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帝都のひと夏
兄妹パジャマパーティⅥ帝都の夜空は
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「綺麗……」
ただ今、帝都の夜空を絶賛堪能中。
満月を過ぎたばかりの月はシャンパンゴールドに輝き、晴れ渡った夜空には涼しい風が吹いている。月を背に見上げれば満天の星空。時折風に乗ってレースのような薄い雲が通り過ぎていく。
下は貴族街。大きな区画に屋敷がきれいに立ち並び、門や玄関先には明りが付いている。中には部屋にも明りが灯っている屋敷もぽつぽつある。シーズン終盤とは言え帝都に住まう貴族もいるし、何処かで夜会は開かれているから、起きている人は結構いそうね。
「最近は夜に出ても天気の確認以外で空を見上げることなんて無かったよ・・・うん、たまには良いもんだな。」
取り敢えず屋敷の上空に佇んでいると、隣にすーっとオスカー兄上が近付いてきた。
「兄上はよくお出かけするの?」
いいなーいいなー、と唇を尖らせると、にこにこしながら頭を撫でられた。
「私は魔術は全然だから、フィンに連れて貰ってたまにね。でも、大概は仕事みたいなものだよ?こんな可愛い女の子と一緒に出掛けたことも無いし。」
でも女の子の夜歩きは本当に危ないから、今日は私に護衛させておくれ。
そう言われて首を傾げた。
「空の散歩でも、危ないの?」
「もちろん!」
そう言ったのは、追いついてきたフィン兄さまだ。ルー兄さまの手を握りながら少し離れて止まると、周りを見回しながら教えてくれた。
「だって中級魔導師以上なら、空中は飛べるからね。皇宮の敷地内は父上の結界の為に飛べないけど、昼間も、目立つからあまり見ないけど、夜は結構その辺を飛んでいたりするよ?」
中級魔導師以上、というだけならそんなに多くは無いし国で管理は出来ているけれど、このローブのように、魔力の少ない人間でも飛べる魔道具も無いわけではないので、悪い人も中にはいるんだそうだ。
「知られてないけど、帝都の夜空は警邏の魔導師や使い魔が巡回しているよ?例えば・・・ほら。」
フィン兄さまが差す方角を見つめる。暗いから良く見えないけど、、、確かに魔力の動きを感じる。
「ディーなら、見たい、と思えば見れるんじゃないかな?」
そう言われてもう一度目を凝らすと、、、スッと視界が切り替わった。
身体は動いてないのに、視覚だけがぐんぐんその方角に進んでいる感じ。すぐに、黒ローブの二人組を見つけた。
何か話しながら辺りを見回し、ゆっくりと飛んでいる。
「あ、ほんとだ!」
そう言うと同時に向こうもこちらに気付いたみたい。ビクッと動いてから、こっちを向いて今度は忙しなく何か話し始めた。
「あー、ディーの魔力は強いから気付いちゃったね。あいつらがこっちに来る前に行こうか?」
「え?兄さま?」
「わっ!」
そう言うと、フィン兄さまは私と兄上のローブの袖をささっとつかみ、転移した。
ただ今、帝都の夜空を絶賛堪能中。
満月を過ぎたばかりの月はシャンパンゴールドに輝き、晴れ渡った夜空には涼しい風が吹いている。月を背に見上げれば満天の星空。時折風に乗ってレースのような薄い雲が通り過ぎていく。
下は貴族街。大きな区画に屋敷がきれいに立ち並び、門や玄関先には明りが付いている。中には部屋にも明りが灯っている屋敷もぽつぽつある。シーズン終盤とは言え帝都に住まう貴族もいるし、何処かで夜会は開かれているから、起きている人は結構いそうね。
「最近は夜に出ても天気の確認以外で空を見上げることなんて無かったよ・・・うん、たまには良いもんだな。」
取り敢えず屋敷の上空に佇んでいると、隣にすーっとオスカー兄上が近付いてきた。
「兄上はよくお出かけするの?」
いいなーいいなー、と唇を尖らせると、にこにこしながら頭を撫でられた。
「私は魔術は全然だから、フィンに連れて貰ってたまにね。でも、大概は仕事みたいなものだよ?こんな可愛い女の子と一緒に出掛けたことも無いし。」
でも女の子の夜歩きは本当に危ないから、今日は私に護衛させておくれ。
そう言われて首を傾げた。
「空の散歩でも、危ないの?」
「もちろん!」
そう言ったのは、追いついてきたフィン兄さまだ。ルー兄さまの手を握りながら少し離れて止まると、周りを見回しながら教えてくれた。
「だって中級魔導師以上なら、空中は飛べるからね。皇宮の敷地内は父上の結界の為に飛べないけど、昼間も、目立つからあまり見ないけど、夜は結構その辺を飛んでいたりするよ?」
中級魔導師以上、というだけならそんなに多くは無いし国で管理は出来ているけれど、このローブのように、魔力の少ない人間でも飛べる魔道具も無いわけではないので、悪い人も中にはいるんだそうだ。
「知られてないけど、帝都の夜空は警邏の魔導師や使い魔が巡回しているよ?例えば・・・ほら。」
フィン兄さまが差す方角を見つめる。暗いから良く見えないけど、、、確かに魔力の動きを感じる。
「ディーなら、見たい、と思えば見れるんじゃないかな?」
そう言われてもう一度目を凝らすと、、、スッと視界が切り替わった。
身体は動いてないのに、視覚だけがぐんぐんその方角に進んでいる感じ。すぐに、黒ローブの二人組を見つけた。
何か話しながら辺りを見回し、ゆっくりと飛んでいる。
「あ、ほんとだ!」
そう言うと同時に向こうもこちらに気付いたみたい。ビクッと動いてから、こっちを向いて今度は忙しなく何か話し始めた。
「あー、ディーの魔力は強いから気付いちゃったね。あいつらがこっちに来る前に行こうか?」
「え?兄さま?」
「わっ!」
そう言うと、フィン兄さまは私と兄上のローブの袖をささっとつかみ、転移した。
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