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四章 ―― 夢と空の遺跡 ――
空 4 『テトラ』
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⑤
「はぁう!?」
がばりとベッドから起き上がる。
石でできた天井。岩盤の壁。淡い照明灯に見知らぬ室内が照らされていた。
「よ、良かった。生きてる……ってかここ、どこ?」
照明灯は壁に沿うよう、横一直線に通っている。それに照らされタンスやソファーが壁沿いに置かれている。
ベッドの向かいには大きめの鏡が設置され、私の驚いている顔が映し出されていた。
まるで洞窟の中に家具を敷き詰めたみたいな……っていうかそのままなんだけど、とにかくそんな空間だ。
こんな部屋、私は知らない。
「にー?」
ベッドの足元の辺りから変な鳴き声が上がる。
つられて目線を移した瞬間、それを見つけてしまった。それだけ、目立つ存在だった。
「か、可愛い……なにこれ?」
それはピンク色の子ブタだった。小ぶりなメロンくらいの大きさで大きな耳が目立っている。つぶらな瞳で私の事を見つめていて、鼻をすんすんしていた。
どことなく、私が昔持っていた貯金箱のブタを連想させる。
背中に白い翼が付いているけど、絶対飛べないと確信できるくらいに小さい。
「にー!!」
どうやら眠っていたらしい。口を大きく広げ欠伸をしたブタは耳を大きく広げる。
耳から半透明な羽が飛び出してきた。
蝶の羽を思わせる形だけど、身体と繋がってない。その羽が白く輝きだしてブタは浮かび上がった。
「……そっちで飛ぶんかーい」
もうよく分かんない。私の理解を超えた生き物だ。謎の子ブタはしばらく私の回りをぐるぐる旋回した後に、部屋から繋がる洞窟の奥へと消えていった。
「……あっちが出口かな。っていうか、なんなのこの状況」
状況が理解できないまま、ベッドから抜け出し立ち上がる。
……服や身体には異常なし。エアちゃんの策略にハマった時のままだ。
っていうか何アレ。悪ふざけで二度目の人生終わるとか死んでも死にきれないんですけど。
「目、覚めた?」
洞窟の奥から透き通るような声が聞こえ、そちらに目を移す。
薄紫に黒のラインが入ったローブを着た魔族が部屋の照明に照らされていた。
「綺麗……」
自然とこぼれ落ちていた。
そのくらい、私の目の前に立つ女性は綺麗な人だった。
長い銀髪が足首のあたりまで伸びていて、真っ白な肌と合わせて眩しいくらい輝いているように感じる。
人と変わらない見た目だけど、私が魔族だと思ったのには理由がある。
その女性の額には、一本の長い角が生えていたからだ。
「妖精《フェアリー》が騒ぎだしたから来てみたけど、……よかった。元気そうね」
綺麗な女の人がニコリと微笑む。え、笑顔が眩しい。目が眩みそう。
ってか妖精《フェアリー》って言った? もしかしてさっきのブタのこと?
え、アレ妖精《フェアリー》なの?
「怪我はないと思うよ。……多分。あなたは?」
「私はユニコーン種のテトラ。空から落ちていたあなたを拾ったの」
ユニコーン種! 珍しい。ってか初めて見た。多分街には居ない種だ。
「あ、ありがとう。助けてくれたんだ」
「あなた、翼もないのになんで空を飛んでたの? たまたま見かけたから良かったけど、危なかったわ」
「あはは……それは諸処の事情がありまして」
エアは後で説教だ。命の尊さについて懇々と語ってやる。
「ふぅん。……ま、いいわ。身体が大丈夫そうならもう帰る? 送っていくわよ」
「というか状況が分かってなくて……ここってどこなの?」
洞窟に家具が詰め込まれた部屋を見わたす。
「私のおうちよ。第三区画《ブルシャン》の南にある川を越えた森の辺り」
濁流川を越えた辺りだ。
「この辺りも、魔族が住んでるんだね。他にも誰か住んでるの?」
洞窟の奥に目を凝らすと、うっすらと灯りが見える。この先にも部屋があるのだろう。
私の質問にテトラは首を振る。
「ここに住んでるのは、私と妖精《フェアリー》だけよ。さっき見かけたでしょう? 元々妖精《フェアリー》が住んでいた洞窟を間借りしてるの」
「なんかそれも楽しそうだけど……でも、なんでこんな所に住んでるの?」
他人のお家について、こんな所と言ってしまったけど本当にそうだ。
ブルシャンの居住区にもまだ空きがあったはずだから、そっちに住めばいいのに。
テトラは私をじっと見つめ、洞窟の奥へと、くるりと身体を向ける。長い髪がふわりと舞った。
「お茶を煎れるわ。お話するなら、向こうで話しましょう」
