[R18]2度目の人生でスローライフ?ハーレムだっていいじゃないか

白猫 おたこ

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第一章 拠点作り

第4話:至福の夕餉と「味」への渇望


【星空のステーキと、職人の目覚め】
 湖畔に夜の帳が下りる頃、拠点の予定地にはパチパチとはぜる焚き火の音が響いていた。
 ケンタロウは、自作の石組みの炉の前に腰を下ろし、慣れた手つきで角兎(ホーンラビット)の肉を串に刺していた。
 本来なら、革職人である彼は解体した後の「毛皮」の処理に意識が向くはずだったが、今この瞬間だけは、腹の虫がそれを許さなかった。

「……まずは、最低限の味付けだな」

 交易所で手に入れた安価な粗塩を、切り分けた肉に薄く振る。
炭火の熱が肉の繊維を締め、脂が溶け出して火に滴るたび、香ばしい匂いが鼻腔をくすぐる。
 表面がこんがりときつね色に焼け上がったところで、ケンタロウは熱々の肉に噛りついた。

「――っ、熱いな……。だが、美味い」

 噛みしめるたびに、溢れ出すような肉汁が口の中に広がる。
顎に伝わる弾力、鼻に抜ける風味、そして空腹が満たされていく充足感。
現実の身体は眠っているはずなのに、脳は確かに「生命」を摂取していると錯覚していた。
 しかし、数口食べ進めるうちに、職人の鋭い舌は再び「物足りなさ」を感知し始める。

(肉質はいい。……だが、塩だけじゃあ、この野性味を活かしきれていないな)

 この肉には、かすかな「草の香り」がある。もう少しパンチのあるスパイスか、香りの強いハーブがあれば、化けるはずだ。

「塩も……もっとまろやかな、素材の甘みを引き出すような塩が欲しい」

 ふと、昼間に森を歩いた時の光景を思い出す。川の合流地点の近くに、ハーブによく似た香りのする薬草があった。
あの岩場の赤い実を粉末にすれば、胡椒の代わりになるのではないか。

「ハーブに、スパイス。それに、塩か……」

 一介の革職人が、調味料の自作にまで手を広げる。
効率を重視するプレイヤーが見れば「時間の無駄だ」と一蹴するだろう。
だが、ケンタロウにとっては、これこそが「最高のモノを作る」ための不可欠な工程だった。

「革を鞣すにも、良い水と薬品が要る。料理を作るにも、良い塩とスパイスが要る。……結局、根っこは同じなんだな」

 彼は自家製の木のコップに汲んだ湖の水を煽った。
バツイチになってから、食事はいつも適当なものばかりだった。
誰のためでもなく、ただ自分の欲望に従って「最高の味」を追求する贅沢が、今の彼には何よりの活力になっていた。

「明日は朝から、あの森のハーブを試しに採りに行こう。ついでに、弓の素材になりそうな若木も目星をつけておかなければな」

 ケンタロウは焚き火に薪を放り込んだ。火の粉が夜空へと舞い上がり、星々に吸い込まれていく。
 この世界は、彼が思っていたよりもずっと広く、「こだわりがい」に満ちていた。
 翌朝。
霧の晴れた湖畔に、システムのアナウンスが静かに響いた。

『タンニン鞣しが完了しました』

 ケンタロウは跳ねるように起き上がり、銀鱗松で作った鞣し樽へと駆け寄った。
 蔓を解き、蓋を開ける。鼻を突くのは、アイアンオークの樹皮から出た渋い、それでいて生命力に満ちた香りだ。

「……来たか」

 水の中から引き上げたのは、昨日までの生々しい「皮」ではない。
 タンニンが繊維の奥まで浸透し、しなやかさと強靭さを兼ね備えた、赤茶色の「革」へと変貌を遂げていた。
 彼はその革を清流ですすぎ、余分な成分を洗い流す。
水に濡れた革は、ずっしりと重く、それでいて指を押し返すような弾力がある。

「いい……。現実の牛革とはまた違う、この世界独自の密度だ」

 乾燥台に広げ、陰干しにする。乾けば、いよいよ「ケンタロウ作」の第一号となる革製品――新しい弓のグリップや、ナイフの鞘、そして工房で使うための頑丈なエプロンを作ることができるだろう。
 革が乾くまでの間、彼は昨日誓った通り、森へと向かった。
 腰には自作の肉剥ぎヘラを鍛え直した短剣、そして背には、ガタの来ている村長から譲り受けた『狩人の弓』。

「ハーブと、スパイス……。それと、新しい『俺の弓』の骨格。まとめて手に入れてやる」

 48歳の職人の目は、少年のように輝いていた。
【ケンタロウのスキル熟練度】
• レザークラフト:Lv.16 (15/100) [+40] Level Up! ※初のタンニン鞣し成功
• 解体:Lv.10 (70/100)
• 木工:Lv.7 (75/100)
• 鍛冶:Lv.5 (60/100)
• 採取・伐採:
• 伐採:Lv.4 (20/100)
• 採取:Lv.4 (37/100) [+22]
• キャンプ:Lv.2 (10/100)
• 弓:Lv.1 (85/100)
• 短剣:Lv.1 (40/100)
• 建築:Lv.1 (80/100)
• 料理:Lv.1 (72/100) [+32] ※角兎の炭火焼き
• 追跡:Lv.1 (45/100)
• 体力向上:Lv.1 (90/100)
• 目利き:Lv.1 (85/100)
• 接着・加工:Lv.1 (45/100)
• 道具鑑定:Lv.1 (20/100)
• 味覚研磨(新規取得):Lv.1 (18/100) [+18]
• 薬草学(新規取得):Lv.1 (15/100) [+15]
• 自然探索(新規取得):Lv.1 (34/100) [+34]
【新規取得スキル】
• 味覚研磨:VR世界の味覚再現から、素材の微細な味の違いを見抜く。
• 薬草学:食用・実用可能な植物の知識を体系化し始める。
• 自然探索:周囲の地形や植生を効率よく把握する。

【設定資料・状況の確認】
• 成果:フォレスト・ディアの「革」が完成(現在乾燥中)。
• 目標:新装備(自作の弓)の製作と、料理を彩る「塩・ハーブ」の確保。
• 拠点:工房としての体裁が整いつつある。
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