月蝕の令嬢 〜妹の偽りの光を暴き、夜の王に溺愛される〜  嘘つきの妹に成敗を、ざまあ

しょくぱん

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晩餐会の対峙と、墜ちた聖女

第24話:帝都の邂逅

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帝都のドックに降り立った私たちを待っていたのは、重厚な鎧に身を包んだ帝国騎士団と、その中央で冷徹な威厳を放つ皇帝、マキシミリアン一世だった。

「……伝説の銀龍王、そして『星の聖女』。我が帝国の空を数十年ぶりに塗り替えたその御業、この目で見せていただいた」

皇帝がゆっくりと頭を下げると、周囲の騎士たちも一斉に剣を捧げ、膝を突く。
かつて私を奈落へ投げ捨てた母国の王たちが、いかに矮小で愚かだったかが改めて浮き彫りになるような、真の強者による礼節だった。

「エレナ、我の隣を離れるな。この男、目は笑っているが腹の底が見えん」

ゼノス様が私の腰を引き寄せ、低く唸る。その威圧感に対抗するように、皇帝は薄く笑みを浮かべた。

「そう警戒しないでいただきたい、龍王陛下。私はただ、我が国を救った恩人に報いたいだけだ。……さあ、城内へ。最高級の持て成しを用意させている」

豪華な魔導車で城へと向かう道中、私は窓の外を眺めていた。
先ほど私が浄化した場所から、生命の息吹が少しずつ戻り始めている。人々は街角で抱き合い、空を見上げては私の乗った車に向かって祈るように手を合わせていた。

城に到着し、案内された貴賓室で一息つこうとした時だった。
部屋の隅で控えていた一人の侍女が、トレイを持つ手を激しく震わせていることに気づいた。

「……あ、ああ……。そんな、まさか……エレナ様……?」

聞き覚えのある声に、私は目を見開いた。
そこにいたのは、かつてローウェル公爵家で私を世話し、私が奈落へ落とされる直前に「逃げてください」と涙ながらに訴えてくれた唯一の侍女、マーサだった。

「マーサ……!? どうして、あなたがここに?」

「エレナ様! 本当にエレナ様なのですか!? 亡くなったと、そう聞いていたのに……! お元気そうで、何より、何より美しくなられて……!」

マーサは人目も憚らずその場に泣き崩れた。
彼女は私が追放された後、公爵家から「魔女の手先」として不当な扱いを受け、命からがら帝国へ逃げ延びていたのだという。

「マーサ、もう大丈夫よ。私は今、とても幸せなの」

私が彼女の手を取ると、マーサは私の右腕にある白銀の紋章を見て、さらに涙を溢れさせた。

「……ああ、あの痛々しかったお腕が、こんなに輝いて。……エレナ様、サンクチュアリ王国は今、生き地獄のようです。あの方たちは、エレナ様がいなければ自分たちが何もできない無能だと、ようやく思い知っているのですわ」

マーサの言葉に、私の隣でゼノス様がフンと鼻を鳴らした。

「当然だ。ゴミ箱を捨てれば部屋が汚れるのは自明。……だがエレナ、過去の感傷はそこまでにしておけ。これから皇帝との晩餐会だ。あの男、貴様の力を独占しようと何かしら仕掛けてくるはずだぞ」

ゼノス様が私の髪を優しく整え、その瞳に独占欲を滲ませる。
再会した旧友、そして底の知れない皇帝。
帝都での一夜が、新たな嵐を予感させていた。

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