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第九章 ライバル達
第208話: 【極彩の魂、ハルト】
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「……いい連携だ。だが、まだ終わりじゃないぞ」
健太郎は深層の鑑定眼を最大展開し、激しくのたうつ蜘蛛の構造を舐めるように観察した。
「……よし、決めた。繭だけじゃなく、その蜘蛛の脚も、体内の糸袋も、全部いただく。茉莉、ハルトを紡ぎ直すにはこの蜘蛛の『生きた糸』が最高に馴染むはずだ」
命のやり取りをしている最中だというのに、健太郎の言葉には一点の曇りもない。あるのは、最高級の素材を目の当たりにした職人の純粋な「欲望」だけだった。
「ふふ、旦那……あんな恐ろしい魔物見て、ヨダレ垂らさんばかりの顔しはるなんて……ほんま、堪忍して。惚れ直してまうやん」
茉莉が扇で口元を隠し、熱っぽい視線を健太郎の背中に送る。
「アイリス! 仕上げだ。あの蜘蛛を『生かしたまま』解体する。弦のしなりを最大にしろ!」
「承知いたしましたわ、主。……この『愛撫』の熱、そのまま矢に乗せて射抜いて差し上げます!」
健太郎の指先と連動する『主従の刻印』により、アイリスの魔力が蜜のように溢れ出す。黄金の光を纏った一矢が、新世界の生態系の頂点を射抜くべく、静かに引き絞られた。
「アイリス、狙え。あの蜘蛛の糸袋ごと、生きたまま摘出する。お前の『弦』を限界まで絞れ!」
「承知いたしましたわ、主。……この溢れ出す想い、一滴残らず射抜いて差し上げますわ!」
アイリスの黄金の瞳が、獲物を狙う真実の狩人へと変わる。健太郎の『愛撫』に呼応するように、彼女の魔力が神域の光を帯びて収束していった。
「――茉莉! お前が決めろ! ハルトの為だろ!」
健太郎の怒号に近い飛沫(しぶき)が、戦場の喧騒を切り裂いた。
アイリスの放った「慈愛の矢」によって、アラクネ・レジーナの外殻は文字通り『キャストオフ』され、その内側から脈動する純白の「生体糸袋」が露わになっている。
「……あ、あ……」
圧倒的な職人の熱量に当てられ、呆然としていた茉莉の肩が跳ねた。
健太郎のその瞳は、彼女を「女」としてではなく、対等な「職人」として、その覚悟を問うている。
「……おおきに、旦那。――うちは、染め師や。誰よりも、ハルトを一番べっぴんにできるんは、うちしかおらへん!」
茉莉は迷いを捨て、扇を広げて舞い始めた。
彼女の指先から放たれるのは、神域ヴォルガの残光を宿した極彩色の魔力。
それが健太郎の『慈愛の加工』で摘出されたばかりの生体糸袋、そして桃子が確保した『霊光繭』と空中で混ざり合う。
「結衣ちゃん、糸を! 旦那、その熱い魔力で、ハルトの芯を繋ぎ止めてぇな!」
「了解です! 魂の階梯、固定します!」
結衣が短剣を操り、空中に銀色の魔力糸を張り巡らせる。
裁縫師としての彼女の手が、茉莉の色彩と、蜘蛛から得た「生きた糸」を編み上げ、ハルトの『肉体』という名の扇を仕立てていく。
「――仕上げだ。ハルト、お前の主の声を聴けぇっ!!」
健太郎がその逞しい両手で、空中に形作られた光の塊を包み込んだ。
『慈愛の加工』と『愛撫』が、暴力的なまでの慈しみとなって、無機質な素材を「命」へと変質させていく。
パリン、と空間が弾けるような音が響いた。
「……あ……。茉莉……様……?」
光の粒子の中から現れたのは、かつてよりも一段と透き通るような肌を持ち、極彩色の着物を纏った美少年。
武器聖霊、ハルト。
彼はゆっくりと目を開けると、涙を浮かべて立ち尽くす茉莉を見つめ、少し照れくさそうに微笑んだ。
