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帝都のひと夏
カレンブルクのお茶会へようこそ(ディアナは居心地が悪いⅢいつの間にか恋敵になっている理不尽さ)
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振り返った先に居たのは同い年くらいの可愛らしいご令嬢だった。
柔らかそうなチョコレートブラウンの髪に、榛色の瞳、ちょっと利かん気そうなこの子は、確か、、、
「ティル、挨拶も無しに会話に割り込むなんて、無作法だぞ。」
私が何か言う前に、ジキスムント君の窘めるような声がした。見ると、さっきまでの動揺はどこへ、厳しい眼差しで近づいたご令嬢を見据えている。
どうやら、ご令嬢の口撃から、私を守ろうとしてくれてるみたい。
でもね、、、。
「ジキス兄さま、ひどいわ!ティルはただ、ちょっとご注意申し上げただけなのに・・・」
「挨拶も交わす前に、何の注意をすると言うんだ?」
ああ、もうやめて、ジキスムント君。ご令嬢が涙目になってしまったじゃない。
「ひどい、兄さまはいつもそうやってティルに厳しいんだから!」
「礼儀を欠く行動を注意しただけだ。ティルこそ、なんでそうやってすぐに泣いて誤魔化そうとする?」
どうにも居心地の悪い私を尻目に、二人は口喧嘩を始めてしまった。
手持無沙汰なまま、仕方ないのでぼんやり見ているうちに、何だか親しみがわいてきた。幼馴染だけあって口ゲンカも息が合っているの。にらみ合う姿が、まるで私とルー兄さまみたい。
そう思ったら、ご令嬢のことも何だか親しく思えて、私はにこっと彼女に微笑みかけながら立ち上がった。
「では、ご挨拶いたしましょうよ。私、ディアナ・グンタハールと申します。バーベンベルク辺境伯の第四子ですわ。どうぞ仲良くしてくださいな。」
ご令嬢にカーテシーをする。
顔を上げると、彼女はちょっと驚いたようだった。
「バーベンベルクのディアナ嬢・・・貴女なのね・・・」
「?何か仰って?」
「いえ。」
何ごとかを呟いて、何故か一瞬睨んできた彼女は、直ぐに表情を取り繕って綺麗な笑みを浮かべた。
「ご挨拶が遅れました。マティルデ・ド・リーニュと申します。リューネブルク侯の第一子ですわ。」
帝都貴族のリューネブルク侯爵家に相応しい美しいカーテシー。
このご令嬢、フェリクス殿下のお茶会では私のこと田舎者、って言ってたけれど。挨拶したし、少しは仲良くなれると良いんだけどな。
でも、そんな私の淡い期待は全くの無駄だったみたい。
マティルデさまはつい、とジキスムント君の側により、その腕に細い腕を絡めてから、私に挑発するように微笑んだ。
「ジキス兄さま・・・ああ、失礼いたしました。つい、いつもの癖で。ロイス卿とは母を通して従兄妹になりますのよ?幼い頃からとーっても仲良しなんですの。ね、ジキス兄さま。」
ああ、これ。
恋敵認定されてる。
これじゃお友達は無理ね、、、。
笑顔を保ちつつ内心がっかりしている私をよそに、二人は攻防を続けていた。
「おい、ティル、やめるんだ・・・」
「母が会えるのを楽しみにしていましたのに、兄さまも伯母さまも寄り道されて、私どものテーブルにいらっしゃらないんですもの。仕方なく私が迎えに来ましたのよ?」
言いながらぐいぐいとジキスムント君の腕を引っ張っている。もちろんあの細い腕では何の意味も無いだろうけど、無下にも出来ず、ジキスムント君は顔をしかめた。
「その腕を離せ。母はともかく、俺の席は元々此処で・・・」
「もうこちらでのお話は済みましたでしょう?ねえ、伯母さま!」
マティルデさまはジキスムント君が腕を離そうとするのに一層しがみつきながら、今度はロイス侯夫人に向かって声を掛けた。
私もつい振り返ってみると。
ロイス侯夫人はいつの間にか、満面の笑みで私たちを見つめていた。
「あらあら、まあまあ、やだわ、うふふ。」
あの一見意味の無い言葉がいっそ怖いわ、、、。
ついそんな事を考えていると、ロイス侯夫人はルー兄さまにエスコートさせて立ち上がり、さっさとこちらにやってきた。
「マティルデちゃん、御機嫌よう。お義姉様を待たせてはいけないわね。皆様、私はこれで失礼致しますわ。さ、ジキスちゃんも行くのよ。」
「母上だけ行ってください。私の席は此処なんです。」
「何言ってるの。叔母様にご挨拶しないなんて失礼よ。それに、学園に入ったらマティルデちゃんとも中々会えなくなるんだから、今のうちに沢山仲良くしておかないと。」
「その必要は…だから、母上、ティル、やめろって!」
ジキスムント君は私をチラチラ見ながら、一生懸命抵抗しているんだけど、お母様に幼馴染の従妹では、どうにも分が悪いみたい。
私ももう少し話したいんだけど、仕方ない。
「うちの兄ともまだゆっくり話してませんものね?席、取っておきますわ。どうぞ挨拶してらして?」
そう言ってにっこり微笑みかけると。
「あら、やるわね。」とロイス侯夫人に扇で肩を軽くたたかれ、「んまあ!」とマティルデさまに睨みつけられ。
