[R18]2度目の人生でスローライフ?ハーレムだっていいじゃないか

白猫 おたこ

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第六章 新しい同居人はJK⁉︎

第136話:【モモの素材とは?】

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 碧い雷が収まり、周囲に焦げた大気の匂いと、砕け散った銀色の鱗がキラキラと雪のように舞い落ちる。

 エリカは、ラプトルだった「何か」の前に立ち尽くし、自分の手元を凝視していた。藍色の剣は、まだ彼女の想いの残滓を受けて微かに震えている。

「どうだ? エリカ?」

 俺が静かに声をかけると、彼女の肩がビクッと跳ねた。
 ゆっくりと振り返ったその顔は、戦う前の生意気なギャルのものでも、戦闘中の猛々しい戦士のものでもない。

「……健太郎さん。ウチ……」

 エリカの瞳から、ポロポロと涙が溢れ出した。
 彼女は剣を鞘に収めるのも忘れ、俺の方へふらふらと歩み寄ると、そのまま俺の胸に全力で飛び込んできた。

「すごかった……! ウチ、あんなに熱くなったの初めてや……っ。身体の中が、ずっと『ぬちゅぬちゅ…』って震えて、健太郎さんの指が奥まで入ってきてるみたいに……雷が、止まらへんかった……っ!」

「おい、エリカ。結衣も桃子も見てるぞ」

 俺が困惑して宥めようとするが、彼女は俺のシャツを握りしめて離さない。
その体温は驚くほど高く、碧い雷の名残か、触れている俺の指先までパチリと痺れるような感覚が伝わってくる。

「いいじゃん健太郎さん、今日はエリカちゃんの記念日なんだから!」

 結衣が横から、からかうように笑いながら近づいてきた。

「でも、本当にすごかったね。想いの力であそこまでやっちゃうなんて。健太郎さんが言った通り、魔力ってマジで『愛』のエネルギーなんじゃない?」

「おじさん……恵梨香ちゃん、本当におじさんの『作品』になっちゃったんだね」

 桃子もどこか羨ましそうに、熱に浮かされたような親友の姿を見守っている。
 俺は、エリカの背中に手を置き、落ち着かせるようにゆっくりと叩いた。

「……想いの力を見せてもらった。いい試し斬りだったぞ、エリカ」

「……うんっ。ウチ、一生……この剣と、健太郎さんから離れへんからな……!」

 エリカは俺の胸に顔を埋めたまま、「きゅうっ…」と喉を鳴らした。
 その時、俺の視界の中で「鑑定眼」が歪み、新たな光を放ち始めた。倒されたラプトルの死骸から、今まで見えなかった『本質』が浮かび上がる。

「……これは、ただの素材じゃないな」

 俺は胸に縋り付くエリカを優しく引き剥がし、霧散し始めたラプトルの残骸へと歩み寄った。
進化したばかりの「鑑定眼」が、死骸の胸元あたりで、一箇所だけ異様なほど濃い魔力を放つ一点を捉えている。
 手を差し入れると、そこにあったのは硬い鱗でも鋭い爪でもなかった。
 それは、透き通った銀色の液体を内側に閉じ込めた、拳大の『拍動する心臓(コア)』だった。

「健太郎さん、それ何……? 生きてるみたいにピクピク動いてるけど」

 結衣が顔を寄せて、不思議そうに覗き込んでくる。

「霧銀の心核だ。ラプトルの素早さと、あの鱗を動かす力を中継していた機関だろうな。……これがあれば、ただの防具を『意志を持つ防具』へ昇華させられるかもしれない」

 俺がその心核を手に取ると、驚いたことにそれは俺の指先の熱に反応し、「きゅうぅっ…」と愛おしげに収縮した。まるで、俺の「愛撫」の技術をその核自体が理解しているかのような反応だ。

