僕を愛して

冰彗

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第一章

『第九話』

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 十二月十日、木曜日。時刻は午後二時。仕事をするために自宅近くにあるカフェにやってきていた。

 ちなみに斐都は保育園に行っている。

 パソコンに文章を打ち込んでいるとスマホが振動した。

「誰だろ」

 スマホをポケットから取り出して液晶画面を見ると電話は保育園だった。

「はい、五月七日です」

『あ、すみません。斐都くんのお母さんですか? 斐都くん熱があるみたいなのでお迎えに来ていただいてもよろしいでしょうか?』

「嗚呼、分かりました」

 僕はそう言って電話を切るとパソコンの電源を落としカバンの中に仕舞って保育園に向かった。

 ○○○

 保育園につくと先生に抱っこされて愚図っている斐都の姿があった。

「斐都……!」

「! ままぁ!」

 僕の存在に気付いた斐都は僕の方へ手を伸ばしてきた。僕はそれに応え、斐都を抱っこする。心なしか顔が赤くなっていてだるそうにしている。

「朝は普通だったのに。きつくなっちゃったの?」

「んん……」

 僕が問い掛けると斐都は返事をする代わりに僕の胸元に頭をグリグリと押しつけてきた。

 熱があるからか甘えん坊になってる。

 そんなことを思っていると先程まで斐都を抱っこしていた先生の方を見ると珍しいものを見たような表情をしていた。

「先生?」

「あ、すみません。普段クールな斐都くんが甘えん坊になっているので少し驚いて」

「やっぱり、保育園でもそうなんですか?」

「そうですね。大人しいと言いますか、クールと言いますか……」

 斐都、君、保育園でもそんな感じなんだね。

「ですが、他の子が転んで怪我したらすぐ駆け付けて頭を撫でていたり、一人の子がいたら一緒に遊ぼうと声を掛けたり。兎に角優しい子ですよ、斐都くんは」

「そう、なんですね」

 よかった、友達はいるみたいで。

 そう思いながら抱き上げている斐都の頭を撫でると斐都は僕の方を見てふにゃりと微笑んだ。

 うん、可愛い。

「では、失礼します。明日も熱があるようでしたら休ませますね」

「分かりました、お大事に」

 先生はそう言うとにこりと微笑んだ。

 僕はそのまま斐都を抱っこして家に連れて帰った。

「斐都、今日の夜ご飯は雑炊にしようか」

「ぞーすい……?」

「うん、卵の雑炊」

「やったぁ……」

 斐都は嬉しそうに微笑んでそのまま眠ってしまった。

 安心したのかな、と思いながら自宅に帰った。
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