なぜがジキスムント君は「分かった。すぐ戻る。」と言いながらほんのり頬を染めて。
余りの反応の違いに驚く私を他所に、三人は足早に去って行った。
柔らかそうなチョコレートブラウンの髪に、榛色の瞳、ちょっと利かん気そうなこの子は、確か、、、
「ティル、挨拶も無しに会話に割り込むなんて、無作法だぞ。」
私が何か言う前に、ジキスムント君の窘めるような声がした。見ると、さっきまでの動揺はどこへ、厳しい眼差しで近づいたご令嬢を見据えている。
どうやら、ご令嬢の口撃から、私を守ろうとしてくれてるみたい。
でもね、、、。
「ジキス兄さま、ひどいわ!ティルはただ、ちょっとご注意申し上げただけなのに・・・」
「挨拶も交わす前に、何の注意をすると言うんだ?」
ああ、もうやめて、ジキスムント君。ご令嬢が涙目になってしまったじゃない。
「ひどい、兄さまはいつもそうやってティルに厳しいんだから!」
「礼儀を欠く行動を注意しただけだ。ティルこそ、なんでそうやってすぐに泣いて誤魔化そうとする?」
どうにも居心地の悪い私を尻目に、二人は口喧嘩を始めてしまった。
手持無沙汰なまま、仕方ないのでぼんやり見ているうちに、何だか親しみがわいてきた。幼馴染だけあって口ゲンカも息が合っているの。にらみ合う姿が、まるで私とルー兄さまみたい。
そう思ったら、ご令嬢のことも何だか親しく思えて、私はにこっと彼女に微笑みかけながら立ち上がった。
「では、ご挨拶いたしましょうよ。私、ディアナ・グンタハールと申します。バーベンベルク辺境伯の第四子ですわ。どうぞ仲良くしてくださいな。」
ご令嬢にカーテシーをする。
顔を上げると、彼女はちょっと驚いたようだった。
「バーベンベルクのディアナ嬢・・・貴女なのね・・・」
「?何か仰って?」
「いえ。」
何ごとかを呟いて、何故か一瞬睨んできた彼女は、直ぐに表情を取り繕って綺麗な笑みを浮かべた。
「ご挨拶が遅れました。マティルデ・ド・リーニュと申します。リューネブルク侯の第一子ですわ。」
帝都貴族のリューネブルク侯爵家に相応しい美しいカーテシー。
このご令嬢、フェリクス殿下のお茶会では私のこと田舎者、って言ってたけれど。挨拶したし、少しは仲良くなれると良いんだけどな。
でも、そんな私の淡い期待は全くの無駄だったみたい。
マティルデさまはつい、とジキスムント君の側により、その腕に細い腕を絡めてから、私に挑発するように微笑んだ。
「ジキス兄さま・・・ああ、失礼いたしました。つい、いつもの癖で。ロイス卿とは母を通して従兄妹になりますのよ?幼い頃からとーっても仲良しなんですの。ね、ジキス兄さま。」
ああ、これ。
恋敵認定されてる。
これじゃお友達は無理ね、、、。
笑顔を保ちつつ内心がっかりしている私をよそに、二人は攻防を続けていた。
「おい、ティル、やめるんだ・・・」
「母が会えるのを楽しみにしていましたのに、兄さまも伯母さまも寄り道されて、私どものテーブルにいらっしゃらないんですもの。仕方なく私が迎えに来ましたのよ?」
言いながらぐいぐいとジキスムント君の腕を引っ張っている。もちろんあの細い腕では何の意味も無いだろうけど、無下にも出来ず、ジキスムント君は顔をしかめた。
「その腕を離せ。母はともかく、俺の席は元々此処で・・・」
「もうこちらでのお話は済みましたでしょう?ねえ、伯母さま!」
マティルデさまはジキスムント君が腕を離そうとするのに一層しがみつきながら、今度はロイス侯夫人に向かって声を掛けた。
私もつい振り返ってみると。
ロイス侯夫人はいつの間にか、満面の笑みで私たちを見つめていた。
「あらあら、まあまあ、やだわ、うふふ。」
あの一見意味の無い言葉がいっそ怖いわ、、、。
ついそんな事を考えていると、ロイス侯夫人はルー兄さまにエスコートさせて立ち上がり、さっさとこちらにやってきた。
「マティルデちゃん、御機嫌よう。お義姉様を待たせてはいけないわね。皆様、私はこれで失礼致しますわ。さ、ジキスちゃんも行くのよ。」
「母上だけ行ってください。私の席は此処なんです。」
「何言ってるの。叔母様にご挨拶しないなんて失礼よ。それに、学園に入ったらマティルデちゃんとも中々会えなくなるんだから、今のうちに沢山仲良くしておかないと。」
「その必要は…だから、母上、ティル、やめろって!」
ジキスムント君は私をチラチラ見ながら、一生懸命抵抗しているんだけど、お母様に幼馴染の従妹では、どうにも分が悪いみたい。
私ももう少し話したいんだけど、仕方ない。
「うちの兄ともまだゆっくり話してませんものね?席、取っておきますわ。どうぞ挨拶してらして?」
そう言ってにっこり微笑みかけると。
「あら、やるわね。」とロイス侯夫人に扇で肩を軽くたたかれ、「んまあ!」とマティルデさまに睨みつけられ。
なぜがジキスムント君は「分かった。すぐ戻る。」と言いながらほんのり頬を染めて。
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