「……すごっ。健太郎さんが触ると、素材までトロトロになっちゃうんだね」

 結衣が少し呆れたように、でも誇らしげに笑う。

「エリカ、お前の雷をこの心核の素材を使って、さらに『鞣し』直してやる。そうすれば、あの雷をもっと自在に操れるようになるはずだ」

「……ほんま!? ウチ、もっと健太郎さんと一つになれるん?」

 エリカの瞳が、再び期待と熱量で潤む。
 その横で、桃子が少しだけ寂しそうに、自分の革の小手を握りしめていた。

「いいなぁ……恵梨香ちゃん。私も、おじさんに新しく鞣し直してほしい……」

「ふふ、モモちゃん。健太郎さんのことだから、ちゃんと順番に考えてくれてるよ。ね? 健太郎さん」

 結衣が俺の腰をツンと突き、砕けた口調で同意を求めてくる。

「……ああ。順番だ。次は桃子、お前の番だな。この深部で、お前の想いに応える素材を必ず見つけてやる」

 俺は、手に残る心核の微かな拍動を感じながら、この深淵に眠るさらなる素材への探求心を燃やした。

「よし、もう数体ラプトルを狩るぞ。エリカ、今度は爆発させないでくれよ? 心核や鱗が吹き飛んだら、せっかくの素材が台無しだ」

「分かってるって、健太郎さん! 今のはちょっと……想いがあふれすぎて、加減が分からんかっただけやもん」

 エリカは頬を染めて、少し照れくさそうに碧い雷の残滓を剣に収めた。でも、その瞳は獲物を求める肉食獣のように、すでに次の霧の揺らぎを捉えている。

 俺は「鑑定眼」で周囲の霧を透かし見ながら、冷静に指示を飛ばす。

「健太郎さん、厳しいなぁ。でも、素材のためならしゃあないか。……ウチ、今度はもっと『ねちょっ』とした、絡みつくような想いで斬ってみるわ」

「ちょっと、エリカちゃん! 表現がエッチすぎるってば!」

 モモが笑いながら突っ込みを入れ、結衣はポーションを俺たちの武器に振りかける。

「はいはい、二人とも集中! 健太郎さん、あっちの大きな岩の裏に二体、隠れてるよ。……今度は私が少しだけ足止めするね。エリカちゃん、トドメ、丁寧にお願いね?」

 結衣が軽く指を鳴らすと、地面から世界樹の根を模した魔力の蔦が、無音で這い出していく。

「桃子、お前は俺の側を離れるな。ラプトルの動きをよく見て、その『素材』がどう動くか、目に焼き付けておけ」

「……はい、おじさん! 私、ちゃんと見てます。……おじさんの打った防具が、どうやって敵を弾くのかも」

 カチ、カチ……。
再び、銀色の死神たちが霧の中から躍り出た。
 今度は二体。だが、碧い雷を制御し始めたエリカと、結衣の軽やかな援護がある。

「いくで……。今度は爆発せんと、とろとろに溶かしてやるからな……ッ!」

 エリカの踏み込みと同時に、藍色の剣が碧い閃光を放つ。
 雷は爆発的な放電ではなく、エリカの「想い」に呼応して、獲物を絡め取る蔦のような触手となってラプトルの四肢に吸い付いた。

 ラプトルを解体してその核と爪、牙、皮と肉と分けていくと、エリカの足元がドロドロと溶けていく様に変わっていく。

「エリカ、下がれ! その足場じゃお前のスピードは殺される!」

 俺の叫びと同時に、エリカが舌打ちをして飛び退いた。
彼女が今まで立っていた地面が、生き物のように「ぶちゅり…」と音を立てて波打ち、どす黒い泥の塊へと変わっていく。

 霧の向こうから姿を現したのは、アビスの深淵に蠢く異形の土人形——『アビス・マッドゴーレム』。

 その巨体は常にドロドロと溶け崩れ、ぬるぬるとした粘液を撒き散らしながら、周囲の地面を底なしの沼へと変えていた。

「うわぁ、何これ……気持ち悪っ! 健太郎さん、私の魔法でも根っこが泥に呑まれて上手く固定できないよ!」

 結衣が顔をしかめながら、泥に足を取られないよう必死に後退する。

「おじさん、私がやります……!」

 一歩前に出たのは桃子だった。彼女の手には、俺が以前、慈愛を込めて打ち上げた特製の【重震の革纏ハンマー】が握られている。

「モモ、土と植物の扱いはお前の領域だ。その泥の中に眠る『核』を、お前の想いで撃ち抜け!」

「はいっ……!」

 桃子は泥濘(ぬかるみ)に怯むことなく踏み込んだ。
俺が彼女のために作った防具のブーツが、底なしの泥を逆に「掴む」ようにして彼女を支える。
 ゴーレムがドロドロの腕を振り下ろすが、桃子はそれを最小限の動きで回避し、ハンマーを高く掲げた。

「そこっ……!」

 桃子がハンマーを振り下ろすと、革の表面に刻まれた紋章が「ぴくん…」と脈動し、衝撃波が泥の奥深くへと浸透していく。

「ごちゅっ…!!」

 粘りつく泥の層を強引に割り、桃子のハンマーはゴーレムの中枢にある核を正確に粉砕した。

「あぁ……っ、おじさんのハンマーが……中まで、響いてくる……っ!」

 崩壊するゴーレム。ドロドロだった巨体は、核を失ったことで急速にその形を失い、ただの堆積物へと還っていく。
 俺は崩れた泥の塊に手を触れ、「鑑定眼」を凝らした。

「……これはいいな。ただの泥じゃない。アビスの深淵で蓄えられた魔力と栄養素が、高密度で凝縮されている。……結衣、桃子。この泥を回収しよう。お前たちの畑に使えば、普通の植物も一晩で『化ける』ぞ」

「やったぁ! 健太郎さん、これでおいしい野菜、いっぱい作れるね!」

 結衣が汚れも気にせず、嬉しそうに泥を瓶に詰め始める。
 桃子は、激しく波打つ胸を押さえながら、ハンマーを愛おしげに抱きしめていた。

「おじさんの打ったハンマー……泥の中でも、私の芯まで熱を伝えてくれました……。私、もっとこの力を使いたいです」
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