「……ただいま、茉莉様。やっぱり、茉莉様の染める色は、世界で一番……綺麗ですね」
「ハルト……っ! よかった、ほんまによかった……!」
茉莉がハルトを抱きしめる。
その光景を、健太郎は肩で息をしながら、満足げな笑みを浮かべて見つめていた。
「……ふぅ。これで一件落着だな」
「おじさん、お疲れさま! 凄かったよ、今の魔法少女の変身シーンみたいで!」
「健太郎さん、本当に凄いです……。でも、茉莉さんに抱きつかれるのは、もうお腹いっぱいですからね?」
桃子の称賛と、結衣の釘を刺すような言葉。
そして隣では、アイリスが「主、妾もあのような『再誕』、いつでも受け付けておりますわよ?」と、黄金の瞳を妖しく光らせていた。
【健太郎(三神健太郎) スキル熟練度】
■ 特殊スキル(カテゴリー:特殊スキル)
• 慈愛の加工:Lv.65 (60/100) → (150/100) Up! (命を再定義する究極の加工)
• 導きの声:Lv.54 (180/100) → Lv.55 (80/100) Level Up!
• 愛撫:Lv.61 (20/100) → (150/100) Up! (霊体の隅々まで『愛』を浸透させる)
■ 特殊生産系(カテゴリー:特殊生産系)
• 慈愛の加工(特殊生産):Lv.61 (150/100) → Lv.62 (50/100) Level Up!
• 導きの声(特殊生産):Lv.52 (150/100) → Lv.53 (50/100) Level Up!
• 愛撫(特殊生産):Lv.56 (150/100) → Lv.57 (50/100) Level Up!
■ 真理系
• 深層の鑑定眼:Lv.24 (95/100) → Lv.25 (30/100) Level Up!
• 鑑定眼熟練度:(0/100) → (40/100) Up! (Lv.25にて『真理の開眼』への予兆)
健太郎は深層の鑑定眼を最大展開し、激しくのたうつ蜘蛛の構造を舐めるように観察した。
「……よし、決めた。繭だけじゃなく、その蜘蛛の脚も、体内の糸袋も、全部いただく。茉莉、ハルトを紡ぎ直すにはこの蜘蛛の『生きた糸』が最高に馴染むはずだ」
命のやり取りをしている最中だというのに、健太郎の言葉には一点の曇りもない。あるのは、最高級の素材を目の当たりにした職人の純粋な「欲望」だけだった。
「ふふ、旦那……あんな恐ろしい魔物見て、ヨダレ垂らさんばかりの顔しはるなんて……ほんま、堪忍して。惚れ直してまうやん」
茉莉が扇で口元を隠し、熱っぽい視線を健太郎の背中に送る。
「アイリス! 仕上げだ。あの蜘蛛を『生かしたまま』解体する。弦のしなりを最大にしろ!」
「承知いたしましたわ、主。……この『愛撫』の熱、そのまま矢に乗せて射抜いて差し上げます!」
健太郎の指先と連動する『主従の刻印』により、アイリスの魔力が蜜のように溢れ出す。黄金の光を纏った一矢が、新世界の生態系の頂点を射抜くべく、静かに引き絞られた。
「アイリス、狙え。あの蜘蛛の糸袋ごと、生きたまま摘出する。お前の『弦』を限界まで絞れ!」
「承知いたしましたわ、主。……この溢れ出す想い、一滴残らず射抜いて差し上げますわ!」
アイリスの黄金の瞳が、獲物を狙う真実の狩人へと変わる。健太郎の『愛撫』に呼応するように、彼女の魔力が神域の光を帯びて収束していった。
「――茉莉! お前が決めろ! ハルトの為だろ!」
健太郎の怒号に近い飛沫(しぶき)が、戦場の喧騒を切り裂いた。
アイリスの放った「慈愛の矢」によって、アラクネ・レジーナの外殻は文字通り『キャストオフ』され、その内側から脈動する純白の「生体糸袋」が露わになっている。