テトラはそう言って、スタスタと歩いていってしまった。
「はぁう!?」
がばりとベッドから起き上がる。
石でできた天井。岩盤の壁。淡い照明灯に見知らぬ室内が照らされていた。
「よ、良かった。生きてる……ってかここ、どこ?」
照明灯は壁に沿うよう、横一直線に通っている。それに照らされタンスやソファーが壁沿いに置かれている。
ベッドの向かいには大きめの鏡が設置され、私の驚いている顔が映し出されていた。
まるで洞窟の中に家具を敷き詰めたみたいな……っていうかそのままなんだけど、とにかくそんな空間だ。
こんな部屋、私は知らない。
「にー?」
ベッドの足元の辺りから変な鳴き声が上がる。
つられて目線を移した瞬間、それを見つけてしまった。それだけ、目立つ存在だった。
「か、可愛い……なにこれ?」
それはピンク色の子ブタだった。小ぶりなメロンくらいの大きさで大きな耳が目立っている。つぶらな瞳で私の事を見つめていて、鼻をすんすんしていた。
どことなく、私が昔持っていた貯金箱のブタを連想させる。
背中に白い翼が付いているけど、絶対飛べないと確信できるくらいに小さい。
「にー!!」
どうやら眠っていたらしい。口を大きく広げ欠伸をしたブタは耳を大きく広げる。
耳から半透明な羽が飛び出してきた。
蝶の羽を思わせる形だけど、身体と繋がってない。その羽が白く輝きだしてブタは浮かび上がった。
「……そっちで飛ぶんかーい」
もうよく分かんない。私の理解を超えた生き物だ。謎の子ブタはしばらく私の回りをぐるぐる旋回した後に、部屋から繋がる洞窟の奥へと消えていった。
「……あっちが出口かな。っていうか、なんなのこの状況」
状況が理解できないまま、ベッドから抜け出し立ち上がる。
……服や身体には異常なし。エアちゃんの策略にハマった時のままだ。
っていうか何アレ。悪ふざけで二度目の人生終わるとか死んでも死にきれないんですけど。
「目、覚めた?」
洞窟の奥から透き通るような声が聞こえ、そちらに目を移す。
薄紫に黒のラインが入ったローブを着た魔族が部屋の照明に照らされていた。
「綺麗……」
自然とこぼれ落ちていた。
そのくらい、私の目の前に立つ女性は綺麗な人だった。
長い銀髪が足首のあたりまで伸びていて、真っ白な肌と合わせて眩しいくらい輝いているように感じる。
人と変わらない見た目だけど、私が魔族だと思ったのには理由がある。
その女性の額には、一本の長い角が生えていたからだ。
「妖精《フェアリー》が騒ぎだしたから来てみたけど、……よかった。元気そうね」
綺麗な女の人がニコリと微笑む。え、笑顔が眩しい。目が眩みそう。
ってか妖精《フェアリー》って言った? もしかしてさっきのブタのこと?
え、アレ妖精《フェアリー》なの?
「怪我はないと思うよ。……多分。あなたは?」
「私はユニコーン種のテトラ。空から落ちていたあなたを拾ったの」
ユニコーン種! 珍しい。ってか初めて見た。多分街には居ない種だ。
「あ、ありがとう。助けてくれたんだ」
「あなた、翼もないのになんで空を飛んでたの? たまたま見かけたから良かったけど、危なかったわ」
「あはは……それは諸処の事情がありまして」
エアは後で説教だ。命の尊さについて懇々と語ってやる。
「ふぅん。……ま、いいわ。身体が大丈夫そうならもう帰る? 送っていくわよ」
「というか状況が分かってなくて……ここってどこなの?」
洞窟に家具が詰め込まれた部屋を見わたす。
「私のおうちよ。第三区画《ブルシャン》の南にある川を越えた森の辺り」
濁流川を越えた辺りだ。
「この辺りも、魔族が住んでるんだね。他にも誰か住んでるの?」
洞窟の奥に目を凝らすと、うっすらと灯りが見える。この先にも部屋があるのだろう。
私の質問にテトラは首を振る。
「ここに住んでるのは、私と妖精《フェアリー》だけよ。さっき見かけたでしょう? 元々妖精《フェアリー》が住んでいた洞窟を間借りしてるの」
「なんかそれも楽しそうだけど……でも、なんでこんな所に住んでるの?」
他人のお家について、こんな所と言ってしまったけど本当にそうだ。
ブルシャンの居住区にもまだ空きがあったはずだから、そっちに住めばいいのに。
テトラは私をじっと見つめ、洞窟の奥へと、くるりと身体を向ける。長い髪がふわりと舞った。
「お茶を煎れるわ。お話するなら、向こうで話しましょう」
テトラはそう言って、スタスタと歩いていってしまった。
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