[R18]2度目の人生でスローライフ?ハーレムだっていいじゃないか

白猫 おたこ

文字の大きさ
93 / 129
第四章 やりたい事……。

第86話: 神域の産声、至高の炉に魂を焼べて

しおりを挟む
 世界樹の頂に位置する健太郎の工房「神域」は、かつてない熱量に包まれていた。
 周囲の空気は、結衣が放つ『聖灰の調律』によって極限まで圧縮・安定され、金色の火花が散る炉の熱気を、職人の作業に最適な温度へと固定している。

「主、準備は整いました。……私のすべてを、あなたの炎に捧げます」

 アイリスはいつもと違い厳かに、その美しくも鋭い姿を健太郎の傍らに横たえていた。
 彼女の言葉は、単なる武器としての応答ではない。魂の根源から湧き上がる、健太郎への絶対的な信頼と献身。

 健太郎は、手にした槌の重みを確かめる。修行の果てに辿り着いた「鉄の声」を聞く境地。
今、彼の目には、炉の中で溶解を待つ『日没の聖金』が、まるで生き物のように鼓動しているのが見えていた。

「ああ、いくぞ。……アイリス、結衣。俺たちにしか打てない、至高の一張りを」

 健太郎が『陽光の魔石』を炉の心臓部へと叩き込んだ。
 刹那、工房全体が爆発的な黄金の光に飲み込まれる。それは視界を奪う光ではなく、生命の輝きそのものだった。
白銀の液体へと変化した『日没の聖金』が、アイリスの核(コア)を包み込み、溶け合うように同調していく。

 健太郎の槌が振り下ろされる。

 ――キンッ。

 神域の静寂を切り裂く、高く澄んだ音。それは物質が変形する音ではなく、魂が形を変える産声だった。
 健太郎の視界には、アイリスの内部構造が血管のように赤く脈動して見えている。どこを叩けば彼女が痛み、どこを叩けば彼女が喜ぶのか。指先から伝わる振動が、それを明確に告げていた。

「(もっと……もっと奥まで、主の熱を届けてく……!)」

 アイリスの念話が、健太郎の脳内に直接響く。それはもはや官能的ですらあった。
 一打ちごとに、アイリスという存在が再構築されていく。
結衣が捧げる魔力が、その接合面を滑らかに繋ぎ、神域の加護が硬度を極限まで高めていく。
 だが、その至高の儀式が最高潮に達しようとした瞬間だった。
 空中に、見たこともない漆黒のシステムウィンドウが、健太郎の視界を遮るように無理やり割り込んできた。

『警告:全プレイヤーへ告ぐ。緊急システムアップデートを施行する』

「……っ!? なんだ、このタイミングで!」

 健太郎の動きが止まる。いや、止めるしかなかった。
 世界樹が激しく揺れ、神域を構成するマナの供給が、目に見えて遮断されていく。

『通告:現在の『Infinite Realm』において、一部プレイヤーによる技術・素材の独占、および武器聖霊との過度な同調により、ゲームバランスが運営の想定を大幅に逸脱した。これは、職人たちの研鑽に対する敬意を払いつつも、世界の崩壊を防ぐための「調整」である』

 ウィンドウに流れる文字は、暗に健太郎を指していた。
 現実の技術がゲームシステムを追い越し、神域という隔離された環境で、運営ですら制御不能な「神具」が産まれようとしている。それをシステムが「異常」として検知したのだ。

『運営より挑戦状を送る。
 諸君、三日間の休息を取れ。
 我々はこの三日間で、君たちが作り出した「理外の力」を受け入れられるよう、世界の殻を拡張する。
 再開後、君たちの「至高」が、この拡張された世界で通用するかを証明せよ』

「ふざけるな……あと少しなんだ……アイリスが、今!」

 健太郎が叫ぶが、意識は急速に遠のいていく。
 アイリスの姿が粒子となって霧散し、彼女が最後に「主……待っています」と微笑んだのが見えた。

『アップデート期間:現実時間にて72時間。
 これより全プレイヤーを強制ログアウトさせる』

 視界が真っ白に染まり、健太郎の意識は現実世界へと引き戻された。

【健太郎(三神健太郎) スキル熟練度】
 ■ 生産系スキル
 • 神域の鍛造:(35/100) → (55/100) (+20 UP)
 • 鉄の声(聞き分け):(80/100) → (95/100) (+15 UP)
 • 魔石同調精錬:(40/100) → (52/100) (+12 UP)
 • 神金属加工:(10/100) → (30/100) (+20 UP)
 ■ 戦闘系スキル
 • 槌術(極):(20/100) → (25/100) (+5 UP)
 • 魔力循環(戦闘用):(60/100) → (65/100) (+5 UP)
 ■ 身体強化系スキル
 • 不眠不休の集中:(70/100) → (85/100) (+15 UP)
 • 神域の加護(身体):(40/100) → (45/100) (+5 UP)
 ■ 特殊スキル
 • 魂の銘(ネーミング):(0/100) NEW!
 • 世界樹の主:(90/100) (維持)
【アイリス スキル熟練度】
 • 真価覚醒(進行度):(20%) → (50%) (+30% UP)
 • 主への絶対同調:(80/100) → (95/100) (+15 UP)
【結衣 スキル熟練度】
 • 聖灰の調律:(50/100) → (70/100) (+20 UP)
 • 炉の管理巫女(称号的スキル):(0/100) NEW!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...