[R18]2度目の人生でスローライフ?ハーレムだっていいじゃないか

白猫 おたこ

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第九章 ライバル達

第221話:【静止】蒼い刻印の扉、深淵の絶対零度

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 赤い歯車の扉が火山の熱によって溶けるように開かれ、健太郎一行はその先へと足を踏み入れた。
熱気が背後に遠ざかり、通路を進むごとに空気は一変――肌を刺すような、異常な冷気が周囲を支配し始める。
 たどり着いた先に待ち構えていたのは、先ほどとは対照的な、『蒼い刻印の扉』だった。

「……っ、何この寒さ。息が凍りそう……!」

 恵梨香が腕をさすり、身を震わせる。扉の表面には幾重にも重なる幾何学的な紋章が刻まれ、そこから溢れ出す冷気が、床や壁を真っ白な霜で覆いつくしていた。

「健太郎さん、見てください。扉の前に……誰かいます」

 桃子の指差す先、蒼い扉を守るように立っていたのは、透き通るような氷の身体を持つアビス・アイスゴーレムだった。
 赤いゴーレムが「物理と魔法の拒絶」ならば、この蒼い守護者は「時間の凍結」を体現していた。

「はぁぁっ!」

 結衣が素早く二刀の短剣を繰り出すが、その刃先がゴーレムの周囲に触れた瞬間、スローモーションのように動きが止まり、カチンという音と共に短剣全体が凍りついてしまう。

「動きが……止まっちゃう!? 攻撃が届く前に、時間が凍ってるみたい!」

 結衣が慌てて短剣を引き抜くが、氷のゴーレムはその冷気を神殿全体へと広げようと、ゆっくりと拳を振り上げる。
この絶対零度の空間では、桃子の熱い一撃も、届く前にそのエネルギーを奪われ、消沈してしまうのだ。

「……なるほど。あちらが火なら、こちらは水、あるいは静止の理か」

 健太郎は、自身の深層の鑑定眼を通じて伝わる情報の変化を読み取る。
 この扉を動かすには、神殿の「冷却システム」が正常に機能しなければならない。それは、茉莉とハルトが浄化している、あの聖域ヴォルガの水脈の力だった。

「(……茉莉、ハルト、君たちが流してくれた清浄な水が、この扉の『潤滑油』になるはずだ……)」

 健太郎は、凍てつく蒼い扉の刻印に手を伸ばした。

ヴォルガの聖域にて茉莉とハルトが解き放った「清浄な水」の魔力が、神殿の冷却回路を一気に駆け抜けた。
 氷結し、時を止めていた『蒼い刻印の扉』が、ゴゴゴ……と湿り気を帯びた音を立て始める。
絶対零度を誇っていたアビス・アイスゴーレムの身体は、純粋な魔力の奔流にさらされ、その硬度を失ってドロドロとした「流体」へと姿を変えていった。

「――今よ、恵梨香ちゃん!」

 健太郎の鋭い指示に、恵梨香が応じる。
彼女は自身の装備に宿る聖なる力を全開にし、さらにクロノスが欧州の時計台から世界へ送り出した「加速の風」をその身に纏った。

「聖域加速(クロックアップ)……! 貫けぇっ!」

 恵梨香の姿が、流体となったゴーレムの視覚を置き去りにするほどの超高速で奔る。
 ドロリと形を崩し、核が露出したその一瞬の隙を、恵梨香の片手剣が正確無比に貫いた。
 チュドォン! という魔力弾裂音と共に、恵梨香の手には蒼く凍てつくアビスの核が握られていた。
核を失ったゴーレムの流体は、即座に浄化され、透き通った美しさを持つ『神代の氷晶石』へとその性質を変え、床に崩れ落ちた。

「ふぅ……。健太郎さん、核、確保しました!」

「よくやった。……この素材も、大切に預かろう」

 健太郎は、床に散らばった最高品質の氷晶石と、先ほど手に入れた神代の魔鉱石を丁寧にまとめ、ダイブギアのログへと刻み込む。火の熱と水の静寂、相反する二つの力が揃ったことで、神殿の深部へ向かう道は完全にその「調和」を取り戻しつつあった。
 一行は、開かれた蒼い扉の向こう側――世界の心臓部へと、さらに一歩を踏み出す。

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