「……あ、あ……」
圧倒的な職人の熱量に当てられ、呆然としていた茉莉の肩が跳ねた。
健太郎のその瞳は、彼女を「女」としてではなく、対等な「職人」として、その覚悟を問うている。
「……おおきに、旦那。――うちは、染め師や。誰よりも、ハルトを一番べっぴんにできるんは、うちしかおらへん!」
茉莉は迷いを捨て、扇を広げて舞い始めた。
彼女の指先から放たれるのは、神域ヴォルガの残光を宿した極彩色の魔力。
それが健太郎の『慈愛の加工』で摘出されたばかりの生体糸袋、そして桃子が確保した『霊光繭』と空中で混ざり合う。
「結衣ちゃん、糸を! 旦那、その熱い魔力で、ハルトの芯を繋ぎ止めてぇな!」
「了解です! 魂の階梯、固定します!」
結衣が短剣を操り、空中に銀色の魔力糸を張り巡らせる。
裁縫師としての彼女の手が、茉莉の色彩と、蜘蛛から得た「生きた糸」を編み上げ、ハルトの『肉体』という名の扇を仕立てていく。
「――仕上げだ。ハルト、お前の主の声を聴けぇっ!!」
健太郎がその逞しい両手で、空中に形作られた光の塊を包み込んだ。
『慈愛の加工』と『愛撫』が、暴力的なまでの慈しみとなって、無機質な素材を「命」へと変質させていく。
パリン、と空間が弾けるような音が響いた。
「……あ……。茉莉……様……?」
光の粒子の中から現れたのは、かつてよりも一段と透き通るような肌を持ち、極彩色の着物を纏った美少年。
武器聖霊、ハルト。
彼はゆっくりと目を開けると、涙を浮かべて立ち尽くす茉莉を見つめ、少し照れくさそうに微笑んだ。
「……ただいま、茉莉様。やっぱり、茉莉様の染める色は、世界で一番……綺麗ですね」
「ハルト……っ! よかった、ほんまによかった……!」
茉莉がハルトを抱きしめる。
その光景を、健太郎は肩で息をしながら、満足げな笑みを浮かべて見つめていた。
「……ふぅ。これで一件落着だな」
「おじさん、お疲れさま! 凄かったよ、今の魔法少女の変身シーンみたいで!」
「健太郎さん、本当に凄いです……。でも、茉莉さんに抱きつかれるのは、もうお腹いっぱいですからね?」
桃子の称賛と、結衣の釘を刺すような言葉。
そして隣では、アイリスが「主、妾もあのような『再誕』、いつでも受け付けておりますわよ?」と、黄金の瞳を妖しく光らせていた。
【健太郎(三神健太郎) スキル熟練度】
■ 特殊スキル(カテゴリー:特殊スキル)
• 慈愛の加工:Lv.65 (60/100) → (150/100) Up! (命を再定義する究極の加工)
• 導きの声:Lv.54 (180/100) → Lv.55 (80/100) Level Up!
• 愛撫:Lv.61 (20/100) → (150/100) Up! (霊体の隅々まで『愛』を浸透させる)
■ 特殊生産系(カテゴリー:特殊生産系)
• 慈愛の加工(特殊生産):Lv.61 (150/100) → Lv.62 (50/100) Level Up!
• 導きの声(特殊生産):Lv.52 (150/100) → Lv.53 (50/100) Level Up!
• 愛撫(特殊生産):Lv.56 (150/100) → Lv.57 (50/100) Level Up!
■ 真理系
• 深層の鑑定眼:Lv.24 (95/100) → Lv.25 (30/100) Level Up!
• 鑑定眼熟練度:(0/100) → (40/100) Up! (Lv.25にて『真理の開眼』への予兆)
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