。
「アル、本当に掛けてるのか?すぐに止めてくれ。あれ、すごく困ったんだぞ?」
母さまが珍しい女辺境伯の正装で腕を組めば。
「叔父さん、懲りないね~。魔力開放しているディーちゃんにばれない訳ないでしょ。ほんと、そういう変に過保護な男親をたくさん見てきたけど、確実にみんなご令嬢から嫌われるんだよね。」
それもいい気味だけど。捨て台詞付きでオリヴィエ兄さまがにこやかに微笑む。
「父上、流石にディアナが可哀想です。私もあの子の事は気にかけるようにしますから。」
オスカー兄上が困ったように言えば。
「あーあ、だから親父はダメなんだ。このダメ親父。」
さっきはあんな微妙な顔をしていたフィン兄さままで、復活してダメ出しをしてきた。
そして最後に。
「皆さん言いすぎです。でも、父上、心配する気持ちも分かりますが、ディアナを信じてあげて下さい。俺の事はそうやって見守ってくれているではないですか?」
ルー兄さまの思いやり溢れる一言にうなだれて。
「ルーがそこまで言うなら・・・」
父さまはそっと私の頭を撫でた。
途端に。
パリン、パリンパリン。
結構な量の魔術陣が、ポッと一瞬輝いては消えて行き、、、。
「なになに・・・対武器防御、対体術防御、対物防御、対魔術防御、対悪意防御、対好意防御、、、おい、クソ親父、対好意防御ってなんだ?」
「滅茶苦茶ですね・・・エレオノーレ様がお気の毒すぎて涙が出ます。」
「そんなものが少女時代の私に掛かっていたのか・・・流石に引くな。」
「フン、こんなの基本だ。少女のエレオノーレにはもう少し掛けていた。」
「はぁ?」
最後の、はぁ?は私、ディアナの発言です。
難しい言葉は分からないけど、でも、私にだって浮かぶ魔術陣が持つ性質と効果は感じることが出来る。
「もう、父さまったら、なにが大したものは掛けてない、よ!これじゃお茶会に出る意味無いじゃない!」
酷い!もうお茶会の間は寄って来ないで!
思わず叫んだ私に。
「ディー!そんな・・・」
「ほら見ろ。こうなるって言っただろう、アルフ。さあ、もう行かないと、これ以上皆さんも陛下もお待たせできないよ。」
最後を良い笑顔の伯父さまが締め、今度こそコンラート公爵一行は控室を出たのでした。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
わんこ系婚約者の大誤算
甘寧
恋愛
女にだらしないワンコ系婚約者と、そんな婚約者を傍で優しく見守る主人公のディアナ。
そんなある日…
「婚約破棄して他の男と婚約!?」
そんな噂が飛び交い、優男の婚約者が豹変。冷たい眼差しで愛する人を見つめ、嫉妬し執着する。
その姿にディアナはゾクゾクしながら頬を染める。
小型犬から猛犬へ矯正完了!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる